ヒロインは一人がいいのか、それとも人海戦術か?

少年向けライトノベル

決して欠かせない要素として「魅力的なヒロイン」というのがあると思う訳ですが(少女向けの場合は魅力的なヒーローになるでしょうけど)果たしてヒロイン候補となりうるキャラクターはどの位出すのが一番良いのか? って話ですね。

もちろん

十分な文字数があれば何人出しても「一人当たりの描写が少なくなる」なんて事態は避けられる訳ですが、実際のライトノベルでは無尽蔵にページがある訳でもないですし、見所の描写もそれなりに厳選しなければならなくなるでしょう。
まあそうは言っても、

「それが分かれば苦労するかバカ」

という所だと思いますので、取りあえず結論は脇に置いておき、少数精鋭型作品と、人海戦術型の作品に分類してみたいと思います。
ちなみにヒロインの定義ですが今回はあえて、

  1. ヒロインの定義は適当(というか結論などでないと思う)。
  2. 最低既刊3冊出ているシリーズからピックアップ。

でいきたいと思います。
・・・この辺りは毎回突っ込みが入ってますので、今回も容赦なくよろしくお願い致します。

一騎当千型(ほぼ1人)で増える気配がない

作品名 ヒロイン名 備考
狼と香辛料 ホロ 順調に人気のあるシリーズですが、ヒロインと言えるのは彼女しかいないでしょう。典型的な一騎当千タイプ。・・・というかホロ無しのこのシリーズは絶対にあり得ないですな。
BLACK BLOOD BROTHERS 葛城ミミコ ・・・ヒロイン・・・ですよね? 一応・・・。まあサユカ辺りも入れようと思えばヒロインかも知れませんが、まあ除外して考えても良いでしょう。今後はどうなるか分かりませんが。
風の聖痕 神凪綾乃 何故かないがしろに扱われてキレまくっている彼女ですが、まあヒロインですよね。実力も十分と・・・。
刀語 とがめ 既刊数は多いですが、とがめ一本でやって来ていますね。まあ否定姫とか出てきていますけど、ヒロインというには苦しいでしょうね。
ぼくと魔女式アポカリプス 砧川冥子 血だるまヒロイン。他にも女性キャラは出てきますが、ヒロインと言えば彼女しかいませんね。他のキャラは大抵頭がアレだし、レンテンシアもアレだし・・・。
GOSICK ヴィクトリカ 既刊数が多い割にはヒロインと呼べるキャラクターがヴィクトリカしかいません。
ぷいぷい! 座堂シエラ アルフという美味しいキャラクターがいるのは確かですが、流石に座堂シエラの存在感には太刀打ち出来そうにありません。剣の精霊なのに。表紙のデザインから言ってもここに入れて問題無さそうですね。
アリソン アリソン フィオナという重要なキャラクターがいるのは事実ですが、もうこれはアリソンのための物語と考えていいでしょうから、一応ここに入れてみた。

少数精鋭型

作品名 ヒロイン名 備考
フルメタル・パニック! 千鳥かなめ、テッサ この二人がヒロインと言っていいでしょうかね。場合によってはかなめ一本で「一騎当千型」に入れて考えても良いかも。マオ姐さんとかはいますけど、ヒロインというにはちょっとヨゴレというか・・・。
9S 峰嶋由宇、真目麻耶 由宇無しで話をどう作ればいいのかサッパリ分かりませんね。こちらも由宇一本で「一騎当千型」に入れてもいいかも。妹の方もドロップアウトせずに頑張ってついてきています。他の人もいるけど・・・まあ味付け?
鋼殻のレギオス ニーナ、フェリ、リーリン 無難に考えればこの3人で決まりでしょうね。メイシェンはもう一つ頑張りが足りないというか、内面にまで踏み込んで描かれる事が少ないというか・・・残念ながら・・・。
ご愁傷さま二ノ宮くん 月村真由北条麗華 ゲストキャラが後半になって出てきますが、まあこの二人で決まりでしょうか。何しろ気合いが違います。執念というか・・・怨念というか・・・。
殺×愛 サクヤ、来夏、にゃみ このメンバーに高天原を追加してもまあ良いでしょうけど、いずれにしても増えないし減らないヒロインという事で少数精鋭という扱いで良いと思います。
涼宮ハルヒの憂鬱 涼宮ハルヒ朝比奈みくる長門有希 誰がメインヒロインなのか決めた瞬間にファンに殺されそうな感じがしますので細かい事は無し。え? 鶴屋さんがいない? 悪いけどやっぱりオマケかと・・・。
影≒光 御影、ルーシー この2人で決まりですね。余程の根性がないとこの二人に対抗出来ません。
文学少女シリーズ 遠子先輩、琴吹ななせ 1巻から変わらず出演しつづけているこの二人で確定でしょうか。ゲストキャラはもっといますけど、ぶっちゃけ舞台装置みたいなものというか。
鬼切り夜鳥子 桂木駒子、夜鳥子、三ツ橋初美 この3人ですね。というか他に内面なども含めて丁寧に描写される女性キャラはほとんどいないですね。舞とか例外はいますけど、まあこんなもんでしょう。
とらドラ! 逢坂大河櫛枝実乃梨川嶋亜美 ヒロインは厳密に言えば大河である事は間違いないですが、他二人についてもちゃんとページを割いて魅力を描写している事は間違いないですね。現在4巻まで出ていますが、ひょっとしたらまだ増えるかも知れません。え、先生? 先生はもう年齢的に・・・。
超鋼女セーラ セーラ、ラヴィニア、サァラ、千美絵 既刊3巻ですが基本的に1巻あたりから出てきているキャラクターで話を展開させていますね。今後もっと増える可能性もありますが。
レジンキャストミルク いっぱい 沢山と言っても増加傾向が無いので安心して読めます。増えるどころか減ったりするし・・・。
ゼロの使い魔 ルイズ、シエスタ、アンリエッタ他 1巻あたりから出てきていたキャラクターをずーっと大事に使いつづけ、意外にも新キャラを増産するという事をしていませんね。その辺りが人気の秘密かも。増えたのは・・・ティファニアくらい?
パラケルススの娘 赤羽美弥子、青野和音、メガエラ 無難にいけばこの3人です。クリスティーナは立ち居知的にヒロインというよりヒーローですし、シシィはちょっと子供過ぎです。

増加傾向型

作品名 ヒロイン名 備考
キューキューきゅーと! キュート、スイート他 最初は意外に小さくまとめるつもりなのかな〜と思っていたら、なんだかクローズアップされるキャラクターが増えてきて、一体何処まで増やすのかちょっと分からないぞという感じ。このまま進むと人海戦術型に入るかも。
れでぃ×ばと! いっぱい 順調に女性キャラクターを増産しており、やはりこのシリーズも何処まで増えるのか分かったモンではないですね。メインヒロインは・・・セルニア? 
ラブ★ゆう ロザリー、小鳩みこと、 冷泉院撫子、ナギサ 3巻になってナギサが新規加入してしまいましたので先行きがどうなるのか不安。今後も増えていったらどうなるか分かりませんが。
アスラクライン いっぱい 少数精鋭型からの移籍組かな? 操緒、嵩月奏、アニア、黒崎朱浬などなど・・・これからも増えていく気配があるので油断出来ません。とは言っても登場させたまま半分くらい放置されているヒロインとかもいますので、実質活躍するのは3人くらいかな? それでバランスをとっている感じ。
ROOM NO.1301 いっぱい というかもう、メインヒロインって誰だ。
円環少女 鴉木メイゼル、倉元きずな他 最近はエレオノール・ナガンなどの魅力的な女性キャラが増えてきています。メインは左の二人でしょうが・・・。そう言えばウンコを連発するナイスキャラとかいますね。

人海戦術

私立!三十三間堂学院 オニの様に沢山 一体何人まで女性キャラを増やすのか分かりませんが、既に私は最新刊で「一体誰が誰なのか」分からなくなってます。キャラ説明ページを作ってくれないと俺はそろそろ脱落しそうだ・・・。
いぬかみっ! 凄いいっぱい ヒロインは間違いなくようこですが、他の犬神たちが沢山出ますし、それぞれ結構ページを割いて描かれますので意外に混乱しなかったかも・・・。よく出てくるのはようこ、ともはね、なでしこ位かな?
とある魔術の禁書目録 凄いいっぱい 増加傾向型から人海戦術型へのランクアップ組。メインはインデックスですが、1冊1人位の割合で増加しています。意外に混乱しないのは小技ですが話し方に特徴を持たせた事と、一人当たりに十分な文字数を割いている性でしょうか。それでも時々誰だか分からなくなりますが。シェリーとか。
鋼鉄の白兎騎士団 いっぱい 女性だらけの騎士団という設定でもうどうにもならないですね。私は多分そろそろ誰が誰だか分からなくなりつつあります
戯言シリーズ いっぱい 増加傾向型から人海戦術型へのランクアップ組。もちろんメインヒロインは玖渚友ですが、他にもページを割いて魅力を描かれるキャラクターが沢山いますから、分類としてはここが適当かなあ・・・と。
悪魔のミカタ いっぱい メインっぽい人達はいますが、巻数を重ねる毎にキャラクターが増加して、現時点ではかなりの人数になっているのが事実ですね。

ざーっと見てますが

中間が多くて、一騎当千型と人海戦術型が全体からすると少ないという印象を受けますね。当たり前か。

ところで

それぞれの特徴をちょっと考察してみたいと思います。

一騎当千
  1. 一度ヒロインが受け入れられてしまえばしめたもの。ムチャをしなければ安心してストーリーと絡ませられる。
  2. よほど魅力的なヒロインであるか、それともヒロイン以外に読ませるための要素が無いと作品作りが苦しい。
  3. キャラクターについての描写が増えるに従ってキャラクターの持つ秘密が減り、萌え要素の重要な部分である「妄想の余地」が減る事になる。
  4. キャラクターについてあえて書かない場合はあくまで記号的なキャラクターの域を出ない事になり、新しい部分がなくなってぱっとしない。

典型的な作品と言えば「狼と香辛料」でしょうね。
・・・最近ホロに萌えなくなってきたという人、多分3が原因です。人間的な魅力が増えると同時に謎が減り、幻想の余地が少なくなり恋することが難しくなったということでしょうか。人間の恋愛と同じですね。
読んでないから入れてないけど「キノの旅」とかもここに入るのかな・・・?

少数精鋭型
  1. 多数派であるという事から、一番安定して作品を作りやすいスタイルではないかと思われる。
  2. 描写の量が必然的に増えるメインヒロインより、時としてサブキャラの方が人気が出てしまう事も。
  3. 適宜キャラクターを増やしてテコ入れが可能だけど、人気が微妙と思われる作品の場合はどうも苦し紛れの匂いのする。

典型的な作品と言えば「鋼殻のレギオス」とか「フルメタル・パニック!」でしょうね。
この辺りで安定して話が作れれば一番スタイルとしては安心ですね。人気が無くなった場合は新たなヒロインを増やして誤摩化すという逃げ道もまあ、あります。

増加傾向型
  1. 比較的多数派であるという事から、安定して作品を作りやすいスタイルではないかと思われる。
  2. 新規キャラを出すのは良いけど、露骨にテコ入れの匂いがする時がある。
  3. テコ入れとして「計画にないキャラ増加」を繰り返すとグダグタになり、一体何がなんだか分からなくなる事も。

典型的な作品と言えば「れでぃ×ばと!」「アスラクライン」あたりでしょうかね。
少数精鋭型からの移籍組もいますが、最初からこのスタイルで終わりが見えないような作風の場合、誰が話の中心にいるのかが分からなくなり作品全体からもの凄いグダグタ臭がしてくる事がありますので、その場合は完全に吹っ切って作品を作る必要がありそうです。
ストーリーそのものに魅力や必然性などが感じられない場合、キャラクターを使い捨てにしている感じとか、読者の反応を伺ってキャラを使い回しているという感じがしてしまう事もありそうです。

人海戦術
  1. キャラ萌えという意味で言えば沢山のキャラクターのどれかに当たればいいので比較的楽。
  2. キャラクター一人当たりの描写は必然的に減るので、キャラクターの特徴や個性が薄くなりずぎる可能性が出てくる。
  3. ディープなファン以外、誰が誰だか分からなくなるときも。

典型的な作品と言えば「私立!三十三間堂学院!」「いぬかみっ!」でしょうか。
一騎当千型の対極ですが、この状態で人気を維持するのはかなり面倒なのではないかと思われます。メインに据えるヒロインとそうではないヒロインのバランスを上手くとらないと誰がメインヒロインなのか分からないという状況に。
いぬかみっ!」の場合はようこをきっちりとクローズアップしてバランスをとっていますが、「私立!三十三間堂学院!」の場合は誰がヒロインとかいう前にそれ以外の部分で見所を作って話を作っていますね。

結局の所

ヒロインの数は少ない方がいいのか多い方がいいのかは分からないという意味の無い結論が出ました
しかしヒロインの配置や増やし方と言った所は話を作る側からすると色々意識しないとマズいでしょうね。
あと、キャラクターの増やし方も細かく分類していくと特徴がありそうです。最初から沢山出てくるタイプと、徐々に増えていったタイプですね。もしやるとしたらそれはまた別のエントリでまとめるかな・・・?