くみちょ! 組長は小学4年生

くみちょ!―組長は小学4年生 (集英社スーパーダッシュ文庫 し 3-1)
くみちょ!―組長は小学4年生 (集英社スーパーダッシュ文庫 し 3-1)白川 晶

集英社 2007-08
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ストーリー

鏡圭一郎はカードゲーム全般が得意なだけで、その他には取り立てて特徴の無い高校生。しかし彼の両親はかなりの困った人達だった。新しい事業を始め、急に羽振りが良くなったかと思えば、次の瞬間には借金取りに追われるような生活を息子に強いていたからだ。そうはいっても圭一郎も意外にふてぶてしくもそんな無茶苦茶な生活に順応してしまっていた。
そんなこんなで高校生活を送っていたのだが、またヤバイ時期が訪れたのだった。家に帰ると両親はおらず。書き置きが一言だけ、

「がんばれ」

その直後に彼の家にやってくる強面の方々。
彼は抵抗もままならないまま「ある理由」の為に極道の一味に引き入れられてしまったのだった。それは組長の世話をする能力がありそうだというためで、そしてついでに世話に失敗したら内臓を売るハメになりそうだという事。
その命運を握る組長の名前は住川あゆみゴスロリの似合うフィギュアの様な外見の小学4年生の可愛らしい少女だった。

期待してなかったし

本も薄いし、組長が小学4年生という段階で「まあ色物?」というマイナス気分から入ったせいか、読み終わった後の感触としては意外に面白かったという印象ですね。
組長が可愛い女の子という段階で、ただのわがまま娘&箱入り娘、という感じなのかと思ったら意外に胆の据わった・・・というか真性の極道少女でして、銃も撃てば気合いも入っているという娘だったりしたのが結構良かったですね。
しかし少女らしいところももちろんありまして、主人公に心を許したあとは一緒に寝たがったりとか、普通の小学生としての生活を送りたがったりとか、まあ2面性の楽しい少女という風になっています。

話の方も

主人公も意外に気合いの入った奴でして(まあこんな奴いないでしょうが)カードゲームの才能を使ってヤクザ世界の勢力争いに入っていってしまうというお話だったりします。いわゆる賭博の世界ですね。
その結果として組の跡目争いに一石を投じてしまうという・・・まあムチャクチャなんですが、それはそれで結構楽しかったですね。まあ胆の座った主人公は嫌いじゃあないです。

しかしねえ・・・

圭一郎の側にコスプレ好きの可愛い幼なじみ・笹原恵というのが出てくるんですが・・・話全体から浮いているように感じてしまってちょっと余計だったなあと思いましたな。可愛い少女なんですけどね・・・。この少女を掘り下げるのであれば、もうちょっとヒロインの住川あゆみを掘り下げた方が良かったかなあと思うんですね。
まあ話的にはこういう少女がいないとつまらないのかも知れませんが・・・正直もう少しページを増やして全体の話の厚みを増すとかして、この幼なじみの物語への介入の唐突さを取り除く努力をして欲しかったなあと思いますね。
あと勿論それは主人公にも言えまして、ラノベ的なお約束でイキナリヤクザになるのは良いとしても、のっけから妙に根性が据わっているのが結構違和感がありますね。もう少し心の動きを丁寧に書いて欲しいと思いました。

総合

星3つ。
つまらなくはないですが、単純に深みが足りなくて食い足りない感じですね。
あゆみはあゆみで可愛いところも怖いところもあるのが良いし、圭一郎も良い所も悪いところもあるし、恵もなかなか面白いキャラなんですが、その全てのキャラクター描写に厚みが足りないためにストーリー展開に唐突感が常について回る感じ。その辺りを解消してくれたらもっと面白かったかなと思います。いくらラノベ的お約束があるとは言え、もうちょっと説得力が全体で欲しいなと、そう思った次第でありますね。
イラストはきりがみやび氏ですが、漫画的なイラストですがそれが作風にあっていてよかったと思いますね。