薔薇のマリア(5)SEASIDE BLOODEDGE

薔薇のマリア 5.SEASIDE BLOODEDGE (角川スニーカー文庫)

薔薇のマリア 5.SEASIDE BLOODEDGE (角川スニーカー文庫)

うーん・・・「薔薇のマリア」シリーズはこういう博打を平気で打ってくるんだよな〜という5巻じゃないかと思います。

ストーリー

トマトクン宛に一通の手紙が届いた。差出人はジョーカーといい、クラン・ZOOの一員だという。病に倒れたので彼の所有する財産を分配したいという内容だったのだが、ジョーカーと会った事のないマリアローズ以外のZOOの面々は心配する事は無いという・・・いずれにしてもエルデンを抜け出して、サンランド無統治王国の南に位置する港町・ジェードリに向かう事になったZOOの面々。そこは僧侶トワニングが破門された寺院がある街でもあった。
だがZOOの面々がジェードリに向かっているまさにその時、ジェードリでは一つの騒動が巻き起こっていた。ジェードリの街を治める義賊とも言えるマフィアであるパンカロ・ファミリーと、突然現れて全てを破壊しようとする謎の集団・血塗れ聖堂騎士団。多くの名も無き人々を巻き込んで激化して行くマフィアと聖堂騎士団の戦い。
旅先で巻き起こる騒動のプレリュードとも言える5巻です。

う〜む

流石にちょっと読み辛い。
なんといっても殆ど新キャラの描写に終始するし、しかもその語り手が殆ど新キャラの視点で綴られ、さらに章毎に語り手が切り替わるというかなり挑戦的な試みでこの5巻は出来上がってます。
もちろんZOOの面々の描写も出てくるんですが、この5巻は「ジェードリに移動中のZOOと、ジェードリで実際に今起きている事」という感じで語られまして、ZOOの方は大した出来事も特にないんですね(普通の旅人なら大変な事になってそうな出来事に遭遇したりしてますが)。まあそれでもちょっとした旅行気分で浮かれ気味のZOOの面々が見られるのは楽しいですけどね。
ZOOの皆さんは殆ど馬車の中なんですが、その中で大活躍してくれるのがサフィニアだったりします。・・・激しい妄想で大変な事になったり、夜這いをしてみたり・・・夜這い!?

一方ジェードリの方なんですけど、パンカロ・ファミリー他、大量の新キャラが目白押しでして、これがじっくりたっぷりページを費やして描かれます。各キャラクターの立て方は実に上手いと思えました。魅力的ですね。
しかし・・・流石に殆ど一冊丸ごと新キャラの語るシーンとなると、これは舞台が同じ別シリーズでやった方が良いんではないかと思いましたね。うーん、新キャラクターが沢山でてくるんですが、流石にマリアローズ達の活躍するシーンが少なすぎて、一応シリーズのファンとしては寂しい5巻でした。
いやその、決してつまらない訳ではないんですが、やっぱりZOOの面々に活躍して欲しいという気持ちが強いんで、その辺りはちょっと厳し目になっちゃいましたね。
でもローラとか良いキャラだなあ・・・。うーむ・・・うむむむむ・・・。

しかし

この5巻のあとの6巻を読めば分かるんですが、6巻の盛り上がりはこの5巻のタメがあってこその盛り上がりなので、シリーズ全体で見た場合には成功とも失敗とも言い難い一冊となっています。うーん、この5巻で脱落する読者が出なきゃ良いんだけど・・・一定数は出るんでしょうね。

総合

うーん、星3つ。
まあ星が2つ暴落してるんですが、仕方がないかな、と言う感じ。
今まで積み重ねた資産を殆ど使わないストーリー作りは見事だとは思いましたが、「薔薇のマリア」シリーズとして楽しめたか楽しめないかという意味で言えばちょっと苦しいです。やっぱりZOOの連中が好きなんですね。
でもこの5巻を乗り切れば(?)怒濤の6巻が待っていますので、つまらないと感じた人もそのまま6巻に突入すると良いと思いますよ。
BUNBUN氏のイラストは相変わらず・・・というかキレてますね。良いです。白黒イラストも実に良いですね。

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