影≒光(2) 英国編
影〓光(シャドウ・ライト)―英国編 (集英社スーパーダッシュ文庫) | |
影名 浅海 集英社 2006-03 売り上げランキング : 141545 おすすめ平均 無難な作品 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
ストーリー紹介
主人公の星之宮光輝(ほしのみやこうき)は前作の傷を引きずりつつ英国に帰国。そこには彼が「師匠」とよぶ人物と「教授」とよぶ二人の人物が待っていた。教授は温和な人間だったが師匠は違った・・・帰るなり少しばかり殺されかける光輝だったが・・・そんなに鬼のような人物なのか? いえ、読者の期待を裏切らない展開です。
「師匠」ルーシー・キャロル。19歳。金髪、超優秀な魔法使い。しかし・・・ツン:デレ(9:1)?
「教授」オルト・キャロル。ルーシーの祖父。温和な性格。
光輝はとにもかくにも彼らの所に戻り、以前と同じように魔術的なトラブル解決の仕事を師匠と一緒に請け負う事になって行くのですが・・・。
フラグを立てる光輝と、嫉妬深いルーシー、そして御影
なぜかその自然体と、素直な反応と、無骨で嘘のつけない性格からなぜか女性に好かれがちでフラグを立てがちな光輝と、そのフラグを潰して回ろうとするルーシー。弟子と師匠の関係なのですが、ルーシーとしては修行の時以外は対等でいたいという願望もあるようですし、もうその好意は正直一目瞭然なのですが、好意というもの全般に疎く、かつ今は自分の事にいっぱいになっている光輝にはその事に全く気がついていないというのが面白いですね。とくにルーシーのキャラクターはもの凄く嫉妬深いキャラクターとして描かれていて、その嫉妬深さたるや空恐ろしい類いのものです。
それに「チャネリング」を使って光輝に相談後ををされたりする姉の御影ですが、ルーシーの好意に気がつきつつもそれを邪魔するような助言をしてみたりと、海を越えて女同士のバトルの戦端が開かれるのが微妙にコワい感じで良いですね。
相変わらずちょっと荒削り
一冊のストーリーとしてはちょっと短編を組み合わせて一冊にしたかのようなつぎはぎ感が全体を通して読むとありますので、作品の構成についてはちょっと難がまだまだあります・・・そこについては1巻より悪化した気配すらありますが、まあやっぱりキャラクターの魅力で一冊読めてしまう感じですね。新登場のルーシーは実にコワくて可愛くて面白いキャラクターですね。
消えない憎しみと、その行方
新しい登場人物の持っている憎しみと悲しみ、それに光輝の罪とその罰、彼らが一体どういう決着をつけるか興味がありましたが・・・うーん、渋い決着とは言えないと思いますが、悪くない結末だったと思います。作者のポリシーが見え隠れする感じですが、作者若いなーって感じもしましたね。何となくですけど。
総評
星3つですね。もう一つ何かあれば4つなんですが・・・うまく全体のストーリーの流れを作り出せればもう一段面白い所に行けそうなんですが、所々にボトルネックがあってリズムを失っているような感じがします。もうちょっとプロットの段階で時間をかければ良い作品になりそうな気がしますね。
あとやっぱりこの作品が全体の何巻なのかちゃんと表紙に書いて欲しい。本屋で困ったぞ。