円環少女4 よるべなき鉄槌

円環少女 (4) よるべなき鉄槌 (角川スニーカー文庫)

円環少女 (4) よるべなき鉄槌 (角川スニーカー文庫)

毎回毎回色々手を変え品を変え楽しませてくれる円環少女シリーズですが、今回は今まで微妙な暗躍を見せていた「王子護ハウゼン」がメイゼル達に危険を及ぼすポジションに出てきます。そして、主人公・専任係官の[沈黙]武原仁の元に現れる彼の妹・舞花の「欠片」。彼の過去と今が鴉木メイゼル倉元きずな神和瑞希を巻き込んで交錯する第4巻。2、3巻で受けた仁の所属する「公館」側の痛手は大きく、それが刻印魔導師達の不穏な動きとなって表面化しつつあった。
刻印魔導師達による「悪鬼」達に対しての破壊活動の匂いを嗅ぎ付けた仁達は、それに対処するべく動き出す。それと前後するようにアラクネという刻印魔導師が2、3巻の主題となった「グレン・アザレイ」の重要な情報を持って「地獄」に堕ちてきていると言う情報が伝えられるのですが・・・。

相変わらずの異常ともいえる精密な設定で魅せてくれます「円環少女」の第4巻。メイゼルの美味しい発言やら、きずなの微妙な色気やら、楽しみどころ満載です。新しく登場したキャラクター陣も面白いキャラクターばかりです。「公館」に所属する「茨姫」オルガ・ゼーマンはとっても奇矯な行動で読者を楽しませてくれます。これほどラノベ登場直後に×××(伏せ字)を連発した女性キャラは絶後でしょう。美人なんですけどね・・・。ちなみに上で名前の出たラクは円環体系の魔術師なのですが、これまた非常にハッピーな性格でキています。さらについでに巻き込まれキャラで涙目がメイゼルの嗜虐心をくすぐる寒川紀子も今回なぜか登場します。

では主要なキャラの魅力をちょっと引用してみます。
メイゼルから。

「今のせんせ、ずぶ濡れの子犬みたいにかわいいんだけど、どうしたらいいかしら?」

もうその例えが普通の発想ではないですね。順調に女王様の道を歩んでいるようです。
そして、きずな。

流し台でまな板を水洗いしているきずなの、後ろ姿をぼんやり眺めてしまう。ジーンズ越しでもはっきりわかるおしりのまるさというか、腰から胸にかけての、ためのきいた曲線というか、いつまで見ていても飽きない気がする。

ちなみにこれは仁の視点での語りなんですが、このねちっこい描写! 仁がエロいのか、きずなの体がエロいのか、はたまた作者がエロいのか、あるいはこういう箇所を引用する私がエロいのか分からなくなります。
最後に瑞希

「…………カレー……奇跡…起こすから」

なにげに名言です。カレーにはカレーの神様がいるからな。

他にも良い発言は沢山あったりするんですが、この辺にしておきます。今回はなんか色々な展開がグワッとおきますので、見所ばっかりという印象です。そして、ここまで敢えて避けて書いてきましたら、仁と彼の妹の舞花が、なぜ専任係官になったのか、そしてどのような道を歩んで行く事になるのか、と言った話の一部が描かれます。主人公の仁の過去はあまり語られてきていませんので、必見です。

正直、言いたい事は沢山あるのですが、魅力を損なう可能性がありますのでこの辺にしておきます。一見すると本自体は薄いのですが、内容盛りだくさんのお買い得商品です。私はこの4巻でも十分楽しませてもらっていますので、問答無用の星5つです。「円環少女」シリーズは正直個人的殿堂入りになりつつあります。しかもこの4巻、今までの作品に比べて最大のネックだった「読みにくさ」がかなり改善されてます。まあ、4巻になって読みやすさがアップしても、正直1巻で諦めてしまった読者が帰ってくるとも思えなかったりもしますけど・・・。
という訳で「円環少女」4巻の感想でした。