ボクのセカイをまもるヒト

ボクのセカイをまもるヒトex (電撃文庫)

ボクのセカイをまもるヒトex (電撃文庫)

涼宮ハルヒの憂鬱 (角川スニーカー文庫)」で、今をときめく谷川流の作品。
面白くなる要素は沢山あるけど、正直今の所様子見でいいんじゃないかと思う。しかしつまらないとも言い切れないので煮え切らない星3つ。
正直言って「涼宮ハルヒの憂鬱 (角川スニーカー文庫)」にしたって、一巻から全力で面白かったとは言いがたいので(というか「涼宮ハルヒの消失 (角川スニーカー文庫)」で爆発したって感じだし)、谷川流はスロースターターなのかも知れない。
とりあえず既刊のシリーズ「ボクのセカイをまもるヒト〈2〉 (電撃文庫)」「ボクのセカイをまもるヒトex (電撃文庫)」は読んでみたけど、物語が動き始めているとは言いがたい感じ。主人公・朝凪巽は本人にも良く分からない理由で<味方>にまもられたり<敵>に狙われたりする訳ですが、本編中ではなぜ狙われるのか、なぜまもられるのか全く分からない(今の所)。どうも主人公の存在そのものが人間を含め複数ある事になっている「セカイ」の鍵になっているらしく、なにやら色々な理由で暗躍する人々がいる訳ですが・・・。
主人公はいわゆるどこにでもいるような高校生で、特にこれといって特殊な才能があるわけではありません。強いて言えば家事全般という特徴のない少年です。まあ、変わっているといえば主人公の姉ですが、読み進めていく限りかなりの変人です。あるいは大物なのか、何かの裏を知っているのか、そこまでは分かりませんが・・・少なくとも間違っても可愛いとか思えないタイプの変人です。
この作品の「セカイ」にはまず普通の現代世界<無属>の他に<妖精><科学者><剣精><魔術師><邪神><天使><不死人>のセカイがあるらしい、という所までは分かっていますが、それ以上の情報は現時点では殆ど小出しにされて、それぞれがそれぞれの指揮系統と役割をもって主人公に相対している(多分だけど)という所までしか分かりません。指揮系統も一枚岩のようなそうでも無い様な・・・。いずれにしても、主人公は周りに流されっぱなしで殆ど何も出来ない状態。えー、どうやって主人公に感情移入しろというのかって感じですかね。少なくともキョンのような魅力は現時点では無いです。まあ、谷川流のことなので、これは何か皮肉に満ちた読者に対しての啓発みたいなものを用意しているのかも知れません。あるいは読者ー作品内のメタ的な構造を今後持たせるために、あえて(読者に近い)無個性で無能力に近い少年を主役にしているとも考えられまけど。今の所はさっぱりです。
わざわさタイトルに「セカイ」という言葉を使っている事から、おそらくはいわゆる「セカイ系」と呼ばれる分野の物語に大しての何らかの新しいアプローチか、アンチテーゼの様なものを企んでいるとも考えられますが・・・現時点では材料が少なすぎて(少なくとも私にとってはの話ですけど)、何とも評価に困ります。
主人公以外のキャラクターはそこそこ立ってますけど、まだまだこれからかもしれませんね。というか対象としている読者の年齢層をあえて十代に限って書いているのかもしれません。キャラクターの台詞まわし一つとっても、渋みというが深みというか、そういったモノを敢えて出していないような気がします。ただし、メインヒロインと思われる綾羽と猫子についてはそこそこ深みが出つつあるかも。でもまだ、正直もうちょっとかな・・・。あ、<魔術師>の香炉とそのヌイグルミに関しては結構なインパクトがあります。特にヌイグルミのほう。けっこういい塩梅にキモイ。目玉に関するやり取りとかね。
あ、2巻の後半は色々とイケナイ見所はあります。ちょっとアレなイラスト付きで。間違っても教室とかじゃ読んじゃダメ。これ先生との約束ね?人によっては机からしばらく立てなくなるかも知れませんよ?通勤通学中の電車の中とかも同じ理由でダメ。簡単に言うと触手系? うん、はみだし刑事触手系(どんな分野だそれ)。
でも、そのためだけに買ったりするのも、まあ、あり・・・なのかも。