姫宮さんの中の人(2)
姫宮さんの中の人 2 (2) (MF文庫 J つ 1-9) | |
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ストーリー
主人公の星野純人学校内でのみんなの憧れである(もちろん純人も憧れている)、快活でスポーツ万能、成績優秀、スタイル抜群、そして美形の生徒会長・姫宮ちとせの秘密を知っている数少ない人間の一人だ。
姫宮ちとせの秘密とは・・・彼女の普段の姿は実は「外の人スーツ」であって、ホンモノは中に入っている小柄でロリーな感じで内気な対人恐怖症全開の人物なのだった。
純人は彼女が「外の人スーツを脱げるようになりたい」という願いを持っている事を知り、対人恐怖症を治す手伝いをすることを承諾するのだが、ただでさえ人気者の生徒会長である訳で、色々と注目される事も多く、一筋縄ではいかない。
しかもどうやら、「中の人」を狙う謎組織なども存在するようで・・・という笑える設定のラブコメの2巻です。
どーやら
主人公、意外にモテ系らしいです。
今回確かに純人に告白する少女が出てくるのですが、その事実を知ったときの彼の妹の反応がそれを端的にあらわしています。
「ふ——ん。お兄ちゃんに目をつけるなんて、なかなかお目が高いね」
妹にここまで評価されている兄が世の中にいるだろうか? いやいない。
しかし
真に残念ながら、読者である私には何故主人公がモテるのか良く分からなかった。ひょっとしたら女性読者なら分かるのかも知れないのだけど、その辺はどうなんでしょうね?
この本に限らずラブコメ系のラノベで思うのだけど、
- 主人公の少年がモテるのは良いとしても、そのモテる理由がさっぱり分からないというキャラクターが多すぎる
ような気がします。
少女が男の外見を見て好きになる訳じゃないのは分かるのでルックスがへぼいとか、逆に凄く良いとかはどっちでも良いですし、また恋の鞘当てを程よく運ぶために主人公をニブチンにするのも、まあいいです。
しかし複数の女性に好かれるのであればそれなりの理由をキャラクターの「魅力」として表現してほしい所ですね。なーんか女性キャラクターを表現するのに必死になって、肝心要の主人公の魅力が伝わらないという本が全般的に多いと思います。
「魅力的なヒロインは、魅力的な主人公から!」
とか思うんですけど、どうでしょう?
私の好きな「ゼロの使い魔」だって、主人公の平賀才人が「愛すべき馬鹿」でなければ人気が出なかったと思います。多分だけど・・・。
脱線しましたが
まあそういった不満はあるものの、この話が全体でつまらないかと言われればそんなことは無い訳で。
今回新規に登場してきた浦野霞は正ヒロインの姫宮ちとせを食いそうな勢いのキャラクターです。いわゆる綾波/長門ラインの無口系ヒロインですが、積極性が違います。
「付き合って駄目なら諦める」
「いや、そんなお試し期間みたいなのは……」
「クーリングオフオッケー」
「クーリングオフって、通信販売じゃないんだから!」
総合
星3つ。
不満点は上で述べた通り、主人公の純人くんの魅力がどこにあるのかサッパリ分からない所ですかね。
それを除けばなかなか安定した語り口で物語を作ってくれているように思いますし、全体で見たときのストーリーの緩急の付け方も良いのではないでしょうか。
主人公の魅力が次の話あたりでなんとか埋め合わせ出来ると良いんですが・・・多分、ムリだろうなあ・・・。そういう魅力って「女の子を危機一髪救い出す」とかやれば「物語の中の助けられた少女」は恋に落ちる理由になるのかも知れないけど、読者にとって必ずしも説得力を持っている訳じゃないもんね。難しい所です。でもそこを一歩抜け出せば、とても楽しい物語になるような気がするんだけどなあ・・・。
あ、あとあまり関係ないけど純人の同級生の要垣内芳文が猛烈にウザイ&キモイ。身近にいたら反射的に虐待してしまいそうだ・・・。
イラストはEin氏ですね。それほど個人的には好きな絵柄ではないような気もしますが、丁寧な仕事ぶりが全体から感じられます。好印象。