刀語 第五話 賊刀・鎧

刀語 第五話 賊刀・鎧(ゾクトウ・ヨロイ) (講談社BOX)

刀語 第五話 賊刀・鎧(ゾクトウ・ヨロイ) (講談社BOX)

ストーリー

四季崎記紀の作り上げた十二本の刀、その4本までを順調に手に入れた奇策師・とがめと、鑢七花(やすりしちか)の二人は、四本目の刀薄刀・針を手に入れた事によって旅に多少の余裕を感じ始めていた。とがめがこの旅を始める前に犯した失点を薄刀・針の入手によって殆ど帳消しに出来たと考えたためである。
そんな感じで二人は九州に上陸、温泉になど入ったりして骨休めをしていたのだが、災厄は向こうからやってきた。五本目の刀・鎧を持つ海賊・校倉必(あぜくらかなら)からの意外な申し出があったためだ。
とがめはともかく、その「申し出」の為に鈍る七花の刀としての切れ味。五回目の戦いの趨勢は果たして?

こんかいのおはなし

ドキドキッ!二人っきりで混浴!

今までの展開に比べると余裕のある展開ですかね。九州に温泉が多いのは有名ですが、そこで骨休めをしたりしている二人の姿が描かれたりします。しかも混浴です。温泉に浸かりながらお酒も入ります。
何か間違いが起きても少しもおかしくない状態ですが、まあ刀語ですからね。

「ちょっとくらいよいであろうが。それともわたしの勧める酒が呑めんというのか」
「………………」
「のーむーのー!」

どこの大人でどこの子供だとがめ。

ライバル現わる!恋の行方は!?

とがめに一目惚れしたとか抜かす奴が出てくる訳ですが、そのあたり七花くんは一体どのように考えているのでしょうか。この巻での二人の関係を端的に抜き出してみましょうか。

「そうか、気持ちいいのか……どうもおれのほうは、心の内側に変な感覚が芽生えていく感じがあるんだが……」
「何をわけのわからんことを言っておるのだ。足が止まっておるぞ。もっと踏め」

ん?

「頭とか、軽く踏んでくれるといい感じかも……」
「それはさすがに……いや、わかった」

対象ノ女性、真性マゾノ可能性アリ

なんてこと!とがめが恥ずかしいめに!

ついに来ました「ちぇりお」の謎! 暴かれる恥ずかしい秘密! 暴走する知性!
・・・正直この時のとがめの反応を引用したい気持ちでいっぱいですが、それをやったら読者の楽しみを奪いかねないので忸怩たる思いですが避けます。各自肉眼にて確認されたし
とがめの最高の見せ場です。・・・しかしこう見ているととがめってこんなんばっかしな・・・。

あれ?

なんか見出しだけ見るとおバカラブコメみたいですが、本編は前作のひっくりかえるような展開から一転して、非常にオーソドックスな展開ですね。なにやら四巻でアレをやらかしたのでその反対をこの五巻でやったような感じですね。
今回は「まにわに」の活躍もあり、さらに別の勢力が現れたりと、今後の展開の布石となるような所も多く書かれていますね。四巻で第一章が終了し、第二章がこの話から再スタートという感じかも知れません。ひょっとしたら西尾維新の本領発揮はこれからかも知れません。

総合

星4つ。
オーソドックスながらもラノベの基本をきっちりとおさえた確実なストーリーですね。十分楽しめる出来です。伏線が今後どうなっていくのか興味津々と行った所でしょうか。