鋼殻のレギオス(3)センチメンタル・ヴォイス

このシリーズも一気読み突入中ですね。

ストーリー

故郷を遠くはなれて<自律型移動都市>レギオスの一つである園都市ツェルニレイフォンに、過去の影が追いついてくる。
今までは名前だけで語られていた「リーリン」が実際にストーリーに登場し、彼女に危機が迫る。また彼の過去に間接的に関わった人物がツェルニにいる事も分かり、またその人物と試合をする事にもなってしまう。
また、都市の移動先に現れる滅ぼされた都市——。そこに調査に赴いたレイフォンの遭遇したモノとは?

登場人物が増えたなあ・・・

今回も何人か新しいキャラクターが加わるので、レギオスの世界はかなりにぎやかになってきます。特にリーリンとその友人であるシノーラ(特にリーリン)はレイフォンの過去として、そして恋の方面での有力候補ですし、それを後押しする変人シノーラもまた同じです。
また、レイフォンを目の敵にするゴルネオ&シャンテも単なる敵役に終わらないいい味を出していますし、端役と言えば端役だけどそれなりにキーを握っていそうな技術屋・キリクなどなど。
よくもまあこれだけキャラクターを出して書き分けが出来るもんだなあとか思わないでもないですが、ちょっと話の舞台がグレンダン(レイフォンの故郷)に飛んだ辺りではちょっと「誰だコレ」状態になったりもしました。・・・ま、十分許せる範囲だと思いますけど。

しかし・・・

恋愛関係というか、レイフォンを挟んでの女性達の目に見えない牽制のしあいが見ていて微笑ましい。世界設定がある意味死と隣り合わせのため、恋愛とかのシーンを挟んでくれてちょうどいい位の緊張感が出ていると言った感じ。
とりあえず、以下現在ゲートインしていると思われるキャラを紹介します。

  • リーリン

言わずと知れた「手紙の主」かつ、過去のレイフォンを最も良く知る人物。レイフォンと同い年の15歳。チューまではレイフォンとした事がある。ただし一回だけ。現在のレイフォン情勢が「完全な交戦状態」に陥っていないため、一応の最有力候補ではあるが、しかし、違う都市に暮らす事になったというのは大きなマイナス。今後この「距離」のビハインドを取り戻せるかどうかが鍵。距離を詰めたとしても単なる「幼なじみ」から抜け出せるかどうかも結構重要かも。今後の動向が注目されます。

  • ニーナ

レイフォンの所属する小隊の隊長。3歳年上(!)の18歳。堅物であまり女性らしい所を見せない剛の者なのだけど、内面はやはりと言うか意外というか実は結構乙女チック。今現在の「レギオス恋愛情勢」においては突出した位置にはつけていないものの、現在のレイフォンの内面に結構大きな影響を与える事の出来る人物でもある。行動に出るのに時間がかかるタイプではあるが、決めたら早い。今後どれだけ積極性を出す事ができるかが鍵になりそう。あるいはレイフォンが勝手に彼女を好きになってしまって「棚からぼたもち」状態も可能性としては捨てきれない。

  • フェリ

要注意人物。2歳年上の(!)の17歳。いわゆる無表情系のキャラで隙がない感じではあるのだけど、その実かなり積極的でレイフォン本人以外にはその気持ちは多分バレバレ。自分をファーストネームで呼ぶ事をまんまと約束させたり、自分専用の愛称をレイフォンに付けたり、状況が許せばくっついてみたりと「隙は自分で作る」「隙あらば穫る」という恐るべき女性。レイフォンと同じ様な悩みをもつ事から、精神的な距離も近い。これはヤバい。個人的にお気に入りキャラ。良く分からないけど萌える。

  • メイシェン

ある意味一番普通で一番女性的で家庭的で「安全パイ」といえば彼女。レイフォンとは一緒にいられる時間が短いため、友達の人脈を生かしたりしてじりじり接近を計る。今回まんまとデートらしきものをする事が出来るのだが・・・!? 他のキャラ(特にフェリ)が怒濤の攻勢に出ている関係でちょっと出遅れ気味か? あと武芸者ではないのでレイフォンの生き方に付いて行けるかどうかもちょっと未知数。しかし数少ない一般参加の女性なので頑張って欲しい。

はい、上記の通り

この作品の恋愛模様は私の希望通り完全な泥沼の様相を呈しておりまして、個人的に最高にいい気分です。・・・が、いつまでもこの状態が続くとも思えませんし、とにかくレイフォン本人が「恋愛どころではない」といった感じなので、周りの女性達からすれば「今は有利な位置に付ける事が先決だ・・・!」的な感じでしょうか。

それだけではないですよ

本編のメインストーリーの方も徐々に謎が明らかになりつつあります。自律型移動都市とはなんなのか? 都市の意識とはなんなのか? グレンダンの連中は何を求めているのか? などなどです。まだまだ謎だらけの本作ですが、少しづつ大枠が見えて来たといった雰囲気でしょうか。
あと、サブタイトルが「声」にまつわるもので付けられているのには今後何か意味が出てくるんでしょうか? 巻数が進むうちにネタ切れにならないかと心配です。

評価

星4つ。変わらず楽しい。しかしあと一歩ですけど星5つに微妙に遠い4つ、って感じでしょうか。
深遊氏のイラストは相変わらずのクオリティで、切り取る場面が個人的にとても良いと思います。酒場で騒いでいるシーンとか、アイスを食べているシーンの風景含めた奥行きのある描写とか、ラストの都市の遠景とか。たんなるキャラ描写に終わっていない所を高く評価しています。特にいいなと思ったのは口絵カラーの三枚目ですね。動きが感じられてじつに良いと思います。
・・・キャラの書き分けは・・・まあ、今の所問題無しですかね。