神様が用意してくれた場所

神様が用意してくれた場所 (GA文庫)

神様が用意してくれた場所 (GA文庫)

ストーリー

池沢香絵は探偵事務所でバイトをする19歳。別に探偵になりたい訳ではないというのが探偵事務所の所長のお眼鏡にかなったらしい。
という事で毎日お茶をいれたり、掃除をしたり、書類整理をしたりなどといった仕事をしていた訳ですが、ある依頼を切っ掛けに探偵の助手のような事をすることになって行きます。
そもそも香絵にはある一つの秘密がありました。昔から彼女の周りでは「ちゃんと説明できない奇妙な出来事」が起きていたのです。本人はそれを嫌って今の生活を始めたのですが、やっぱり探偵事務所でも変な事件ンに巻き込まれる事になって・・・というお話。

理論的な説明がつかない

という意味では完全に「ミステリー仕立ての実はホラー」ですね。
香絵の周りで巻き起こる不思議な事件の全ては科学的に説明のつかない事ばかりで、投げっぱなしになるんですがそれでも十分楽しいですね。最近でにているといえば電撃の「付喪堂骨董店」とかが挙げられそうです(ちなみに出版順とか全然気にしてないので、こっちの方が先かも)。
ただし、作品全体の印象としては、悲しいはあっても暗いとがエグいという印象は少なくて、全体的にいい話、ですかね。

短編連作です

一つ一つの事件には繋がりは特にありませんが、一つの事件に一つの奇妙な出来事という形で構成されています。簡単に各短編を紹介してみます。

まぼろしの十字路

存在するはずが無い十字路に迷い込んで行方不明になってしまった男性を捜してくれという依頼が舞い込むお話。街の一角に現れる別の世界への入り口? の謎に迫る話。

脆い女

女性たちがこつ然と消えてしまうという話。容疑者らしい男はいるのだけど、全く手がかりがない不思議な事件が起きていた。香絵はその事件の真の姿に迫って行く・・・その裏側には悲しい真実が。

すれちがいの気配

街で一度だけすれ違った「運命の人の気配」を持った相手を探して欲しいという依頼が舞い込む。気配だけを頼りにした奇妙な人探しの依頼の結果は? 何となく心が温まるようなストーリー。

湖の秘密

実家に帰省した香絵に届いていた一枚の手紙。それはかつての恩師からの手紙だった。実際に彼女の話を聞いてみると「湖」と「強い孤独感」に何かの関連性がある事に気がつくのだけど、その真相は・・・。

神様が用意してくれた場所

舞台はまた探偵事務所へ、そして最初の物語に出てきた「十字路」に戻ってくる。
謎の「十字路」の存在しないはずの道の向こう側には一体何がまっているのか。懐かしい人の面影、いないはずのあの人、ここではないどこかの物語。

総合

星4つ。
柔らかい雰囲気を持った作品で、刺激は無いですが手を変え品を変え楽しませてくれます。上ではホラーと言っていますが、別に怖い訳ではありませんのでそう言うのが苦手な人はご安心下さい。
基本的に主人公の香絵の独り語りで話が進みますが、香絵が意外に落ち着いた雰囲気を持っているせいか、作品全体が落ち着いていますね。続き、出ないかな・・・。
イラストはFuzzy氏ですね。最近だと「リヴァースキス」の挿絵を描いた人です。表紙の柴犬(?)・その名も「グミ」が可愛いです。

感想リンク

booklines.net  Alles ist im Wandel