れじみる

れじみる。 (電撃文庫)
れじみる。 (電撃文庫)藤原 祐

メディアワークス 2006-12
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電撃hp上で短編として発表された作品と書き下ろし作品を一冊の本にまとめたのがこの本。「レジンキャストミルク (電撃文庫)」本編は1〜5巻が既に発売済み(読了済み)ですが、それの評はまた別の機会に譲る事として、今回はこの「れじみる。 (電撃文庫)」だけに絞って感想を書こうと思います。今まで私は電撃hpを一度も読んだ事が無いので全ての作品はこれが初見でした。
本編の長編は結構好きなのですが、正直、この短編集は微妙。
作者やイラストレーターや編集の「読者を楽しませよう」ってサービス精神はとても嬉しいんだけど、長編書き下ろしのダーク学園異能ものの「レジンキャストミルク (電撃文庫)」という作品自体がこうしたコメディに向いていないんじゃないかって思う。それとも特定の登場人物かなあ。速水殊子がこの作品のコメディで扱えるギリギリの登場人物で、舞鶴蜜なんてコメディの材料にしない方が魅力的なのに・・・とまで思ってしまいました。会社で言えば高い技術力を持っているのに経営層がダメなので売り上げが伸びない会社の陥っている失敗みたいな感じかな。現場の高い技術力と優良なサービスという「自社の強み」を生かした経営が出来ていないという感じに受け取れました。
もちろんこれはあくまでも個人的な感想なので、「良い!」と思った人もいるのでしょうけれど、個人的には残念ながらこのような感じです。
この「れじみる」を読んで、キャラクターに対して印象がどのように変わったかというと、以下のような感じ。

名前   魅力値   備考
城島晶 マイナス 正直彼に日常の中の人間的魅力なんてどうでも良いのでは。というより硝子を存在させる事によって失った心が多すぎて、今さら何をやっても人間味が希薄に感じられてしまった。もっと酷くいうと嘘くさい。
城島硝子 プラス ただの「虚軸」が実体化した少女から、心を持った人間へ徐々に変わって行く姿は見ていて意外と楽しい。
森町芹菜 ややプラス 彼女は普通人なので、本編に書かれなかったエピソードを挟んでもらうと、単純にそのまま魅力が増える様に感じます。ただあまり登場しないのが残念。
速水殊子 マイナス 彼女も晶と同じ様な印象。彼らは非人間的な所が魅力なのだと思う。
舞鶴 大きくマイナス 正直彼女に普通の少女としての魅力など必要ない。大きく踏み外している所が魅力なのだと思います。彼女は常にシリアスで孤高で危ないのが良い所で、コミカルな魅力など必要なしと思ってしまいました。深い情ゆえに常にキレている所が良いんだと思います。
柿原里緒 意外にプラス 精神を病んではいるものの、もともと人間性を大きく失っているタイプではないせいじゃないか、心温まるエピソードも悪くないと思いました。
佐伯ネア 大きくプラス とても変人ゆえにコメディ向き。彼女の登場エピソードは読んでいて楽しい。
姫島姫 ややプラス 登場頻度高いのでまあこんな感じかと。

以上でしょうか。総合評価で「微増」って感じでしょうか。
エピソードで言えば「夏祭りセンチメンタル」「保健教師のいけない休日」の二つが良かったです。登場人物の誰にフォーカスを当てたかで随分印象が変わってしまう作品でした。あと少し気になるのが、魅力的な男性キャラクターがいない事でしょうか。いればもっといいのにって思います。短編にしか登場しない「オーフェン」の「キース」みたいなキャラを作ってしまっても良かったんじゃないかなあと。思い切って本編と短編を大きく変えてしまえば私個人の印象は大きく変わったかもしれません。
あとあちこちに差し込まれる漫画は良かったですね。このイラストレーターはキャラクタを可愛くコミカルに書くのは非常に得意なのではないかと思います。その分本編ではシリアスな戦闘シーンのイラストが結構微妙に感じますが・・・まあそれはともかく。
個人的にはこんな感じでした。よければ参考にして下さい。