「ヘタレ少年が可愛い女の子達から理由も無くモテモテじゃないと思う話」を集めてみる

俺は今回純粋に好意を寄せる人数のみで評価しましたけれど、「何故こいつが好かれるのか判らない」「さしたる理由も無く(人数の多寡は関係無しに)好意を寄せられるのか判らない」という、好意を受ける対象の主人公の人物造形に対する不満も冒頭の意見には含まれているように思えます。
そういった点を含め評価しなおすとまた違った結果が出てくるのかもしれません。
偏読日記@はてな(「ライトノベルはヘタレ少年が可愛い女の子達から理由も無くモテモテな話ばっかり」を真剣に検証してみる

この「偏読日記@はてな」さんの凄く面白い試みに平和の温故知新さんが反応してエントリを立ててます。

ライトノベルはヘタレ少年が可愛い女の子達から理由も無くモテモテな話ばっかり」なのか?
→「そうである」とも言えるし「そうではない」とも言える。微妙なところである。
 →「ライトノベルはたいていバトルしたり可愛い女の子キャラが出てきたりする」ならほぼ100%でわかりやすいのになぁ、というお話。
平和の温故知新さん(ライトノベルにありがちな偏見について

平和の温故知新さん的には「そんな事ないぜ〜と言いたいけど、そうかも知れンな〜と言いたくなってしまう感じ」なんですかね。
確かに殆ど読んだ事がない人からすると、そういう風に見られているのかも知れないですね。

では逆に

タイトル通り「ヘタレ少年が可愛い女の子達から理由も無くモテモテじゃないと思う話」を列挙出来るかぎりしてみようかと思ったりしました。
一応縛りとしては、

  • いわゆるライトノベルを出版していると思われるレーベルの作品*1から選ぶ。
  • 恋愛要素はあってもヘタレてない*2と感じられるようならいいんではないかい?
  • 女の子が登場するのはまあ仕方がないのでは?*3

という感じです。

では

行ってみましょう。

タイトル 出版レーベル コメント
BLACK BLOOD BROTHERS 富士見ファンタジア文庫 人気作ですけど考えれば考えるほど「ヘタレ少年が〜」から外れている作品だと感じるという作品ですね。主人公も恋に悩んだりしますけど、理由もなくモテモテとかそんな感じではありませんなあ。
DDD 講談社BOX そもそも女性らしい女性がまともに出てこないですし、出たかとおもったらモテモテとかと全く違う方向に突っ走っている感じがします。やっぱり食べられるのはヤだよねえ・・・。
神様が用意してくれた場所 GA文庫 そもそもモテモテとかともの凄く遠い所でお話を作っていて、かつ個人的に楽しいと感じる本ですね。日常に潜む不思議を取り上げた意欲作ではないでしょうか
アリフレロ―キス・神話・Good by スーパーダッシュ文庫 なんというか、モテモテとかラブコメとか、あるいはライトノベルとかと言ったものから完全に逸脱した感じのある作品です。この作品を読んでもらえば、今やライトノベル界はなんでもありのバーリドゥード状態に突入しているという事をご理解頂けるであろう一作です。
オイレンシュピーゲル 角川スニーカー文庫 間違ってもラブコメではなく、血と硝煙の匂いにまみれたハードアクション作品と言っていいですね。エロスって感じはありますけど、ヘタレだと生き残れない世界観だったりします。
青の騎士ベルゼルガ ソノラマ文庫 今は亡き、になっちゃったのかな? のソノラマ文庫から一つ。男臭さ全開です。女性は出てきますしロマンスもあったりしますが、いわゆる「ヘタレ少年が〜」とは全く違うという事を保証致します。
ラクリ荘の異人たち 〜もしくは賽河原町奇談〜 GA文庫 和風妖怪ホラー風味ファンタジーという事でいいんでしょうかね。恋の話もあったりはしますが、あくまでメインストリームではなくて味付け程度という感じです。面白いですよ。
消閑の挑戦者 角川スニーカー文庫 少年一人に少女一人の主人公が頭脳と体力で戦う話ですが、この作品もいわゆる「ヘタレ少年が〜」から大きく逸脱している感じのある作品ですね。恋愛要素はまあ、あるんでしょうけどやっぱり話の中心には無い・・・かな?
食卓にビールを 富士見ミステリー文庫 恋愛以前の問題。主人公は女子高生で既婚の主婦。もうこの時点で「うん、なんか違う」という事が分かって頂けるかと思う。
戦略拠点32098 楽園 角川スニーカー文庫 もう何度でも紹介しちゃうぜ。この作品が「ヘタレ少年が〜」という主張に引っかかるのであれば、この世にある男と女の出てくる全ての作品は「ヘタレ少年もの」になってしまうに違いない。
空とタマ―Autumn Sky,Spring Fly 富士見ミステリー文庫 少年が主人公の再生の物語。非常に美しく、情感豊かな作品です。大人に是非読んで頂きたい一作です。
ドアーズ(1)まぜこぜ修繕屋 角川スニーカー文庫 そもそもヘタレ少年が出てきません。触手は出てきますけど。つやっとした触手です。
時載りリンネ 角川スニーカー文庫 爽やかと感じる読了感には「ヘタレ少年もの」の匂いが全くと言っていい程混入していないのではないでしょうか。一冊めのライトノベルとしてもオススメ。大プッシュ。
鳥籠荘の今日も眠たい住人たち 電撃文庫 一応作品内にはラブがありますが、それだけの話ではないという事だけは断言致します。とりあえず1巻を読んでみてください。人生は甘くて、時に酸っぱい。そんな作品です。
猫の地球儀 電撃文庫 ポップで可愛い感じの表紙イラストに騙されて一体何人の人間がトラウマを持つはめになったのか知りたい所ではありますね。未だに某「苦しまなかった(ry」が禁句になってしまっている人も多いに違いない。
冬の巨人 徳間デュアル文庫 圧倒的とも言える想像力によって構築された世界観がまず秀逸で、そこを舞台にした少年の成長物語です。恋愛要素が無い訳ではありませんが、読んでもらえればそれだけの話ではないと理解して頂けると思います。
ミミズクと夜の王 電撃文庫 表紙イラスト、内容、どれをとってみても電撃文庫の意気込みを感じさせる名作だと思います。少女ミミズクの誕生の物語です。一冊めのライトノベルとしてもオススメです。
量産型はダテじゃない! 富士見ファンタジア文庫 ポンコツ量産ロボ・ナンブの熱い生き様(?)を描いたいかにも少年向けな感じの作品。とにかく主人公がロボなので、コメはあってもラブはないです。

読了数が少ないんで

これくらいですが、まだまだ探せば沢山出てくるような気がするな〜。
作家で言えば、なんとなく日日日作品は全部「ヘタレ少年もの」ではないような気がするし、同じような感じで桜庭一樹とか桝田省治とかもそんな感じがする。というかタイトルにあるいわゆる「ヘタレ少年のモテモテもの」の方が全体から見たとき少ないような気すらしてきたなあ・・・。

ですので

いわゆる、

「ヘタレ少年モテモテ道中記ばっかりじゃねーか!」

という意見はやっぱり偏見の匂いが強いんじゃないかなあ、と個人的には思ったりします。
確かにそういう作品がありますし、人気のある作品にそういう傾向があるのかも知れませんが、それだけではないのがライトノベルじゃないかなと思いますね。
「偏読日記@はてな」さんでリストアップされてますんで上のリストに載せませんでしたが、上記のような印象をお持ちの方はとりあえず「砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない」あたりを読んで見て欲しいです。あるいは「ミミズクと夜の王」とかね。
こんな感じですが、どうでしょう?

*1:電撃とか、富士見ファンタジアとか

*2:まあ何をもって「ヘタレかつモテモテ」と定義するかという問題はあるけど。

*3:だって「魁!男塾」にだって女の子登場したことあるし、人類の半分は女性だからし