とらドラ5!

とらドラ! (5) (電撃文庫 た 20-8)

とらドラ! (5) (電撃文庫 た 20-8)

まずこれだけは最初に言っておかなければならない。
恋ケ窪ゆり先生(30)私と結婚して下さい! 貴女より少々年上の独身男性です! 収入は普通ですが下半身の精力には自信があります! あと髪の毛と中性脂肪は潤沢な資源を持っています!


・・・まあいい。


とにかくたけゆゆぽがお送りする青春ピカレスクロマン(違う)の第5弾でありますが、一体どう言う方向に進むかと思ったら取りあえずゆり先生が大台に乗りました。お悔やみを申し上げるとともに私と結婚して下さい。

とにかく今回は

ゆり先生の魅力が大爆発ですよ? 十の桁の数字が変わった事を切っ掛けにファッションまでも一新して登場!
ベージュ! ベージュ! ベージュ! ババ臭い色の代名詞のベージュで登場です。
春夏秋冬関係なくベージュ! パステルカラーや原色などもっての他! なぜなら30歳だから! 30歳になったらフリル禁止、レース禁止、リボンもプリーツスカートも禁止!
どんな三十路縛りやねん!
相変わらずのタマシイの叫びを迸らせての公務員ライフは一体何色? と問いただしたくなりますが、今回ゆり先生は自業自得とはいえ「あるとっても大事なもの」を切られてしまいます。

「ウ、ウエーヘッヘッヘッヘッヘーッ! 取り返しのつかないことほど、やっちまうのは楽しいもんだぁぁー!」
ちょっきん、秘宝『担任の赤い糸』をチョン切った。その瞬間、なんてことをー! と叫ぶ亜美のセリフの五十倍ぐらいでかい声で、
「い・ぎゃ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あっ!」
——満員の客席の背後、唐突に立ち上がって叫んだのは独身担任・恋ケ窪ゆり(30)であった。

一体どんな話なんだ、この本。

冗談はこの位にして

文化祭と一緒に蠢きまくる大河の家庭のシリアスなお話が今回の肝であります。
そのネタを切っ掛けに悪化する大河竜児の関係、さらにはちょっと良い感じになっていた櫛枝実乃梨との関係までも悪化する事になってしまった竜児は一体どうなってしまうのか! みのりんは鼻血体質なのか? 大河の家庭は一体どうなるのか? 竜児に見せ場はやってくるのか? などなど。
前半悪のりコメディ、中盤雲行きが怪しく、後半は怒濤の青春的展開が待っております。
・・・この辺り、力ずくで強引ながらもまとめあげてしまうたらスパは見事ですね。

しかし

いよいよもって分からないのが恋模様ですね。
もはや余人にはどこに着陸するのかさっぱり分からなくなってきましたが、どーもうさん臭い積み重ねがあちこちで見受けられるようでして、その辺りも今後楽しませてもらえそうです。
みのりんのわけ分からなさは相変わらずですが、トリックスター的な動きを続ける腹黒娘の川嶋亜美も油断ならず、「スピンオフのネタは何処まで影響するのか」の北村祐作も訳が分かりません。
しかし女の子って、訳が分かんねえなあ・・・。北村は男だけどな。

総合

星5つ。
たけゆゆが好きという事もありますが、ラストに向けての物語の迸り方はここしばらくのたけゆゆでは最高だったのではないでしょうか。これがまさしくラノベ的な「若きウェルテルのもやもやとした何か」って感じですよ。
今回は恋模様は進展したのかしないのかさっぱり分かりませんが、何かが確実にキャラクターの内面に積み重なっていっているのは確かです。とくにみのりんはそうかも知れませんね。大河は挙動不審・・・はいつも通りか。亜美はほくそ笑んでいる感じで、北村はパンツ見せてますね。
とにかくそういう本だから、買って読め。

いつも通りという感じがして参りましたが、愛するインコちゃんの魅力にまたしても迫ってこの感想を締めくくりたいと思います。

鳥かごの中からぶさいくインコのインコちゃんが無闇に鋭い視線をこちらに向けている。腐肉色のグロいくちばしから変な泡をたらたら垂らし、半開きの目蓋を恨みがましく震わせ、ボサボサに乱れた羽毛を痙攣させながら膨らませて。視線は少々ロンパリ気味、しかし鋭い矢のようだ。

インコちゃんの身体は小さいですが、魂の大きさはきっとテキサス州と同じくらいあるはずですと勝手に想像する次第であります。

感想リンク

booklines.net  今日もだらだら、読書日記。  Shamrock’s Cafe  平和の温故知新@はてな  まいじゃー推進委員会!  灰色未成年  Alles ist im Wandel  ウパ日記  積読を重ねる日々
「平和の温故知新@はてな」のkim-peaceさんまでが興奮気味に感想を書いている辺りでこの作品の見事さが伝わるんではないかと思いますね。あとまいじゃーさんも発作的に大量引用をかましています。きっと興奮してアドレナリンが沢山出たんだと思います。ドバドバと。
そうそう、「今日もだらだら、読書日記。」のうららさんもかなり熱い感想を書いていますね。私の感じた違和感を見事に言語化しているのでうららさんに微妙に嫉妬。きっと彼女もこの本の感想を書きながらみのりんの様に鼻血が出ていたと思います。その位キてます。必見。