影≒光(3) 陰陽編

影〓光(シャドウ・ライト)―陰陽編 (集英社スーパーダッシュ文庫)
影〓光(シャドウ・ライト)―陰陽編 (集英社スーパーダッシュ文庫)影名 浅海

集英社 2006-07
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starだいぶよくなりました

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ストーリー紹介

今回の主人公の星之宮御影(ほしのみやみかげ)です。次いで準主役とも言える新キャラクターが登場しますが、それがやはり退魔の家系に生まれた少年・紀詠狭霧(きえいさぎり)です。実家の退魔の家の家督を実の兄と争うはめになってしまっている少年です。今回彼の兄の執念とも言える能力/強さへのこだわりが、彼らを悲劇へと導いてしまいます。
一方御影はただの学生として試験勉強対策に追われていたのですが(彼女は成績が良くない)、家から緊急呼び出しを食います。近くの街で退魔を生業とする一族が何者かによって滅ぼされたというのですが・・・。

キャラの作りがやっぱり良い

相変わらずの安定感を持って発揮される御影の包容力のある人間性が光る一冊ですね。ついでイギリスにいる光輝も相変わらずチャネリングで参加したりする訳ですが、寝ぼけ状態の御影が語られたりして、やっぱり楽しいですね。
新キャラの紀詠狭霧はどちらかと言えば固い性格をしている少年ですが、その凝り固まった心が御影と触れ合って変わって行く様が結構丁寧に描かれていて好感が持てます。

今回はバランスが取れていて良い

前回まであった「短編つぎはぎ感」が消えて、リズムが良くなって読了までスムーズに進みました。この辺りは評価出来ます。作者のあとがきによるとページ数が結果として増えてしまったようですが、それは良い方向に影響したのではないでしょうか。前回は気になった「編集者の口出しカット」部分(多分ですけど)を作者が上手く消化出来るようになったという事ではないでしょうか。まあ、まだ安心は出来ないような気もしますが・・・。

やはり憎しみと罪を消化して行く物語

作者は「家族間の愛憎劇」というのに取り付かれた感じがありますが、まあ持ち味と言っても良いかも知れませんね。あまり同じような話の展開をもう一度されたらたまらない感じですが、今回まではOKじゃないでしょうか。

総評

星4つ。前回減点の対象となったリズムの消失が今作では奇麗に消えていて良いですね。キャラクターは1巻からと同じように魅力的ですし、減点対象が減ったので自動的に点も上がりました。あと何かもう一つ抜け出るものがあれば、星をもっとあげる事も出来そうですね。先が楽しみな作者になってきました。
イラストも枚数こそ少ないものの、要所を押さえている感じがしてなかなか良いです。

やっぱりこのスーパーダッシュは・・・

巻数を付ける気がないのね。正直これはむかつく。「英国編」と「陰陽編」、どっちが先の物語なのかタイトルだけでは全然わからんじゃないかい。