Re:ALIVE(1)―戦争のシカタ

Re:ALIVE 1―戦争のシカタ (1) (ガガガ文庫)

Re:ALIVE 1―戦争のシカタ (1) (ガガガ文庫)

ストーリー

主人公の拓真颯(たくまそう)は銀髪にピアスでギターをやっているという典型的な軽音楽少年だったりする。
2年前に事故で父親と自分の右目の視力を失った殊以外は特に大きく変わった事もない少年だ。かつての不幸な事故の事はあるものの、それを大きく引きずっている訳でもない。
最近は音楽活動もなかなか良い感じになってきているようでもあるし、信頼できる友人達や、ちょっと関係の気になる少女・菜月奏(なつきかなで)もいたりする。放課後にはバンドの練習なんかもやったりして、絵に描いたような青春を送っていたのだが・・・実は平和そのものに見えるこの世界は「戦時下」だった。
主人公の知らない所で進行している得体の知れない戦争と、戦争の正体とは。そして颯は実感の湧かなかった戦争に知らないうちに巻き込まれていき・・・というストーリー。

普通に学園青春もの

少なくともそういう側面が強いのは事実ですね。
戦時下であるという事も事実は事実ですが、空爆やら銃撃戦やらが発生する形で戦争は行われておらず、特殊な形態を取って行われているらしいという事は颯少年も理解はしていますが、身近なものではありません。
ちなみに颯少年は作曲なんかもやったりとか、ニブチンな所はあるものの恋愛運も悪く無さそうですし、男勝りとはいえ幼なじみの少女もいるという恵まれた感じの生活を送っていたりします。まあ羨ましい事! と思わないでもないですが、その位の事が彼の周りではあってもおかしく無いくらいには、好感触な少年ですね。

あったらいいなこんな青春

・・・通学途中に会った菜月奏に曲がったネクタイを直されて、その日のうちに噂が校内を駆け巡ったりするくらいには・・・ついでにお互いがお互いをそう悪く思ってない所とか、なんともムズムズしていいですね。
その他にも彼の周りでは恋の花が幾つも咲いておりまして、百花繚乱という感じではありますね。
親友や幼なじみとの微妙な関係や、その他に絡んでくる先輩など・・・あったら幸せそうだなあという高校生活でしょうか。イベントとしてはダブルデートなんてものもあったりします。

ただし

それはあくまでこの世界における生活の表層的な部分だけの話で、颯は良く知らないだけで、実際は確かに「戦時下」なのです。
戦争をしているという事実を見せつけられるのは颯の住んでいる土地<ヘキサゴン領域>の占有権を把握するために設置された「硝子玉」の光る赤い光だけだったりします。・・・今まではこの硝子玉は常に赤く光っていて、その色が変わる事が無かったのですが・・・。
そしてそのヘキサゴン領域の取り合いをしている事実も実際に存在して、その奪い合いのために超常的な能力を持った兵士達が闇の中を蠢いているのも事実です。
彼らが奪い合おうとしているのは「FLAG(フラグ)」と呼ばれる何か――です。それは人の命と結びついていて、兵士達はそれを奪い合っていたのですが・・・。
これにより、颯の日常は徐々に壊れていきます。

読み進めるにつれて

この世界がいわゆる戦略シミュレーションゲームに似ている事に気がつきます。
ヘキサゴン――ヘックスという単位で語られる土地の占有権や、完全に役割を分担されたユニット(ここでは人ですが)の存在、そして誰もが奪い合うその土地を所有している証し――FLAG。
昔懐かしい(今もあるのかな?)大戦略というゲームを思い出しますね。アレは基本は国と国で、戦争ユニットは戦車やヘリなどでしたが、この話はそのユニット達が人間であるということですね。
ただしゲーム的なところは全く同じで、関係のない人間達には全く関係のない所で行われている戦争です。

総合

星3.5位の星3つかな。
颯はある理由から戦争に巻き込まれていく事になるのですが、今後はどうなるのでしょうか。その悲惨さを理解する前に巻き込まれていくと言った感じでしょうか。正直理解の限界を超えていると思うのですが・・・今後どう変わっていくのか興味がありますね。
タイトルに(1)と付いている所を見ると、次もあるようです。内容的にも完全に終わっていません。一回読んだ後にもう一度読み返すと、颯の暮らしている日常が如何に欺瞞に満ちあふれたものであったのかが分かります。果たして真実の姿はどこにあるのか? どこに着陸するのがみんなにとって幸せな事なのか・・・今後がちょっと楽しみですね。
イラストはスドウヒロシ氏ですが・・・うーん、女の子のパンツを描くのはいいし、悪く無いけど全体でみたら微妙・・・。動きが足んないなあ・・・でも口絵カラーは中々良かったかな。
でもメインキャラとも言える菜月奏の姿が口絵カラーに無いのは・・・なんでだろ? 表紙にはいるのにね? 何かの変更があったのかな?

感想リンク

booklines.net  ウパ日記  ラノベ365日
非常に珍しいですが、ウパ日記さんが結構ばっさりやっていますね。こちらの感想より読みやすく、分かりやすくキレイにまとまっていますのでご一読をお薦めします。