神様のメモ帳

神様のメモ帳 (電撃文庫)

神様のメモ帳 (電撃文庫)

実は予備知識無しの表紙買い。なので表紙画像が無いと寂しい。

ストーリー

もの凄く簡単に言えば、ニート探偵(ひきこもり)少女・アリスと、彼女に関わりを持つ事になった少年・藤島ナルミ。ナルミが物語の語り部探偵物語です。
ナルミは元々一人が好きがちな少年ですが、篠崎彩夏と出会う事で、少しだけ彼の生活が変わる事になります。その彩夏に誘われる事で、アリスとも会う事になるのですが、彩夏の兄のトシが何か危ない事に足を突っ込んでいる事が分かってきて・・・という話。

微妙にGOSICKに似てない? → そうでもないか・・・

探偵ものという感じですが、読み始めに思ったのは現代版「GOSICK」かな? という感じでした。読み進めて行くに連れてその印象は薄らいで行きましたが。探偵役のアリスも、主人公のナルミも、あまりにも弱い人たちです。アリスは言葉は鋭く高い知能を感じさせますが、棘が多過ぎて逆に不安げに見えました。ナルミはそもそも、生命力を感じないタイプの少年で、気力や覇気といったものが元々無いかのようです。彩夏も一見元気に見えますが、不安定な精神状態を隠すかのように明るいです。彼らは事件に巻き込まれる事で変わって行く事になるのですが。

登場人物達とか、表現の仕方とか

登場人物は変わった人物ばかりで、普通の人間から見たら目的を喪失した人種ばかりです。
あるいは社会不適合者とでも言い換えた方がいいでしょうか。特殊な才能を持ちつつも、それを生かす方法を知らないし、生かす気もない。戦える力は持っていても、戦う意味が分からないし、目的がないという。ベトナムに負け戦と知りつつ向かった米兵みたいな感じでしょうか。
で、それを端的に表現するのに「ニート」という言葉が使われていたりしますが・・・個人的にこうしたマイナスイメージを持った言葉で人間性をくくる表現方式は個人的に好きではなかったので、ちょっとなあ、と思ったりもします(作中の登場人物達がマイナスイメージを持っているかどうかまでは分かりませんでしたが)。また時に無駄に理屈っぽく感じたのも(特にアリス)マイナスでした。

結論

本編を上記のように思いながら読んでいましたが、最後まで読み進めると意外や意外。切なくて、哀しくて、美しくて、痛くて・・・という辺りに作品を落ち着けてくれました。結構楽しめました。正直途中までは残酷な展開になるのかなーって感じでしたが、読了後には悪くない気分の所に軟着陸させてくれました。うん、悪くない。

星4・・・3ですかね。次があったら買ってみようかなと思えました。ゴキゲンな話では決して無いので、楽しい気持ちになりたい人にはお勧め出来ません。そうですね、乙一とかの「さみしさの周波数」とか「あなたにしか聞こえない」辺りの物悲しい短編が好きな人なら行けるかなって感じです。
しかし、中盤の展開は物悲しいとか言うより(微妙に?)中二病の気配が漂っているので、あまり若さ独特の悩みや鬱屈などが中心にある話が好きじゃない人には向かない作品かも知れません。しかしまあ、悪くないと思います。

感想リンク
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