クインテット!
- 作者: 越後屋鉄舟,せんむ
- 出版社/メーカー: ソフトバンククリエイティブ
- 発売日: 2007/05/12
- メディア: 文庫
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ストーリー
椿敬助は脳みそがスパーク気味の父と二人で暮らしているちょいワル高校生。どちらかと言えば親分肌の彼の所にお隣の幼なじみが仕方のない理由で同居する事となったのだった。まあ無難に考えれば幼なじみと同居!とかは人生の一大事となるはずなのだけど、その後に訪れる一連の出来事が幼なじみパワーすら吹き飛ばす破壊力を持っていたのでした。
次々と理由付きで現れる「少女たち」。一人は突然再婚すると言い出した新しい母の連れ子、一人はかつての子分で敬助を慕う社長令嬢、一人はスパークオヤジが勝手に決めた許嫁、一人はやはりスパーク馬鹿オヤジが拾って来たアイドル。
正直あらすじを考えるだけでちょっとだけ頭が痛いコメディ作品です。
トンデモ本か?
- 幼なじみ
- 義理の妹
- 昔馴染みの少女
- 許嫁
- アイドル
列挙しただけで頭が痛くなる感じですね。
正直作者があの個人的トラウマ本「花守」の作者でなければ購入しなかったでしょう。・・・何となくですがこういう女の子の数を増やして「下手な鉄砲も数撃ちゃあたる」的なストーリーがあまり好きでは無いという事もありましたが(「でぃ・えっち・えぃ」とかその典型ですかね)、まあ「花守」の作者ならそういう単純なエロボケ話にはしないだろうと、そう思って購入した訳ですね。
しかしまあ
読んでみてまあまあ行けるかな? といった感じですかね。
まだまだキャラが弱いですし、JOJOネタ、ガンダムネタ、三国志ネタなどを交えたギャグも微妙に切れ味がない(と思う)んですが、それでも意外や意外、主人公の椿敬助くんの魅力で最後まで読ませてくれたという感じでしょうか。
しかし、その反面少女たちは数が増えてしまった分どうも一人一人の掘り下げが弱く、キャラが立ってて良かったな〜と思えたのは、
- 「《社長令嬢》赤嶺遊恋子(あかみねゆここ);主人公との出会いのエピソードが結構良い」
- 「《義理の妹》椿小唄(つばきこうた):中盤の謎のお出かけエピソードでの主人公とのやり取りが良い」
- 「《アイドル》陣内ツバメ(じんないつばめ):彼女を匿う事になるエピソードが非常に馬鹿臭くておかしい」
の三人ですかね。
ラノベで何故かないがしろにされる傾向のある幼なじみの涼原ひだり(すずはらひだり)、京都弁を話す以外に強烈なエピソードのない許嫁の遠野操(とおのみさお)、この二人はまだまだです。
女の子メインの話のはずなのに、一番記憶に残ったのは主人公の椿敬助と、父でありスパーク馬鹿でもあるけど最初の方しか出てこない楽太郎(とにかく口絵カラー一枚目の凶悪そうな面構えがもう色々とナニです)、そして端役(?)の「《ござる娘》相笠十兵衛(あいがさじゅうべえ):主人公のクラスメイト」ですかね。うーん何かおかしくないか? と思わなくもないですが。
まあこの手の話で「もの凄く楽しい!」と思えた本があんまりないので、これからどうなっていくかちょっと慎重に見守りたいですね。
純粋コメディですけど
どうも裏テーマとして多分ですが「家族」っていうのがあるのかな? なんて思ってみたりして。
ちょっとえっちいラブコメ展開になるかと思えばそういう感じにはならなかったので、多分2巻も購入するかと思います。でもコメディ成分の配分を間違えて、シリアス分を変に増やしたりするとただのイカレ話になってしまうので(ラストのあたりちょっとギリギリでしたかね)、その辺りは作者に注意してもらいたい所ですかね。・・・まあ、悪はきっちりと滅んだので良いですけど?
総合
ギリギリ星3つかな。結構際どい。
作品としてはこれから面白くなっていく可能性があるので見捨てませんが、まだまだ怪しい感じがするんで要注意って所です。
イラストレーターはせんむ氏ですが、悪くは無いんですが、キャラの描き分けが微妙かなって思います。一番良かったのが遠野操のショボン顔ですかね。・・・あと、もの凄く下らない話ですけど、本編後半の白黒イラストで、口を開けているキャラの絵が何となく安物のダッチワイフっぽいんですけど・・・そんな事思うの俺だけ?