アンダカの怪造学(7)Pandora OnlyOne

アンダカの怪造学 7 (7) (角川スニーカー文庫 185-7)
アンダカの怪造学 7 (7) (角川スニーカー文庫 185-7)日日日

角川書店 2007-08-31
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ストーリー

古頃怪造高等学校は事実上崩壊していた。
志田桐涼女(しだぎりすずめ)が開催した「魔王杯」によって魔力のほとんどを吸い尽くされた学生達が衰弱状態になっていて、現在休校状態だったからだ。
しかし「何かしないと」と気の焦る空井伊依(すかいいいより)は、学校に通いつづけていた。そして彼女は偶然にもそこで一人の人物と出会う。その名も激流院潮静(げきりゅういんうしおしずか)——怪造学会の総長と呼ばれる頂点に立つ人物である。
状況の良く飲み込めないまま激流院に促されるまま「あるもの」が使えるかどうかを調べるための適性試験を受ける事になったのだった。その「あるもの」の名は「独唱第五番(パンドラ・オンリーワン)」。魔王に対しての最終手段とされるものである。
前作で遂に虚界の魔王が解放され、崩壊した怪造学本部が古頃怪造高等学校の地下に移転。その上で始まる魔王の奇襲——。今まで何とか日常の延長で綴られていた物語は白日の下に晒され、急展開を告げる。第三部スタートとなる7巻です。

評価したい親切設計

大量に登場するキャラクターについての簡単な説明ページがイラスト付きで用意されている事が一つと、ラノベにしては珍しく「前巻までのあらすじ」ページが用意されているのが大きいです。読めば埋もれていた記憶も蘇りますね。
他のラノベでも同じ様なサービスをしてくれないかな〜なんてしみじみと思う今日この頃。・・・漫画とかだと珍しくないと思うんだけどなあ・・・あらすじとか、登場人物紹介とか。

うんうん

この話だけではなんとも盛り上がりに欠けると言っていいのだけど、第三部のプロローグというか、それぞれのキャラクターの立ち位置というか、基本的な設定の確認というか、種まきというか、そういう側面で見たら非常に完成度の高い作品となっているんじゃないでしょうか。
私の場合、沢山のラノベを読んでいる関係でどーも小難しい設定を忘れる傾向にあるんですが、読んでいる最中にその辺りがどんどんと解消されていく感じがしましたね。
「コイツ誰だ」とか「アレはなんだ」とか、そういった疑問がほどける感じ。うん、悪くない。
ただ、前作までを穴が空く程読み返したヘビーなファンにとっては物足りない展開かもしれないですね。基本はいいから応用! 応用編を! みたいな気分? いや、分かんないけど。

今回は

基本元気娘である所の主役の伊依が前作の事件を引きずっていてチョイ沈み気味&試合放棄気味なので、どーもスカッとサワヤカという展開ではありませんが、その代わりに周りの登場人物達が頑張ってくれている感じですね。
もちろん一人一人違う思惑やら行動原理で動いている訳ですが・・・一応、なんとなく、それなりに、伊依を中心にして動いている感じでしょうか。
ここまで時間をかけてやって来た伊依の信念に基づいた戦いは無駄ではなかった・・・というと良く言い過ぎでしょうが、一つの果実として実ろうとして来ているのだなあという感じはします。
それを食べたら甘いか渋いかしょっぱいか、そこまではまだまだ分かりませんが。

それにしても

「虚界が何故生まれたのか」とか「魔王とは何者なのか」とかと言った大事な秘密が幾つか明らかになりつつありますね。やはり「第三部」としただけあって、なんとなくダイナミックなストーリー展開のような気がします。
いずれにしても魔王が復活し、虚界が現実に溢れ出した訳で、全面戦争の火種があちこちにある状態となっていますが、はて、その中で伊依が今後どう振る舞っていくのか・・・微妙に興味がありますね。

総合

星4つ。
ストーリー展開の魅力より、正直上にも書いたように「第三部のプロローグとしての出来」を評価した感じですね。この調子なら次も読めるな〜とか、この話を読めばとりあえず1〜6巻までの記憶が蘇りそうだな〜とか、そういう所です。
あと、サブキャラクターを上手く使い回してエピソードを作っているので、サブキャラの魅力もまた深まったかなという感じがとても良いですね。
キャラの人数が増えばそれだけ描写に費やせる文字数も限られる訳で、そうなるとどうしても「薄っぺらく」なりがちで、正直「アンダカ」はその匂いをなんとなく感じていた訳ですが、今回はその辺りの埋め合わせをある程度までやってくれたという感じがしましたね。
キャラを使い捨てにする気はとりあえず無いのね? っていう安心感を持ったというか、そんな感じですかね。
エナミカツミ氏のイラストは個人的にお気に入りという事もありますが、全体的にやっぱり動きとかがあって好きですね。
今回伊依のぱんつが見えるシーンがありますが、あ〜、いかにも「伊依が履いてそう」ってぱんつでした。・・・高校生ならもうちょっと冒険しても良いと思う・・・えーっと、黒とか、レース素材とか・・・。ねえ?
つーかさ、日日日作品って全般的にお色気っつーか、エロスが無さ過ぎると思うんだけど・・・どっかな〜?

感想リンク

booklines.net  ラノベ365日