我が家のお稲荷さま(7)

我が家のお稲荷さま。 7 (7) (電撃文庫 し 9-8)
我が家のお稲荷さま。 7 (7) (電撃文庫 し 9-8)柴村 仁

メディアワークス 2007-10
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おすすめ平均 star
star復活に期待。
star短編集。ほんと短いよ。
starニヤニヤしながら読んでください

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え!? ここで5つ星ってジャッジおかしくねえ!? とかって声が聞こえてきそうですが! 本当に何が起こったんだ俺! これがラノベ脳なのか!?

ストーリー?

今回は短編集ですね。えーっとあっちこっちに載せた短編を一冊にまとめて出版という感じなんで、まあストーリーも何もないかなあという感じではあります。
という訳で、短編一つ一つを見て行く訳ですが、その前に一つだけ・・・。

うーん・・・

なんと言うかねえ・・・この短編集の向こう側に作家・柴村仁の人となりが見えてしまうような感じがしてついニヤニヤしてしまうんですよ。
天狐空幻(クー)の変なやんちゃっぷりとか、それでいてにつっこませたりとか、コウの天然が可愛い感じとか、の真っ直ぐな感じとか・・・まあ色々あるんですけど、一人でボケて一人でつっこんでいる感じとか・・・。
つい、

「ねぇねぇ、実際にやったことあるでしょ? あるんでしょ? あるよね?
なかった場合でも・・・少なくともこんな生活送りたいとは思ってるよね? ね?」

とか聞きたくなる感じ。
なんだか普段の柴村仁の生活を覗き見ているような・・・いやそれって間違いなく想像し過ぎなんですけどね。それでもそこが良い、というか、可愛い。うーむ・・・イイ
でも柴村仁氏って男性だっけ? うーむ・・・うーむ、むむむむ? ・・・まあいいや。どっちでも*1

長月の章

いきなり尾行される高上家次男の透。
まあなんというか、モノノケに魅入られやすいというか、そういう体質が全開です。んでまあ相変わらず首を突っ込んだ挙げ句苦労したりするんですが、透本人は納得したのかな?
まあ頑張った割にはその報いが「ピンク色のゴボゴボした何か」というのがまた悲しいような・・・。

神無月の章

町内会主催のハロウィンイベントが行われる事になった。昇はそこで児童たちの引率役をあてがわれて、仮装して街を練り歩いく事に。
そしてそれと平行して妖怪やら神さまやらの間で一つの話題が出る。それは「貧乏神がこの街に入り込んだ」というもの。そんな出来事に人一倍金にがめつい街の神さまの親玉・恵比寿が黙っているはずがない。「貧乏神をつかまえたら十万だす!」と賞金までつけて貧乏神を捕まえようとするのだが・・・?

「おにいさんはどんな女の子が好み?」
「おにいさんはカノジョいる?」
「おにいさんは年下の子とかどう思う?」
「おにいさん、あとでメルアド教えて?」

なぜか幼女(妖精と魔女の仮装をしている・・・コスプレ?)にモテモテの引率者・昇。・・・羨ましいなんて、絶対に、絶対に、絶対に・・・!

霜月の章

商店街の福引きで当たった温泉旅行に行く事になった昇るとクー。
で、行って見たら・・・猛烈に貧相な旅館だった。そしてそこで・・・起こったのは・・・火曜サスペンス劇場だった!

陸の孤島! 巨大な密室! 誰も逃げられない、アリバイは完璧! これぞまさに夢の2時間サスペンス的展開! 火サスの神が降りてきたぁ! 船越英一郎(帝王)よ、我に力を!」

クーが現代社会にどんどんと毒されて行ってます・・・。

師走の章

身体測定、それは女の戦い。
という訳で我らがヒロイン(?)の佐倉美咲が帰ってきた!

「絶対、前より増えてるよ!」(基本形)」
「保険委員に数字見られるの、ホントにヤなんですけど……」(「ナーバス化」派)
「生き物は、冬には太るようにできてるのよ。防寒のために」(「事前に言い訳」派)
「……トイレ行こうかな」(「今のうちに排出できるものはなんであろうと排出したい」派)
「あんた何してんの?」「最後のストレッチ」(「脂肪を燃焼?」派)

そんな感じで派閥の入り乱れる中、佐倉は如何なる数字を叩き出すのか!? 佐倉の悲鳴が響き渡る・・・!!
寒いと太るのが女性の性なのか! 秋に美味しいものを食べ過ぎたツケなのか!? そして佐倉の昇への淡い想いはどうなってしまうのか!? 多分・・・必見?

睦月の章

一月は正月で酒が飲めるぞ編。

「『大好きなカナちゃんと一生一緒にいられますように』……『あさみLOVE』……」
「リアルに殺意が湧くな」
「三百円払って絵馬に書くことじゃねえだろ」

昇を始めとする男子高校生の初詣なんてこんなもんだろうな。というか俺とかは今でもこんなもんだな・・・。

総合

星5つ!
可愛い!
とにかく作品全体から可愛らしさがモコモコと立ち上ってくるような出来です。
シリアスさの欠片も無い出来なんですけど、読んでいる最中に何故かニヤニヤ笑いがとまらない。作者である柴村仁が一体どんな気持ちで書いていたのかを想像するとどうしても笑わずにはいられない、そんな短編集ですね。この作者にへんな親近感が増してしまった・・・。
イラストは変わらずの放電映像氏ですね。好きな作風です。お気に入りは昇と佐倉の白黒ツーショットとコウと透のある日の一コマですね。柔らかい明暗がいいなあ。

感想リンク

*1:調べたら女性だった。良かった。