殺×愛0—きるらぶ ZERO—

殺×愛 0 ―きるらぶ ZERO― (富士見ファンタジア文庫)
殺×愛 0 ―きるらぶ ZERO― (富士見ファンタジア文庫)風見 周

富士見書房 2005-06-23
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おすすめ平均 star
starう〜ん…
star殺×愛 最高!!
star久しぶりのヒットです。

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あーやっと書けた。

ストーリー

突然世界に訪れた破滅の時間。謎の《天使》と呼ばれる存在が、人間の作り出してきた全てを「回収」し始めたためだ。世界中がこの破滅に直面しており、既に国によっては滅んでしまった所さえあるという状況になっていた。
椎堂密(しどうひそか)はそんな世界で生きる一人の高校生だったが、自分の中に大きな秘密を持っていた。彼が世界を破滅に導く引き金を惹いた存在であるという事。そしてソその出来事以来、普通には死ねなくなってしまった体。
彼を滅ぼす事が出来る者は、彼と相思相愛になった相手だけ。そしてそれこそが世界の破滅を止める方法だという。
世界の滅亡と、それを目の前にして展開する少年少女の恋物語

キャラクター:良いね

最初は際どかった椎堂密

正直、主人公の椎堂密が個人的にもの凄くギリギリでしたね。
いかにも破滅を目の前にした若者という感じで、破壊的な行動に走る事こそしていないものの、妙に虚無的なのが猛烈にイライラしましたね。

僕にとって《良好な関係》とは、《つかず離れず》《パーソナルスペースを維持した》《中立な》関係のことを言うんだ。

クラスメイトに対してこのように普段から考えている所とか。

気の毒がってあげたところで、なにも変わらないからね。
無駄なことは考えない主義なんだ。

熱を自ら捨て去ったかのような薄く達観してしまったかのような思考とか。
もう少しで放り出す所だったのが正直な気分ですが、読みつづけていくと、意外に印象が変わって行く感じがしましたね。綴られる言葉はニヒリスティックなのですが、行動がそれを裏切るとでも言いましょうか。変な言い方ですが「口ではなんだかんだ言いつつも、体は正直だな」って感じですかね。

その他のキャラたち

椎堂密の幼馴染みである(本当にラノベに幼馴染み多いな・・・)萌月来夏(ほうづきらいか)の非常に分かりやすい描写やら、謎の同級生の縁藤丹闇(えんどうにやみ)のアブナい性格やら、その他の学生たちの普段なら微笑ましい恋愛模様などは、描写全体が上手いこともあって読ませますね。
特にツンデレ少女の凪紗(なぎさ)と尊(たける)を描いた恋の行方など、コレ一冊で十分に楽しいです。

話の展開:さっぱりとしたセカイ系

もうそのまま「主人公の周囲の関係が世界の中心にある」という純粋セカイ系ですね。
このあたりについては特に目新しい感じは特に無いので、恋愛模様とその他の人間関係などを上手く使って今後の話を作って欲しいなと思いますかね。

しかしナニ? 謎のタイトル「0」

一巻なので普通は「1」と付くべき所に「0」と付いているので、最初すっきりはっきり混乱しました。
外伝みたいな作品(時間軸が1巻より前とか)で「0」が使われることが一般的だと思うので、本編でなぜ「0」が付けられたかサッパリ分かりませんな。正直これ・・・大失敗だと思うんだけど。「0」巻がなくて「1」が書店に並んでいたら、そこから手に取ってしまった人が絶対いると思う。・・・この辺りに富士見ファンタジアの凋落っぷりが良く現れているような気がしますね。
関係ないですが私、魔術師オーフェンのシリーズを完走していないんですが、これはしばらくラノベから離れていたら「どの本が次の一冊なのか分からなかったから」ですね。ほ〜らここに作家の頑張りと関係ない所で失った読者が一人。

総合

星4つあげても良いかな?
主人公にムカついて序盤こそ投げそうになりましたけど、そこを超えてからは楽しんで読めましたね。話全体は意味ありげな事がバラまかれているだけって感じでまだまだ未知数な部分が多いんですが、この一冊くらいならばキャラクターの魅力だけで読んで行けそうな本ですね。
イラストはG・むにょ氏ですが・・・なかなかいい仕事してるんではないでしょうか。あと章毎のデザインも遊び心があって良かったと思います。
ついでに言えば、章毎のラストの『卒業まで 残り○○○日』という表示が面白いですね。

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