モノケロスの魔杖は穿つ

モノケロスの魔杖は穿つ (MF文庫J)

モノケロスの魔杖は穿つ (MF文庫J)

濃いなあ・・・設定が。

ストーリー

魔術的に既に崩壊している国、日本。しかし多くの国民はそれを知らずそのまま暮らしている。日本の魔術崩壊の元となったある凄まじい12年前の事件の際に、一人の少年が少女に守られた。あなたが大人になって「新しい月」になるまで私が守ってあげる、と。少女は言った。
そして、12年の時が過ぎ、少年が大人と認められる日が近づいていた。

魔術の設定が濃い・・・のは良いけど

一応ラノベ読みの人間だったり、ある種のマニアックさを持っている人間であれば、「冠(ケテル)」の言葉が出て来た段階で「ああ、カバラとセフィロトの樹ね。この話での『王国』はカバラ的で魔術的な『王国』なんだな」と分かるのだけど、知らないとただの魔法戦闘と混乱という感じでちょっと大変。ちょっと説明に関する部分が性急に感じる。もう少し手の内を晒しても良いから、世界観に対する説明を(出来れば簡単な図付きで)してほしかった。

主人公の魅力が弱いかな?

ちょっと後半にかけて人間性を描写する場面が少ないため、あまりにも冷静沈着かつどっしりとしているというイメージが強くなりすぎて感情移入がしにくかった。前半はそうしたイメージを持たなかっただけに(どちらかというとコミカルでよかったなあ・・・)、残念。

モノケロスって・・・

一般的にはユニコーンの別名として(Monoceros)があるみたいだけど、それ以外にも王家の紋章としても使われる事があるみたいですねえ。これがこの話の「王国」とどの程度関わってくるのかは分からないけど、ちょっと興味があります。この一冊の本編ではさっぱりまだまだ分かりませんでした。でもなんかやっぱり濃そうですねえ。

うーん

総じて星3つかしらん。まだまだ未知数なのでなんとも・・・この展開なら2巻を出さなかったらふざけるなって感じなので、当然出るでしょう。というかこういう場合はヤでも(1)ってタイトルに入れろ。
ラスト近くの作者自らの解説ですけど、これ、作品中に織り込んだらもう少し話が分かりやすかったんじゃないでしょうかね。
イラストはまあ所々遊び心が感じられてまあ良いと思いました。