薔薇のマリア(6)BLOODRED SINGROOVE

薔薇のマリア (6) .BLOODRED SINGROOVE (角川スニーカー文庫)

薔薇のマリア (6) .BLOODRED SINGROOVE (角川スニーカー文庫)

しかし、1巻を読んだ時にはこんなに凄い話になるとは思わなかったなあ・・・。

ストーリー

マリアローズを始めとするZOOの面々がジェードリに到着した時、既にパンカロ・ファミリー血塗れ聖堂騎士団の最初の衝突は終了していた。パンカロ・ファミリーは多大な犠牲を払いながらもファミリーの血を次世代へと繋いでいたが、息も絶え絶えという様子である。
ZOOの面々はジョーカーよりさきにマフィアの生き残りと接触する事となったのだが、僧侶かつトワニング(髭)はオストロス神殿の崩壊に我を忘れて怒り狂い、カタリは義憤にかられ、暴走しそうになったりしていて収集が付かなくなったりしていた。
そんな状況でも血塗れ聖堂騎士団の侵攻は続き、ZOOの面々は街の中で恐るべきものが出現するのを見た。それは——。
5巻で積み重ねた伏線を、一気に回収するべく猛烈な勢いで動き出す、必見の6巻です。

猛烈です。

いや、5巻だって猛烈な展開だった訳ですが、そこにZOOの面々が参加してメインで切ったはったをやり始めるのがこの6巻ですね。
登場はしていましたが、ロム・フォウとZOOが落ち着いて顔を合わせるのがこの6巻ですし・・・そうするとトマトクンを挟んでのサフィニア——ロム・フォウ戦線というのが勃発する訳でして・・・いやはや。
では個人的に気になったキャラクター達をちょっと見てみます。

サフィニア&ロム・フォウ

いや、サフィニアの緊張感が勝手に頂点に達して、ロム・フォウは知ってか知らずかにっこりとして、トマトクンはその状況に全く気がついておらず、マリアローズを始めとする他の面々が緊張するという得体の知れない状況です。

「……おっ……おはよう、ござい……ます……」
「うん。おはよう」
「……お……おはよぅ……ござぃ……」
「おはよう」
「……ぉはょ……」

別に初めて顔を合わせる訳でもないのですが、異常なまでに高まるサフィニアの緊張感。ちなみにこのシーンにはイラストもついていまして、口許のひきつるサフィニア、微笑むロム・フォウという笑える一枚となっています。

ジョーカー

前巻のコメントで「ジョーカーはツンデレ」と指摘がありました。ZOOと顔を会わせたとき彼は結構な怪我をしていたりするんですが・・・。

「少しばかり力を使いすぎただけだ。時が経てば戻る。己もさすがに疲れた。貴様のごときうつけと口をきいたせいだな。忌々しいことだ。すべて貴様らのせいだぞ。貴様らが雁首そろえてこんな場所にいるせいで、気が抜けた。その足りない鳥頭を絞って反省しろ。馬鹿者、ども、め——」
唐突だった。
ジョーカーが、クローディアを抱えたまま、まったく姿勢を変えずに、バッタンと後ろへ倒れた。
ロム・フォウがため息をついた。
「やせ我慢にも程があるよ」

ツンデレというか、いや単なる馬鹿なのか・・・いや、馬鹿も極めれば貴族になれるとでも言うのか・・・まあ実際に心技体全てにおいて尊敬を集めるだけの能力は持っているのですが・・・うーむ、バカだ・・・。

カタリ

で、バカと言えば彼ですな。魚がZOOの面々について端的に語ってくれます。

「せや。わしらは——ZOOはな、これはわしの考えやねんけど、賢うないんや。誰も彼もな。アホの集まりやねん。朱に交わればっちゅう言葉もあるけどな。わしらは、底抜けのアホダラの集まりやねん。怒んなや? お前もアホやろ」

しかしカタリにアホと呼ばれるZOOの面々って・・・いや、確かにアホばかりなんですけどね。つーか園長がアホ筆頭ですからね。それがZOOの魅力ですが。

今回は

後半でもの凄い奴が出てくる関係で、サフィニアが強烈な魔法を使うシーンや、トマトクンを始めとするZOOの面々の全開戦闘が楽しめます。
手に汗握る戦闘シーンと言っていいのではないでしょうか。Wizardryの地下10階でグレーターデーモンの集団とかマイルフィックとガチンコをやらかすような感じとでも言いましょうか。普段はマダルトだけど今回ばかしはティルトウェイト唱えとけというか、とにかく生焼けじゃくたばらねえような奴が出てきます。
とにかく、全開、全開、全開です。トマトクンも本気モードを出さざるを得ない相手で、しかも寺院が破壊されている関係で蘇生が出来ない。その状態でZOOは戦うはめになるのですが・・・。

総合

星5つ。
前半はおとなしめですが、後半は1巻が楽しめた人なら同じようなノリで楽しめるバトルな感じの話です。
それどころか各キャラクターに深みが加わってますので、どこをどう切り取っても面白いと言えそうな話ですね。マフィア連中の意地も見所なら、血塗れ聖堂騎士団イカレっぷりも凄まじい。そしてZOOを襲う運命。
とにかく7巻が出版済みで良かったと言っておこう。ここで止められたらもう辛抱たまらん感じです。話の作りといい、キャラクター描写といい、ケチの付けどころは特にないんじゃないですかね。
ちなみに関係があるかないか分かりませんが、アジアン、ひょっとしたらマリアローズに攻略フラグが立ったかもよ? 虚仮の一念岩をも通すとはこの事か? でも、アジアンは好きなんだけど、マリアローズに相応しいかと言われれば「全く相応しくない!」とマリアローズのファンのみんなが言いそうですけど・・・。
イラストのBUNBUN氏はいいですな。とにかく一度全ページカラーで読んでみたいです。・・・大変すぎて死んじゃう?

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