暗闇にヤギを探して(3)

暗闇にヤギを探して 3 (3) (MF文庫 J ほ 1-3)
暗闇にヤギを探して 3 (3) (MF文庫 J ほ 1-3)穂史賀 雅也

メディアファクトリー 2007-04
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おすすめ平均 star
star僕的には結構気に入る結末です
starこれは評価を下げざるを得ない
starヤギよさらば

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超シュール

ストーリー

主人公の草加合人のお隣さんで幼なじみの世田谷風子の語りで始まる3巻は、いままである意味なぞのままだった風子の内面に迫る作品となっていますが、同時に最終巻でもあるという造りになっています。千早先輩に前巻で告白を受けた合人は、それからずっと悩み続けているのですが・・・結論を出すときがやってきます。

やっとか

まあ前巻辺りから言っている通り、既存のキャラを掘り下げて話を作ってくれたのはよかったですね。
しかも最初からキワモノとして登場してきていた風子ですから、そこは実に良かったと思いました。風子が高校入学から現在に至るまで、何を感じ、どう思い、そして行動してきたのか。その辺りが赤裸々に綴られていくのは絡まった糸がほどけるような感じがして小気味よかったですね。

しかしね

全体の展開という意味では超のつく変化球が飛んできましたね
これはライトノベル界で蔓延する「ある種の病」に対しての一種の反逆ではないでしょうか。まあネタバレなんで避けますけど、これはビックリしましたね。
主人公達の恋愛関係に完全に決着をつけてくれるとも(最終巻ではありましたが)実は思っていませんでしたし、こういう形で決着がつくとも夢にも思っていませんでした。意外や意外・・・ってそんな所に飛ぶの!? って感じですが、まあ真面目に恋愛を中心に据えて話を作ってきた作者の姿勢には一定の評価をしたいと思います。・・・が、やっぱり幾つか気になる所が。

  • 風子が着ぐるみを着ている理由。
  • 羽生まひるの扱い。
  • 2巻で出てきた幻覚はこう繋がったか! と思いましたが、それでもやっぱり良く分からない。
  • 長期連載になると必ずかかると言われる伝説の病の登場ですか!? マジですか!?

総合:オイオイ

星は不明。
コレを評価不能とせずして何を評価不能とすれば良いんでしょうか?
作者は・・・つまりある種の電波を受信している人なんだなと結論する事にしました。これはある種の前衛芸術と言っても良いかも知れません。超の付く駄作か、未来の名作か、どちらかです。
意外にキャラクターが良く書けているのがこの作品の不気味さをいっそう煽ります。結構名台詞とも思える言葉がちらほらあったりとか・・・しかしそれを上回って構成が奇々怪々。例の「アリフレロ」の様な異様なこだわりを感じる所はありませんが、きっと作者は天然でコレをやっているのではないかな〜? などと思ってしまいました。でなければストーリーはこんな所に着陸するはずがないです。・・・なにか変な意味で次が楽しみな作者ですね。
シコルスキー氏のイラストは・・・まあまあですかね。可もなく不可もないといった感じです。

感想リンク

Alles ist im Wandel  booklines.net  積読を重ねる日々
巡回しているサイト様では比較的良い評価の様子。・・・まだ読んでいなければ、この完結を機会に手に取られてみてはどうでしょうかね。不思議な作品です。