DADDYFACE 冬海の人魚

DADDYFACE冬海の人魚 (電撃文庫)
DADDYFACE冬海の人魚 (電撃文庫)伊達 将範

メディアワークス 2001-01
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star最高!!
star本気で鳥肌が立った
star娘萌えだけではないです

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久しぶりの紹介になる3巻です。

ストーリー

前作までで完全に「ダーティ・フェイス」であると勘違いをされてしまっている草刈鷲士ですが、今回は比較的普通の始まりです。例の鷲士に「ぞっこんラブ」の困ったチャン・麻当美貴が相談する訳ですね、結城樫緒に。「どーやったら鷲士との仲が深まるのか? 取り持ってくれない?」という訳です。時々コワい女ですね。という訳で大学の同級生と一緒にある旅館でバイトをする事になるのですが、鷲士が海岸で謎の少女を助けたり、変なものに襲われたり、現地の「人魚伝説」が関わって来たりと、結局バイトになりませんねえ、という。

本当に凄い鷲士の人生

今回鷲士は途中で風邪をひいてダウンしてしまうのですが、その際恐るべき事実が明らかになります。体の調子が悪くなると「左足を引きずる様になる」というものですが、そこにはとんでもない事実が隠されていたりしました。それにしても彼の半生は不幸の連続と言っても良いものかも知れませんが、それをエネルギーに変えて、いや、エネルギーに変えているという意識すら無く前だけを見据えているのが彼の魅力かも知れませんね。本当に優しい男です。

本当はコワい麻当美貴

何しろ鷲士の事となると人が変わる彼女ですが、昔の一件以来精神的にどこか不安定な所を残しっぱなしにしていて、今回鷲士が左足を引きずり、風邪で入院してしまう事で彼女も鷲士の体の秘密を知ってしまう事になります。そして結果「ガリガリ」という事をやらかしてしまいます。
情が深くて、脆くて、優しくて、不安で仕方が無くて、でも大好きで・・・というストーカー気質全開バリバリの彼女ですが、それでも魅力があるのはなぜでしょう。可愛いから? うーん、そういう不安定な所も含めて彼女の魅力なのかも知れませんね。
元気がある時なら疲れる女の子も、いいものね? で、鷲士にはその元気(包容力という)が大抵の場合あると。想像以上にお似合いなのかも知れません。

本当に悲しい今回の話

力や権力に引き裂かれてしまった「過去の」一組の恋人達の話と言っても良いかも知れません。その過程の描写は結構えげつなく、しかも救いらしき救いがありません。この辺の描写のためにトラウマ本にしてしまう人もいるかも知れません。という訳で「トラウマ/エグい」カテゴリ追加です。それでも恋人達は強く未来に向かって行くのですが・・・これからの彼らに幸あれかしと祈らずにはいられません。ちょいエロな感じもありますが、笑えませんねえ・・・。

総じて

いわゆるエイリアンシリーズの「エイリアン邪海伝」にモチーフを求めている感じがありますが、話は全然違うのでパクリ感とかは全くありませんのでご安心ください。
星4つですね。面白かったです。でももうちょっとハッピーな展開が個人的には好みだな。もちろん最終的にフォローはあるんですけど、それでも「笑ってごまかせワッハッハ」位の話の方が好きな私です。
でも実はここまでしか読んでいないんですよね、このシリーズ(汗)。続きを読んだらまた感想を書きます。