麗しのシャーロットに捧ぐ

麗しのシャーロットに捧ぐ—ヴァーテックテイルズ (富士見ミステリー文庫 83-1)
麗しのシャーロットに捧ぐ—ヴァーテックテイルズ (富士見ミステリー文庫 83-1)尾関 修一

富士見書房 2007-01
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おすすめ平均 star
star衝動買いにしては上出来な収穫。
star人形の館で起こるサスペンスホラー。

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ゴシックホラーで多分良いんでしょうね。あとはミステリー。ホラーのカテゴリの代わりに「ダーク」に入ってますけどね。

富士見ヤングミステリー大賞」の「大賞」じゃないのは、なぜ?

「佳作」だという事ですが。
なにそれ?
猛烈に理解に苦しむ。多分大賞作品は読みやすさを評価されたのかも知れませんが、でも「富士見ミステリー文庫」でしょ? 「ミステリー」なんでしょ?
とにかくこういったら反感を買うかも知れませんが、「僕たちのパラドクス」と「麗しのシャーロットに捧ぐ」を比較した場合、明らかにミステリーとして「麗しのシャーロット」の方が完成度が上なんですけど・・・。正直にいって、勝負になっていません。
恐らく、本当に恐らくですが、確かに「僕たちのパラドクス」の方がラノベとしては読みやすい(難しい事も無いし、捻りも無いから)からなんではないかな〜なんて思ったりもしますけど、ちょっと読者を舐めてねーそれ? とか思った。
もし「富士見ミステリー文庫」側が「求めている作品」でない為に「佳作」になってしまっていて、もし(絶対そんな事無いと信じるけど)富士見編集部での評価が芳しくないのであれば、作者! 新しい作品を持って別の出版社へ駆け込め! 絶対行ける!
とにかく、この本と作者の事を表現するのに一番適切な言葉は既に巻末のあとがきに書かれています。作者以外の誰かが作者に対して言った言葉みたいですが、
「君はもう、賞金稼ぎみたいなやり方をしているステージじゃないよ」
まったくもってその通りです。

作品はどんな感じ?

作品自体は確かに「ライトノベル」と呼べるところを少し逸脱する程ミステリーで、ゴシックホラーの要素も持っていて、少しだけファンタジックで、そしてある種の狂気に満ちていて・・・。数世代に渡って忍び寄る狂気とでも言いましょうか、あるいは運命とでも言いましょうか・・・うまく説明出来ませんが、盛りだくさんです。読者を選びそうな気もしますが、たまにはこんなシリアスなラノベを読んでみるのもいいんじゃないかい? ミステリーなんで殺人事件とかは起きますけど、まあたまにはいいじゃんね。
とにかく、私もそれなりに長らく本を読んで来ましたが、事の「真の姿」を知りたいが為にキャラクター表&出来事表を年代毎にまとめて独自に作ってしまったのは今作が初めてです。(・・・まあ今までは感想とかがあっても公開する場が無かったので「そんな事をしなくても良かっただけ」という事もあるとは思いますが・・・。)それを差し引いても面白いですね。面白い・・・うーん、興味深い? の方が適切かも知れません。そう、実に興味深い作品ですね。

評価ですけど

星4つ。ミステリーが苦手な私が星4つと言う事は、好きな人なら星5つついても不思議は無いですね。まったくもって。デビュー作がこれなら、今後も間違いなく期待出るでしょう。
ラノベ的な要素を排して本格ミステリーに走るのも良し、もっとラノベ的にしてラノベ界に撃って出るのもよし、どちらも自由に行けそうですね。でも多分だけど、ミステリで行くなら今のところホラー的な要素は外さない方が良いと思うな。文章が意外と淡白(ミステリ的な写実的な文章)なのでホラーが全体の味付け要素として結構マッチしているとか思いました。
とにかく全力を持って応援する。次回作にも期待したい。

感想リンク

ライトノベル名言図書館  booklines.net  まいじゃー推進委員会!  ラノベ365日  今日もだらだら、読書日記。  ライトノベル読もうぜ!

ほらー。読んだ人みんな評価結構高いよ〜? 読みたくなってきたじゃろ〜、じゃろ〜?

追記

「大賞」と「佳作」の差は、「読みやすさ」から来る「売れ行き」を重視したものではないか、という意見を伺ったのですが、個人的にそれは寂しいです。確かに「麗しのシャーロットに捧ぐ」は「僕たちのパラドクス」と比べた場合、「読みづらい」のは事実だと思うのですが、それが理由で評価が下がると言うのも、どうなんでしょうか?
恐らくこの2つの作品を比較した場合、「僕たちのパラドクス」に「麗しのシャーロットに捧ぐ」が劣っているところって「読みやすさ」だけだと思うんですよね。・・・まあ、個人的で勝手な感覚なんでアレですが。
もしそれが理由で「大賞」を逃すとするなら、なんか優れた文章を作れる人材が他の分野に逃げてしまったりする心配があるんですが・・・。どうでしょうね。