ヒツギでSOSO!

ヒツギでSOSO! (ファミ通文庫)

ヒツギでSOSO! (ファミ通文庫)

こらまた、もの凄い意味不明な作品がでてきちゃったな・・・ナニコレ?

ストーリー

旧刑法第11条・死刑は監獄で、首を吊らせて殺すこと――。
年々凶悪に、残虐になっていく犯罪に対して厳罰をもって当たる方針をとってきた大米共和国と真日本では極刑の判決が出る事が頻発化。そのため真日本では刑を遅延無く行う事が出来るように刑の執行人を育てる為に新たに学校を創立していた。その名も「十三階段」。
主人公の比津木奏輔(ひつぎそうすけ:17歳)はそんな十三階段に通う落ちこぼれ。彼はある理由によってエリートとして期待されていたが、実際には落ちこぼれ街道まっしぐらの学生だった。付き合いの長い女の子・条禅穂風里(じょうぜんほふり:19歳:幼児体型)と一緒に今日も今日とて適当に日々を過ごしていた。
しかしあるテロリストの処刑を切っ掛けに変なトラブルに巻き込まれた彼らは、なんだかよく分からない状況に流されるかのように処刑されたテロリストのお葬式を行う事になるのだった・・・というすっごい変なお話。

のっけから

主人公、ヒロインが変なのは間違いないですが、それに加えて処刑人として登場し、テロリストを処刑する事に心血を注いでいる荊伊姫瑠子(いばらいきりこ:18歳:ぷりんぷりん)を始めとして、学校の授業で本物の死刑囚を使った公開処刑が行われるとか、冗談かと思ったら本当にぶっ殺しちまうわ、なんだかとんでもない展開です。
ちなみにラノベらしく妙な特殊能力みたいなものも出てくるのですが、その名も「P・T・S・D」――心的外傷後ストレス障害ならぬ心的外傷後超人障害などと行ったものが登場し、荊伊姫瑠子はそんな能力の持ち主でもあります。
ちなみにその能力発現の原因になったのはもちろんテロによる悲惨な体験によるものだったりします。
とにかくのっけから処刑シーンが出てくるのは事実でして、その「処刑完了後」、遺体をどうする? 葬式は? みたいな所が本編の見所(?)です。

主人公は

落ちこぼれなのですが、それは「処刑」そのものに全く興味がなく、死者を送る儀式――つまり葬式に情熱を傾けているからです。
この話ではのっけに処刑されたテロリストの葬式をどうするか? どうやるか? で話が進んでいく訳ですが(書けば書く程変な話だ・・・)、比津木奏輔は処刑されたテロリストの娘・アリカ=サーレス(13歳:ほんのり)と一緒に葬式をばっちりしっかり行う事に邁進する訳ですが・・・うーん頭の痛い展開ですね。
もっと正確に言えば「葬式をきっちりやらねば!」と提案したのは比津木奏輔その人だったりします。正直動機が理解できませんが・・・多分ですが、アリカの登場早々に、彼女の13歳ぱんつを小さな布きれの中にずっと秘められ続けてきた微妙なふくらみとか匂いとかが分かっちゃうくらいの距離(親切にもイラスト付き:イラストもなんとなく”ぷっくり”)で至近距離で目撃した事が原因かも知れません・・・違うか。
ついでに言えばこのアリカ、物語中盤で「裸ワイシャツ13歳」というなんか写真集もビックリな感じの大技を繰り出します。
さらについでに言えばヒロインの条禅穂風里はくっきりはっきり比津木奏輔が好きでして、正直いつでも一線を越える準備ができている状態で、そこに至るまでの脳内シミュレーションもバッチリです。可愛いですよ?

とにかく

葬式なのです。
今回の最大の問題はホトケさんの「宗派が分からないので何式で葬式をすれば良いのか分からない」という所がポイント(なんだそのミステリー)でして、それを調べて特定するのが一つの中心になっています。
実はそれ以外にも「処刑されたテロリストは、本当に危険な人物だったのか?」的な「えん罪ミステリー」もある事にはあるんですが、やっぱり中心は「如何に問題無く葬式を実行するか?」だったりするのでもう何だかもの凄くかつて無い感じです。
葬式に関する取り決めなんかもそうですが、火葬やら土葬、エンバーミング(遺体への防腐処理)のやり方とか末期の水だとか、そんな事がしつこく描写されます。本当になんなんだこの本。
まあ実際には葬式をつつがなく行うのはなかなか難しい状態にありまして、色々な妨害付きで話は進みます。銃撃戦も起きますよ?

総合

星4つ? あるいはムチャクチャなので星2つか?
興味深いと言えば興味深いですが、正直評価に困ります。・・・良い方をとって星4つにしておこうかな? でも人によってはもの凄い拒絶反応が出ても不思議でない感じ。
死体だとかテロリストだとか処刑だとかで人死にもモリモリでたりとか、変な陰謀劇みたいなあまり気分が良いとは言えないイベント目白押しなので気分の良い話とは決して言えないのですが――よく分かりませんけど最後までしっかり読んでしまいました。
なんでかと言えばこの話の一番のポイントが「葬式を通して生き残ってしまった人達が再生していく物語」だからですね。
人が訳も無く死んだり、殺されたりするのは悲しいし、理不尽さに身もだえるのも確かですが、それでも生き残った人達には明日があり、生きていくべき未来がある。苦しみは忘れないし、忘れる事もできないだろうけど、それでも残された人達は進まねばならない「前」があるのだから――という事を実際にある「葬式」という儀式を中心に描いているからでしょう。なんとも変な話です。
とにかく「このたびは、どうもご愁傷様です」な。
イラストはよう太氏です。久しぶりに良いイラストですな。えぐい所はえぐく、エロいところはエロく、可愛い所は可愛く、動きもあるし、背景もちゃんと書かれてるし、ぱんつもきっちりはっきり微妙なシワとかもちゃんと書いてるし、おっぱいはたふんたぷんですしね。いや、良いと思いますよ。普通にGJ。