ふゅーじてぃぶ・ぶるう

ストーリー

とにかく金がなかった。
もうさっぱりと金がない状態に陥っていたニート(?)のクルナは、精霊のルーファをこき使おうにも仕事すら無いので飢え死にしかかっていた。
そこへ渡りに船とばかりに仕事が舞い込んでくるのだが・・・なるベくかかわりあいを持ちたくないとクルナが考えているエリート神曲楽士の弟・リグルスだった。
彼の持ち込んだ依頼を断ろうとしたクルナだったが、依頼の関係者の名前を聞いて考えを変えたクルナは、その依頼を受ける事にするのだった。
その弟の持ち込んだ事件とは「精霊と人間が駆け落ちしたので行き先を探してほしい」というものだったのだが――。

他のポリフォニカシリーズとの違い

目立つのは「精霊が一人で出てくる事が多い」事ですかね。
とにかく主人公のクルナが契約精霊を持とうとしないので、契約精霊そのものが出てくる事がないです。ルーファはメインで出てくる精霊ですが、それも契約精霊ではありません。
また、ルーファの関係者(精霊?)も精霊至上主義(精霊の方が人間より偉い!)という思想にかぶれているので、人間と契約していません。そのため他のポリフォニカシリーズでほとんど不可避な感じの「人間と契約精霊の間にある心の繋がり」みたいなものが余り出ませんね。
もちろんそれがある種の持ち味になっているのは間違いないですが。

話の方ですが

1巻で一通りのキャラクター紹介が済んでいるため、紹介っぽい感じはほとんど無くなってます。
クルナを中心に、精霊のルーファ、ハイディ、ササヤなどが事件に関わって行く訳ですが、それぞれ考えている事も別々なのは良いですね。金が理由だったり(クルナ)、クルナをなんだかんだ言って気に入っていたり(ルーファ)、ルーファを助けようとしていたり(ハイディ/ササヤ)する訳ですが、このごた混ぜな感じは他のシリーズではないですね。

今回は

クルナがある種の人間のクズである事は1巻と同じですが、コメディっぽい要素がほとんど無くなっているような話作りになっていまして、意外に普通の話として読ませてくれます。
また、クルナが神曲楽士になる事をいやがる過去の理由なども見え隠れしてきまして、その辺りも興味深いですね。
この辺りはどうなるか結構注目していた所なんですが、変なコメディ路線を無理に続けなくて良かったかなあという感じですね。1巻と同じノリで話が続いていたら、この(青)シリーズはこの2巻で多分読むのを止めていたと思います。

・・・ところで

ラスト付近で赤シリーズのヒロインであるコーティカルテが出てくるんですが・・・何故か赤シリーズの時のコーティカルテより魅力的に見えるんですが・・・!
正直私は(赤)シリーズを「ビギニング・クリムゾン」で切ろうと思った(まだ感想書いてませんけど)人なんですけどね・・・書く人が変われば読むのかなあ・・・なんてスゴく不謹慎な事を思ってみたり。

総合

星3つ。
今回みたいな感じの路線で話を作り続けてくれれば今後もまあ、読むかな?
話自体はそんなに刺激的では無かったですけど、まあ読める内容になっていると思います。しかし、星4つに至るにはもうちょっと魅力的な所を増やしてくれないと難しいですね。
特にルーファ、ハイディ、ササヤ辺りの精霊達の魅力が余り無いのが残念ですね。いじくれば面白くなりそうなキャラクターなんですけどね。

兎塚エイジ氏のイラストは変に動きがあって面白い時がありますね。今回の表紙はジャックフロストみたいに見える精霊至上主義のハイディさんです。どうみても雪だるまかてるてる坊主ですな。

感想リンク

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