時の果てのフェブラリー
時の果てのフェブラリー―赤方偏移世界 (徳間デュアル文庫) | |
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最近山本弘を連発しているけど、まあいいか。これはもう純粋SFですね。実に濃いSFです。
ストーリー
地球上に「謎の重力異常地帯」が同時に幾つか発生して、それが原因で大災害が発生します。その異常の原因も理由も全く分からないのですが、そこでフェブラリーと名付けられた少女が謎の解明に乗り出す事になります。もちろんフェブラリーはただの少女ではなく、「外界から取り入れた情報を言語化する事無く脳内で処理出来る」という特殊な才能を持っています。
作中でもフェブラリーの能力はもちろん説明されますが、簡単に言うと、人間が林檎を見た時に、「林檎」というくくりに入れてしまう事で排除してしまう「赤い」とか「木の実」とか「熟れ具合」とかその他の雑多なあらゆる情報をそのままの形で排除する事無く処理出来ると言う能力です。そのために彼女は非常に優れた直感力を発揮します。
で、フェブラリーとその他の軍隊の同行者(調査協力と研究と護衛)をつれて「スポット」と名付けられた異常重力地帯へと入って行くのですが・・・その最奥で見た真実とは!? といった感じでしょうか。
特徴
上にも書きましたけど純粋SFに近いです。限りなく純粋SFです。異常重力地帯が発生した事によって起きる天変地異が非常に論理的に説明されて行くのですが、その描写が素晴らしい。ちょっと悪のりくらいに濃いですが。
- 数メガヘルツの高周波地場による電磁誘導現象による金属の加熱や電子機器の異常動作と金属の加熱
- 地場によって螺旋状にねじ曲げられた大量の落雷の発生
- 重力低下による気圧の変動によって発生した低気圧によって出来上がる巨大な嵐
- 「スポット」内での異常重力によって内部で加速される時間と、それによって発生する光の赤方変移現象
- 目撃されるUFOの様な謎の物体
- 「スポット」付近で発見された謎のタンパク質のバターのような物体
などなどなどなど。そしてスポットに侵入するに従って変化して行く環境を緻密に、具体的に、論理的に説明してくれます。まあ、その説明の濃い事、濃い事。SF好きには堪らない内容ではないでしょうか。SF的幻想に満ち満ちています。
面白いかどうか?
楽しいのではないでしょうか? 確かに赤方変移や重力異常からなる現象、などの説明はされますが、あくまで「『スポット』の謎を解く」という事と「少女フェブラリーの成長物語」というメインテーマを外さない程度に描かれます。登場人物が多い割にはそれぞれにきっちりと役割「アクション」「解説」「人間性」が振られている為に、それ程散らかった感じがしません。これは上手い事機能していますね。正直上にあるような現象の論理的な説明に付いて行く事が出来なくてもそこそこ楽しめると思います。
そしてちょいエロ
いやあ、フェブラリーは11歳の少女なんですが、微妙にエロい目にあったりするんですよ。なんか揉んだり、体の芯が反応しちゃったりするような出来事なんですけどね。これがまたホンのちょいの描写といえばそうなんですが、実になんというか、エロい。作品自体が非常に濃いSF的世界観のため、そこだけ「メカに囲まれた裸身の少女」のような浮き出すような鮮やかなエロがあります。正直想像すると・・・あー、いいねコレ。こういう仄エロいの好きだし。ちょっと引用しようかと思ったけど、やめます。もったいない。
結果
個人的に星4つですね。この本は1冊で完結しているので、まあ続編が読みたいとかいう気持ちになる訳ではないですが、正統な続編があったら読んでみたいとは思います。古い方のイラストは結城信輝氏ですね。新装版(上のアマゾンのリンクはこちら)も出ているようですので、入手はそれほど困難では無いと思います。