とある魔術の禁書目録(2)

とある魔術の禁書目録(インデックス)〈2〉 (電撃文庫)
とある魔術の禁書目録(インデックス)〈2〉 (電撃文庫)鎌池 和馬

メディアワークス 2004-06
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おすすめ平均 star
starやっつけ小説。
star独り善がりな一作。
star17日・・・・

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なんでいちいち表紙画像がないのかなあ・・・ラノベは表紙もかなり重要なのに・・・。まあ、愚痴はこの位にして。

まえがき代わりの注意事項

とある魔術の禁書目録」シリーズではある種の正念場。ちなみに読者にとって。
それはなんと言っても全編通してヒロインであるはずの「インデックス」が話に半端にしか関わってこない最初の巻であるからで。
まあそれなりに重要な役という感じで登場はするんですが、脇役風味、味付け係といった扱い(表紙にはどっかんと載っているんですけどね)。最初読んだ時「え、この扱いってどうなのよ?」とか思ってしまった。せっかく1巻で出した神裂も御坂も出ないし。
長編架空戦記物とかではそういった事ももちろんありますけど、シリーズ2作目でこれは、いやあチャレンジだねえ。大きな博打を打ったねえ。物凄い珍しい話の作り方じゃないでしょうか? まあ、長期的にはこの戦略は成功したと個人的には思っていますけど。

私の場合

幸いにも同時に3巻も購入していたので、この巻で止まる事は無かった訳ですが・・・。一冊づつ購入する人達にとっては、この巻を無事乗り越えられるかどうかがこのシリーズと付き合えるかどうかの最初のチェックポイントだと思います。この「とある魔術の禁書目録」シリーズ独特の展開に慣れるために必要なのがこの2巻という事でしょうか。
インデックスは間違いなく主役級のヒロインですが、本当の主役は間違いなく上条当麻その人です。という事は話の流れによってはインデックスも当然脇役っぽい扱いになる事がある訳です。これは結構ポイントです。
ですので、インデックスなどのヒロイン目的でこのシリーズを読みたい人は、特定の巻だけ購入するとかって選択肢もあるのかも知れません。基本的に一話一冊なのでそうした買い方が可能です(多少話の繋がりが悪くなるでしょうが)。
まあとにかく、インデックス目的とか、美坂狙いとか、そういう読み方も出来るという事で。

今回のお話

ところで今回は「三沢塾」(名前だけだと特定プロレスラーの私塾っぽいですが何の関係もありません)というカルト化した科学宗教集団と、アウレオルス=イザードという最強最悪な錬金術師が当麻達の敵となって現れます。
ある目的のためにその特殊能力を狙われて三沢塾に捕らえられたヒロイン・姫神秋沙は一度は三沢塾から逃げ出して来るのですが、また彼らに確保される事となってしまいます。
当麻はステイル経由でその情報を与えられて、インデックスの時と同じようにまた首を突っ込んで行く事になるのですが・・・果たして当麻は姫神秋沙を「三沢塾」から無事に救出出来るのか? というのが基本的な話。
実際には背後で蠢く学園都市の陰謀の一端らしきものが見え隠れするのですが、その辺りについては本編をどうぞ。「とある魔術の禁書目録」を読み続ける限りつきあう事になりそうな陰謀です。

とまあ

今回はローマ正教の一種の最終兵器なども飛び出して、全力で魔術寄りのバトルが展開されます。
戦いの激しさを当麻の出血量で比較した場合は、この2巻がシリーズ全部を通じても最大量ではないかと思う(なんだそのいやな比較)。
まあ全体の感想としては、やっぱりある種安心して読めるシリーズではありますね。独自設定で読者を適当に置いてけぼりにしつつもまあ、程よい(微妙?)な展開で話をまとめてくれます。

ここに気をつけて読んでみよう!

このシリーズの正しい楽しみ方として

  • 「当麻が怒ってぶちキレて『その幻想を破壊する!』過程をシンプルに楽しむ」

というスタイルと、

  • 「魔術師やら超能力者が語る薀蓄ネタに幻惑されつつなにやら分かったような気になって独自の設定を楽しむ」

というスタイルを平行利用して楽しむのが良いのではないかと思っています。
そんな訳で主役の当麻についても、1巻の最後でアレしている割には特に変化が無いのは、まあつまり

「どこまで行ってもそういう人間だった」

って事で力ずくで強引に納得するのが吉なんでしょうね。少年誌的展開&上手く騙されるのがポイント。難しく考えたら負けだ!がこのシリーズの合言葉(だと思う)。作者の言葉に乗っての程よいのめり込み方で読み進めましょう。

総評

まあ、微妙な本ですね。星の数は・・・う〜ん3つ?
全体の構成に微妙な難ありって感じだったかな・・・結構無駄なエピソードが入っていたと感じたし。
鎌池和馬は勢いで本を書くタイプだと思うので、その勢いから来る文章のリズムはそれほど悪くはないけど、勢い余って無駄な音が多いって感じかな。微妙に失敗したジャズとか?
というかもっと簡単な減点対象としては姫神秋沙のキャラ立ちが弱かった分4つから星一つ減で3つって所。とにかく姫神秋沙のキャラが弱いな・・・一冊の本の中でインデックスとページ数を分け合う様な形になったし絡みも少ないから不憫だ。巫女さん衣装で出てくるにも関わらず、目立たない。
まあ彼女が個性を見せだすのはもっと話が進んでからの事なので、もし間違ってファンになってしまった場合は我慢して次回の登場をじっと、じっと、じっと待ち続けましょう。報われる日がきっと来ると思いますんで・・・たぶん。
長編シリーズ化しているからまあこんな時もあるって感じですか。もちろんもの凄く面白いと感じる人もいるでしょうけど、個人的には一つの通過点と割り切って読むのもありかしらんなどと思ったりする。