神様のメモ帳(2)

神様のメモ帳〈2〉 (電撃文庫)

神様のメモ帳〈2〉 (電撃文庫)

結構出てくれて嬉しい2巻ですね。

ストーリー

主人公の少年・藤島鳴海(ふじしまなるみ)は1巻で篠崎彩夏の巻き込まれた出来事を超えて、自称ニート探偵(ひきこもり)少女・アリスの探偵助手をやる事になった。それと平行してニート達の溜まり場でもある「ラーメンはなまる」でもバイトを始める。
そこへある時、ひとりの浅黒い肌をした少女がやってきます。手には大きなバッグを持って。少女は自分をメオと名乗る。彼女はニート探偵であるアリスに依頼を持ち込んだのだった。
「お父さんを探してほしい」
楽そうなはずの依頼は少女が持ち込んだバッグの中身によって俄然きな臭さを増して行き、裏社会までをも巻き込んだ大きな騒動へと発展して行く・・・。

アリス=ヴィクトリカだなあ・・・

正直な感想ですね。

「な、なんだい」
「抱っこしてもいいですか?」
「なにをばかなこと言ってるんだきみは!」アリスは真っ赤になって女の子の顔を押しのけ、後ずさった。

まあいきなりこんな会話が依頼者・メオとアリスの間であったりしますが。

類似箇所 アリス ヴィクトリカ
役所 物語上で探偵役である 物語上で探偵役である
姿形 小ちゃくて可愛い 小ちゃくて可愛い
性格 主人公に対しては基本的に毒舌 主人公に対しては基本的に毒舌
性格 意外に恐がりで弱さに自覚的 あまり恐がりではないが弱さに自覚的
行動 偏食家:ドクターペッパー 偏食家:甘いお菓子全般
行動 自室から滅多に出てこない 図書館のてっぺんと自室を行ったり来たり
行動 どうもネットばかりやっているらしい 放っておくと本ばかり読んでいる
好み ぬいぐるみ フリル

こんな感じかな?
ちょっと似過ぎているかなあなんて思わなくもないですが「キャラクターの魅力はどんなもんだろ?」とか思う人で「GOSICK」を読んでいる場合は、この話も楽しめる可能性が大きいですね。

似てるといっても

似ているのはここまでですね。アリスはアリスなりの言葉でこの話を牽引してくれます。

「ぼくとしては、平気で目を閉じて一日の三分の一を闇に委ねられるきみたちの方が不思議だよ。不安じゃないのかい。眠りと死は兄弟だというのに」
「不安なのかな。そんなにまわりじゅうのものが怖い?」
「怖いよ」

「すまない。これは自嘲だよ、気を悪くしないでくれたまえ。起きたかどうかもわからない奇跡が壊れるのを恐れるきみと、ありもしない世界中の敵意におびえるぼく。きみはぼくを嗤わなかった。だからぼくもきみを嗤ったりしない」

この素直さはアリス固有のものですね。

加えて

主人公の性格や行動を始めとして、周りのキャラクターの個性、舞台背景、事件の内容などが全く違っていて、作品全体で見ると全く違う魅力を持っている所が面白いですね。
特に事件の内容は如何にも現代的ですし、解決に至るまでのアプローチも全然違うかなと思えます。特に主人公が全力でヘタレなのが特徴ですが、よくよく読んで行くとヘタレどころか結構根性が座っているという結論に至る所が面白いです。
特に自分に対する評価の低い鳴海ですが、そうは思えないような行動や言葉を紡ぎだしたりします。

「勝手にいなくなる方は楽かもしれない。勝手にひとりで結論出して、勝手に納得してさ。でも、僕らは友達ができたら心の中にその人のための部屋を用意するだろ。色々片づけてスペースを空けてさ。黙っていなくなるなよ。だれもないない部屋だけ残って、僕らはどうすればいいんだ。そんなことなら、出会わなかった方がましだ」

1巻の出来事を経験して、彼は彼なりに成長をしていますね。

今回は

とにかくお金にまつわる話と、ヤクザたちがいる裏社会と表の社会の狭間で揺れ動く物語といって良いでしょうか。
立場が弱かったり中途半端だったりする社会的弱者と言える人が沢山出てくるせいでしょうか、どこかしら物悲しくて、どこかしら痛々しいという印象は同じですね。
そう言いつつもコメディ的な部分も交えて(鳴海を兄貴と呼ぶヤクザ?の皆さんとか)面白く読ませてくれるのは良いですね。

総合

星4つ。
安心して面白い感じです。
今回は特に鳴海君は頑張ったご褒美も出たっぽいですし、次の話を期待したいですね。まあ、ご褒美がご褒美なので、ひょっとしたら次の巻以降アリスとの関係がちょっと変化したりするかも知れませんが・・・その辺りも含めて期待したいですね。
イラストの岸田メル氏は「パラケルススの娘」と同じ絵師ですね。メオが可愛く描けてます・・・というかカラーイラストのメオちゃんはてぃ、ティクビが浮いてませんか!?
・・・まあそういう視点はともかく、カラーイラストで主要キャラクターを描きつつ、一人一人に対して主人公が「どんなヤツか」のコメントを付けてくれているのが嬉しかったですね。

感想リンク

booklines.net  Alles ist im Wandel  平和の温故知新@はてな  まいじゃー推進委員会!  灰色未成年  ライトノベル名言図書館  ウパ日記
灰色未成年さんの感想を読んで「あ〜その呼び方はあのマンガかあ〜!」と思い出しました。