E.a.G.

E.a.G. (電撃文庫 し 9-7)
E.a.G. (電撃文庫 し 9-7)柴村 仁

メディアワークス 2007-02
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「我が家のお稲荷さん」シリーズを読んだ事が無かったのだけど、この本を読んで俄然興味が湧いて来た私。

ストーリー

場所はスラム。日本人系、中華系などのマフィア勢力が争い、抗争が絶えず、人死にや軽犯罪など珍しくも何ともない場所が舞台。そこにゴドーは暮らしていた。そして、そのゴトーとある縁で知り合いとなり、彼を訪ねる名門女学校に通う一人の少女がいた。名前をキアラという。
スラムは危険な所だ。キアラの訪問が嬉しくない訳は無いのだがキアラを突き放したくなるゴドー。そしてゴドーは彼女に言う。「もう来るな」と。しかしその矢先、キアラの身に異常な事態が発生した。人が変わった様にしか見えなくなったキアラは自分をこう名乗った。
「俺はDDF/AH-07JD。空電体を駆除するために来た」
奇怪な事件が多発するようになり、生きた死体が待ち受ける世界となったスラムに巻き起こる事件を描いた超常アクション作品。

舞台イメージが結構いい

昔香港にあった九龍城砦と、軍艦島みたいな廃墟群と、さらに・・・なんだろ? 攻殻機動隊に出てきそうな町並みのイメージかな? 本編内部にはイラストはあまり無いのだけど、そのせいか想像力を膨らませる余地が沢山あって楽しめた。

ストーリーは複雑

結構多くの登場人物が出てくるのだけど、色々な勢力が混ざり合って、マフィアA、マフィアB、警察、売春街、その他謎の異界体などなど。入り交じって入り乱れて一体なにが起こっているのか時々もの凄く分かりにくい。でも妙な魅力があって、一気に読んでしまった。作品内部では実は多くは語られない。しかしその分想像する余地を上手く残してくれたって感じがする。
じっくり読むというよりは、何度か読み返してみたくなる作品かなあ。

キャラクターが良い

主人公(でいいのかな?)のゴドーがキアラに対して見せる微妙で不器用な優しさはもちろん、ヒロイン(でいいのかな?)のキアラ(の姿を借りたDDF/AH-07JD)とオマケの鴉の緊張感があるけど間抜けなようなやり取りとか、マフィアの最悪な連中なはずなのにそれ故に人間臭い行動とか、得体の知れない怪物達の奇妙な行動やら、刑事のデュパルーの脛に傷持つような憎めないリアルな人物像。
奇妙なバランスで成り立っている感じがふらふらとするものの、時にスカッと収束したり、また拡散したり・・・を繰り返す感じが気持ちいい・・・のかな? うーん、上手く説明出来てないような気がするな。
本編のシリアスな空気の中で時々挟まれるか乾いたようなユーモアがまたちょっといい。以下引用。

「ちょぴん」
ショパンだ、ショパン!」

総じて

星4つかな。想像以上に楽しめた感じがある。期待していなかったのだけど・・・。
イラストは章が切り替わる時に挟まれるしかないのだけど、数を抑えて一枚一枚のクオリティを上げているような感じがして好感触でした。口絵のカラーイラストの出来もムード(透明感?)があってお気に入り。
でもって、タイトルの意味、なんじゃろ?