狼と香辛料〈2〉

狼と香辛料〈2〉 (電撃文庫)
狼と香辛料〈2〉 (電撃文庫)支倉 凍砂

メディアワークス 2006-06
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おすすめ平均 star
starアニメ7〜13話
star1巻に比べると失速した印象。
star恋の始まりを上手に描いています

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ホロかわいいよホロ
他に何か言及するべき所があるのかどうかと言われればもちろん山のようにありますが、取りあえず最初にこれを言っておかないともうダメだ。その可愛さの片鱗を世界に遍く広めるため、以下を引用するものである。

あふ、という間抜けな息を吐いてあくびを終えたかと思うと、今度は尻尾がかゆかったのか、こげ茶色の毛に覆われていて先っぽだけが雪のように白いふさふさのそれを抱き寄せて、子犬が甘噛みするように先端を食んでいる。

尻尾ですよ尻尾。しかも美少女のふさふさもさもさのシッポを本人が噛み噛みですよ? 信じられぬ、とても信じられぬ。さらにもう一つ。

わさわさわさ、とローブの下で子犬でも暴れているんじゃないかというくらいに尻尾が暴れ、期待に満ちすぎた目は切なそうに潤んでいる。
そんなホロの顔が、ロレンスの肩の上に乗るほど近づけられた。
目が、恐ろしいほど真剣だった。

自分で引用してみて気がつきましたけど、私はホロのしっぽに完全にやられているようです。さすがホロ、見事なしっぽです。
・・・まあハァハァするのはこの位にして、本編の簡単なストーリー紹介をしてみます。
前回、豊穣の神でもある狼神ホロの活躍もあってそれなりの利益を得、かつホロを失う事無く旅を続けられる事となった行商人ロレンスですが、今回は商売である致命的な失敗をしてしまいます。そのため債務不履行(つまり借金を返せない)を起こしそうになってしまいます。無一文になるばかりか、商人として信用を失う最悪の失敗。そのためロレンスは自分を見失いそうになり、ホロとの関係にもヒビが入りそうになってしまうのですが・・・しかしロレンスは窮地を脱するべく、ある一つの策を実行に移す事にしました。失敗すれば縛り首になりますが、一発逆転が可能な最後の策でもあります。彼らはそれを旅の途中で出会った羊飼いの少女・ノーラの協力の元で実行し、賭けに出る・・・という話。
最高にこう、緊張感のある話です。現代でも普通に起こりうる”破産”。フィクションでも十分生々しくて怖いです。ある意味怪物や幽霊や貞子より怖いです。こういうリアルを織り交ぜつつ話を展開させる所がこの「狼と香辛料」シリーズの最高の魅力でしょう。もちろんホロは可愛いですが。
それと、主人公のロレンスの行動原理が基本的に「利益」というのがまた、良いです。別に他の作品がどうだとか言う気は全くないのですが、正義がどうだとか、愛がどうだとか、怒りがどうだとか、ちょっとラノベには有りすぎて正直食傷気味だったのは否定出来ません。そこにこのロレンスの行動する理由は結構新鮮でした。もちろん彼にも愛やら優しさやらはありますが、それだけじゃないという「現実感覚」がまさしくこの物語をピリッと引き締める香辛料です。
大人気のシリーズなので今更言うまでもない事かも知れませんが、絶対におすすめです。
書店でいぬみみ&しっぽの赤い瞳の少女が表紙の本があったら、それが狼と香辛料です。本を手に取ったらレジへ向かって下さい。そして読み終わったら一緒に言いましょう。「ホロかわいいよホロ」
じゃ、僕はホロの抱き枕の梱包作業に戻るんで。