狼と香辛料〈4〉
狼と香辛料 (4) (電撃文庫 (1390)) | |
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ストーリー
「ヨイツ」を求めて情報を得るために立ち寄った街。そこからさらに辺鄙な村に向かったロレンスとホロ。そこに古い異教の神々について詳しい司祭がいるという事だったのだが、行ってみるとそこには司祭とは思えない一人の少女がいるだけだった。しかもロレンス達はその少女にすげなくあしらわれてしまう。何とかして情報を引き出したいホロとロレンスは一計を案じるのだが・・・。
そしてそれと平行する様にして二人が逗留する村に巻き起こる問題。ロレンスとホロはこの事態を無事に乗り切る事が出来るのだろうか・・・?
ちょっといまいちだったかな・・・?
話の作り自体は今までと変わらず十分な構成力を持っているのですが、今回はちょっと緊張感に欠ける感じがありました。うーん、エピソードを良く作っているな、色々良く調べて小ネタに説得力を持たせているな、と感心する所は相変わらずありましたが、今回はロレンスに「直接迫る危機」という感じの話作りではなかったせいだと思います。
まあ、まだこのシリーズ続くでしょうから、今回はちょっと余裕のある息抜き話という感じで良いかも知れません。
そうは言っても結構驚き
刊行スピードは決して遅くない(むしろ早い)のに、これだけの話を作り込んでしまう作者の手腕には普通に賞賛を送りたいですね。
ロレンスとホロの旅の描写は、西欧の作家の書く「指輪物語」やらから連綿と続く本格ファンタジーの「濃すぎる描写」を程よく削って、日本のライトノベルにちょうど良い位に意訳して書いているくらいのリアリティがありますね。
ここが魅力と言ってはなんですが、ハヤカワ辺り(ピアズ・アンソニイとかデイヴィッド・エディングスとか)の海外ファンタジーが好きな人も読めるのではないでしょうか。というかこの辺の本しか読んでいない人なら、いわゆる「ラノベ」の入門書としてどうでしょうか。
ちょっと濃くなった正統ファンタジー色
しかしその反面、ちょっとこの4巻では敢えて文字を割いて細かく描写された土着の空気とか、信仰とか、職業意識とか、田舎の住人とかが、いわゆる日本の「ラノベ読者」にちょっと受け入れにくいマニアックな領域に「ちょい足を突っ込んだ感じ」が出て来ているように思います。あくまでそういう印象を受けたといったレベルですが。
というか今回の話が商取引中心の話でなかったせいだとは思いますが、今後は適当な所でさじ加減をコントロールしてくれる事を祈ります。
恋愛模様がね〜
もうヤってしまえロレンス。
・・・それでもま、ま、何となく、どことなく、イチャつき指数が上がっているので良いんですけどね・・・。多少ロレンスの鈍感も改善の気配があるような無いような気もしますし・・・。
総じて
星4つかな。もうちっとラブな感じを全面に押し出してくれても良かったんじゃないかと思いますが、私はまだまだ気も長いので許します。こういうゲームっぽい恋愛も悪くないですしね。頑張れロレンス。
イラストは相変わらず良いですね。安心のクオリティ・・・と言いたい所ですけど、今回は劇的な場面が少なかったせいか、絵師の文倉十氏はイラストに苦労したかも知れませんね。