鬼切り夜鳥子(2)京都ミステリーツアー

鬼切り夜鳥子2 京都ミステリーツアー (ファミ通文庫 ま 2-1-2)
鬼切り夜鳥子2 京都ミステリーツアー (ファミ通文庫 ま 2-1-2)桝田省治  佐嶋 真実

エンターブレイン 2007-02-28
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おすすめ平均 star
starはじける!ツンデレ美女の鬼退治
starこれもまた青春!
star夜鳥子の思慕

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いやあ、本当に好きだなあこのシリーズ。読んでいないなら、読まないと絶対損だと思うな〜。

ストーリー

1巻での学校を舞台にした鬼退治からしばらく過ぎて、桂木駒子久遠久、それに加えて三ツ橋初美と新登場の荒木乱雅は、修学旅行で京都に行くための新幹線の電車に乗っていた。あれから大きな変化があったかと言えば特にない毎日で夜鳥子も姿を現していなかったのですが、この旅行を切っ掛けにして夜鳥子がまた姿を現す事になるのでした。京都で起こっている連続殺人事件は、鬼の仕業だと夜鳥子はいう。
鬼と戦い続ける夜鳥子と鬼達の戦い、駒子と久の恋模様、ついでに三ツ橋のちょっと危ないドキドキ体験やら、荒木の一方的な憧れやらとかをごちゃ混ぜにしつつも結構猟奇的な感じがしないでもない和風妖怪小説の第二弾です。

ライトノベルだと

比較的珍しいのかな? 主人公とヒロインがもう「精神的には出来ちゃってる」展開っていうのは。いや〜あっちいあっちい、いや誰がって、駒子と久の二人ですけどね。新幹線の電車の中での一こま、ミカンを食べるシーンがあるんですが、剥いたミカンを駒子は久にあげなかったりするんですが、頭の中で考えている事がこれまたもう・・・。

——それにしても、Q……。
ミカンくらい欲しいなら欲しいと言えばいいのに。
そういう久遠の引っ込み思案なところが、駒子には歯がゆい。
だから、ファーストキスから先に進まないのだと思う。
「一言、気持ちを伝えてくれれば、丸ごとあげたっていいんだよ、Q」

どう考えてもミカンの話じゃないって所が個人的に何ともゴロンゴロンです。うっへーご馳走さま〜。もひとつオマケに一発。

久遠の背中は、大きいばかりでなく温かく、駒子の好きな匂いでいっぱいだった。
いとおしかった。油性のペンで”駒子(わたし)のもの”と書きたいくらいだ。

もう完全にメロメロじゃないっすか!
でもこの、お互い同じ方向を向いているのに何故か中々上手くいかないタイミングというか、全力で意識してるのにそれでも微妙に前に進まない感じが実に、とても、素晴らしいさじ加減で描写されたりします。ええですな。
久遠は久遠で、旅行中にこんな事を思っていたりします。

ニヤニヤしたのは、駒子パパの顔を思い出したからだ。一月前の騒動の最中、やむなく駒子を深夜に送っていったことが一日だけあった。家の前に立っていた駒子パパは、今にも泣きだしそうだった。その顔が一人娘の無事を認めた途端、パッと明るくなり、次に久遠を見つけて怒り大爆発! 百回くらい「すみません」と謝った気がする。
あの時から久遠は、駒子パパの格好悪さが大好きだったし、いつかこの人から「わかった。だが、一回、殴らせろ」と言われる男は、果報者だと思うようになった。
——お嬢さんを俺にください。心の中でつぶやいた久遠の口元が緩む。

そんなところまで脳内シミュレーション出来てしまっているのがもうなんともいいなあ。恥ずかしい野郎だ!こいつめ!こいつめ!
「もうYOU達結婚しちゃいなよ」とか某ジャニーさんとやらににいつ言われても可笑しく無い感じがたまらんですハイ。

しかし

何となく恋の伏兵って感じでちょこちょこ出てくるのが実は夜鳥子だったりするんですね。どうも昔の因縁とか前世の縁とか色々あるみたいですけど? 同じ身体にライバルがいるって言うのも変な感じですが、いやあ、1巻の時よりも夜鳥子が人間味を増していてまたコレがいいですわな。

ちなみに

三ツ橋はFからGに成長したそうです。一ヶ月でGってあなた、もうひと月前の段階でFでいっぱいいっぱいだったという訳ですかな!? そうなんですかな!? ・・・まあサイズのことはおいておいても、今回も三ツ橋の見せ場はあっちこっちにあったりします。旅先での出会いによろめきそうになったりとか・・・本人は結構ノリノリだとか・・・。進んでますな。

三ツ橋は、二匹の唐獅子”玉と虎”が自分の胸で飛び跳ねるところをイメージした。
楽しいことを考えれば、リラックスできて、少しは身体が楽になると思ったからだ。
セーラー服の裾から手を入れブラジャーをはずし、両の乳房に触れる。
想像の中で、玉の頭をちょっと撫でてみる。虎の鼻をなんとなく、つまんでみた。
いつの間にか、手の動きが大胆になっていた。気がつくと揉みしだいていた。
——アレレ、私は何をやっているんだろう。さっきまで呼吸を整えようとしていたはずが、これじゃ、逆効果だ。酸素が脳に行き届かなくなっちゃうよぉ。
そう思ったときには、もう止まらなかった……。
「あぁぁ、玉ちゃん……。あぁぁ、虎ちゃん……」

えー簡単に言うと、巨乳眼鏡美少女の一人えっちでっす!おーい、どんぶり飯もってきてくれ〜!
・・・いえもちろん、こんなんばっかしじゃなくて、旅行だって事もあってちょっとハメを外したりはしますけど三ツ橋が相変わらずの知性派である事にかわりは無いんですよ? しかし、ついこう言うところをピックアップしたくなるのがこのブログというかなんというか、いや〜、ラノベってほんっとうにイイもんですね!?

あとね

荒木乱雅って新キャラの少年も色々頑張りますけど、まあいいや、天パーの少年なんてどうでも(酷い扱い)。いや、彼もイイ味出しているんで本編では実に楽しいキャラですよ。

全体の展開も

シリアスあり、コメディあり、恋あり、涙有り、過去の因縁有りと盛りだくさんで、あらゆる方向から楽しませてくれる非常に贅沢な造りとなっています。

  • 青春の恋愛ものとして楽しんでよし
  • 妖怪変化との戦いものとして楽しんでよし
  • 京都の陰陽道に基づいた造りの巧みさについて楽しんでよし
  • 京都観光案内として楽しんでよし
  • ちょいエロ描写を楽しみにしてよし

ああ、なんて豪華なつくりでしょうか?

総合

星5つ。とっても楽しかった!
しかも伏線の張り具合から次もありそうな気配だし、絶対続きを書いて欲しいものですね。書いてくれなくちゃもの凄くいやだ。
ついでに駒子と久遠はそろそろ最後まで行っちゃってもいいんでないかな〜なんて思ったりもしますけど、しかし現在の微妙な感じも楽しかったりして(私は「いいからさっさとファックしろよ!」とか思いがちなので珍しいことです)、いやはや困りますな。
佐嶋真実氏のイラストの出来は相変わらずのクオリティで、表紙からして実に魅惑的で、しかも本文内の白黒イラストも実に好みにあっていまして、いいですねえ・・・。

感想リンク

なにやら感想を巡回していると、他のブログさんで「通りがかりの桝田省治」さんが出現している模様・・・本人!? そうだとしたら、うらやましいいいいいいい・・・。