紅 (集英社スーパーダッシュ文庫)
紅 (集英社スーパーダッシュ文庫)山本 ヤマト

集英社 2005-12
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おすすめ平均 star
starロリコンです。w
star読めなくはない
starおもしろけりゃいい。

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せっかく引き合いに出したのであえて古いけれども感想を。

前書き

片山憲太郎作品は何かと言うと例の西尾作品に「似ている」きつい言い方をすると「パクリ」と言われたりする。
えー、いいじゃんとか思ってしまう。それこそ著作権違反が発生しているのならともかく、この「紅」の存在している本の領域は、基本的に面白ければ何でも許される「ライトノベル」領域なのだからして。僕の場合は西尾作品もこちらも(特に腹を立てる事無く)両方たっぷり楽しめたので、腹を立ててしまう人より得しているなあとか思ったりする。

で、本題。

まあ読んでみると確かに猛烈に西尾の匂いがあちこちにする訳ですが、西尾作品より登場人物が素直で個人的には感情移入がしやすかった。
ある意味猛烈にひねくれて屈折している西尾作品の主人公に比べて、紅の主人公「紅真九郎」は、心にトラウマを抱えつつも基本的に非常に素直。まあそこがちょっとという人もいるかも知れませんが、そういう人は同じ作者の「電波的な彼女」シリーズをどうぞ。
ヒロインの九鳳院紫ですが、まだ十分に子供なので(7歳!?)、いい子です。なんというか従兄弟の子供とかそんな感じかもしれないですねえ。萌え要素は完璧です。まあ、ヒロイン候補という意味では百花繚乱なこのシリーズ、年上の面倒見の良く厳しいお姉さんの崩月夕乃、同い年のクール(多分影では情熱的)な幼なじみ村上銀子とまあ色々いる訳です(そのあたりも、その、西尾の匂いがしますが・・・)。
西尾作品+熱血二次創作=「紅」って感じがしますが、いいじゃないですか、楽しいから。正直西尾作品の主人公達は皆どこか捻くれています(それが持ち味ですけど)が、片山作品は分かりにくい捻くれは無いです。少年らしい無鉄砲さと反骨精神はありますが。それと、女の子は数出てますが、沢山出してどれか読者のストライクに入るだろって感じでもないですし(ちょっとはあるか?)、数出している割にはそれぞれのキャラの個性はしっかりと書き分けられているので「今喋ったのが誰だか分からん」という事が無いです。これも魅力でしょうか。
で、ストーリーは基本的に王道で、少年誌展開なので、ある意味「電波的な彼女」シリーズより安心です。最終的には主人公がドカンとやってくれますから、すっきりしますし。
ここまで「似てる似てる」と言って来た西尾作品と片山作品ですが、片山作品には西尾作品には決してない持ち味もあります。

「なら滅びろ」

主人公の紅真九郎が作中で口走る言葉ですが、この言い回しは西尾作品にはない熱さですね。なんだかんだ言いつつも作者が楽しんで書いている感じがするシリーズです。すっきり楽しめるラノベの王道じゃないかと思いますよ。

感想リンク

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