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あっさり風味?

ストーリー

主人公のフォロンは契約精霊のいる神曲楽士。契約精霊はコーティカルテ。何もかもを紅で染めあげたような少女の姿をした精霊だ。フォロンはツゲ神曲楽士派遣事務所に勤めていたが、まだ新米で神曲楽士としての仕事を一つもこなしていない若者。
今回そのフォロンに所長のツゲ・ユフィンリーが初仕事を渡す事になるのだけど・・・その結果が大きなトラブルに巻き込まれる元となってしまう。
シェアードワールド神曲奏界ポリフォニカ」で繰り広げられるアクションストーリーの第1巻。

うーん?

話は悪く無いけど、どーもキャラクターの描写が弱いな〜。主役の二人が特に弱い感じがするのが問題だなあ。あとがきによるとこれより前の出来事がネットで読めるっぽいけど、そんな事言われても・・・。

  • フォロンは・・・際立った特徴がない感じが強い。「頑張り屋」という描写があるけど、新入社員なら大抵頑張り屋だしなあ。もうすこし「彼らしさ」を出して欲しいなあ。なんというか、彼には印象的な台詞が少ない事がその事実を端的に表していると思う。
  • コーティは・・・なんでフォロンに入れ込むのかが今イチ判らない。神曲目当てって事なら判りやすいけど、そう言った単純なものでは無さそうだし・・・。コーティもインパクトのある台詞がもう一つかな〜。

その他の端役の方が尖っていて面白いし、生き生きしている感じが強い。主人公って事であえて強力な個性を抑えて描いているのかもしれないけど、ちょっと抑え過ぎかなあ。

こっちが先かあっちが先か判らないけど

時系列的には(黒1)→(紅1)→(黒2)ですかね。まだこの3冊しか読んでないのでなんともって感じだけど、ユフィンリーは(黒)でも(紅)でも大活躍ですね。彼女を通して二つのシリーズが繋がっているという感じでしょうか。
(黒)の出来事が(紅)にも影響を及ぼして、(紅)を読み終わった後に(黒)を改めて読むと、新しい発見があったりとか。(紅)にもマナガとか顔を出してるのね。ちょっとそういうの面白い。

総じて

星3つかな。
全体の構成は結構というか、かなり良いと思うけどなんだろうこの消化不良感?
多分ねえ・・・なんとなくだけど、最終的にパワーゲームの様相を呈する所が問題なんでないかな〜この本は。(黒)はアクション作品とは言い難いので、パワーゲーム的な所は殆どないから別の楽しみ方が出来るんだけどね。つまり泥臭い人間くささな描写が楽しい。(紅)はパワーゲームなので、機転を利かせるとか、アイデアで反撃とか、そういうのがあまりないんですな。人間力とか人格力という部分に文字を割かないので、今イチ感情移入し難いなあ。
ジョジョ」>「ドラゴンボール」な人にはちょっと辛い内容かなあ。逆の人の場合はひょっとしたらスゴく楽しめるのかもしれないね。
イラストは・・・ぶっちゃけ(黒)の方が好き。