薔薇のマリアVer１ つぼみのコロナ

薔薇のマリアVer1 つぼみのコロナ (角川スニーカー文庫)

ストーリー

サンランド無統治王国・首都エルデンを目指すキャラバンにその少年はいた。名をレニィという。
訳ありで生まれた街を飛び出し、傭兵として生きていく事を決めた少年だ。しかし、彼の前途は明るくなかった。護衛の一員として参加したキャラバンに大量のオーガが襲いかかったためだ。訳も分からないままの襲撃——混乱——逃走というお決まりのコースを辿ったレニィ少年の前に姿を現したのは・・・ピンク髪で天然おとぼけ魔術師のコロナだった。
「薔薇のマリア」本編にちょこちょこと顔を出す「災厄を連れてくる魔導師・コロナと、彼女の世話を焼くレニィの出会いと道行きを描いた外伝です。

うーん

やっぱりろくでもない人生生きてるなあ・・・というのがまず一言目。
つーか傷を持っていない人間は「薔薇のマリア」シリーズには出れない運命なんじゃないかと思うくらいコロナの人生は過酷ですね。なんというかもう・・・手の施しようがない人生とか言えるかもしれないですね。
どんな内容なのかは本編で確認して頂くとしても・・・しかしその「無邪気な神の巻き起こす残酷な現実」こそが「薔薇のマリア」シリーズも持ち味だからして、その辺りをどうこう言うつもりは無いのですが、うーん、悲惨。

でも

ここでレニィの存在があるから、この「つぼみのコロナ」という作品が生き生きとしてくる、という所がありますね。
しがみついて、意地になって、ムキになって、必死になって齧りつくようにして生き抜こうとするレニィの存在が、コロナにとって唯一の光明と言えそうな展開にちょっと涙です。
始めの方こそ二人の関係は殆ど意味不明ですが・・・。

「な、なんだよ」
「……生まれて初めてです。ありがとう、って、誰かに言ってもらえたの」

「エルデンについたら、どうするつもりだ。何かアテでもあんのか」
「いいえ。皆無ですっ！」
「皆無かよ……」

コロナは本当に・・・本当にもう・・・なんと言って良いやら。放っておけないとレニィ少年が思うのも無理無いというか。
そんなヌケサクとも言えるコロナですが、過酷というのにはやはり訳があります。

「壊してよ。コロナを、壊して、処分して」

さて・・・どんな状況でコロナがこうした事を口にしたのか、そしてそれにレニィがどう相対したのか、その辺りは必見です。いいなあ少年少女の真っ直ぐさは・・・。

眼鏡で半裸のおねえさん・トモヨ

レニィを気に入って助けてくれる人なんですが・・・うわ〜こういうお姉さん、大好きですねえ・・・たまらんですハイ。

「あは」
そう短く笑って、ぺろりとめくってみせやがったのだ。
レニィは、見た。
見てしまった。
——初めて、見た。
なぜだか猛烈に悔しくて、レニィは猛然と立ちあがり、声を荒げてしまった。
「穿けよ！　パンツくらい！」

この人、でかいセーター一枚しか着てません。裸ワイシャツならぬ裸セーターです。私のストライクゾーンにばっちり入ってます。
ちなみにこの”自分でめくって見せちゃってる”シーン、トモヨおねえさんの色っぽい視線と一緒にイラストになっているのですが、肝心なおヘソより下の神秘のデルタゾーンがレニィの頭に隠れて見えません。
おいレニィ、テメエ美味しいところ独り占めかよオイ、俺がこういうタイプのお姉さんが大好きなのを知っての狼藉か！？
・・・いや、そんなエロい話じゃないんですけどね。

ともかく

コロナとレニィの悲しくも美しい恋慕（？）が描かれる作品ですね。その辺りに注目して読み進めると結構素敵体験が出来るんではないでしょうか。
「薔薇のマリア」本編の方にも登場している隠れキャラみたいな人もチョボチョボ出ますし、ロム・フォウも顔を出しています。よくよく考えるとロム・フォウと狼のアルファの出会いのシーンも書かれてたりするんで、やっぱりシリーズのファンの人は必見かも知れません。

総合

星３つかな？
つまらないという事は無いんですけど、個人的にコロナが余り好きでは無いというのが大きいですね。レニィは悪くないですが。
彼らが今後「薔薇のマリア」シリーズ本編に絡んでくるかどうかは分かりませんが、現時点では完全なる外伝という感じですね。つまりZOOの存在が無くても話が成立するという意味でですが。
まあ要所要所でZOOの影はあるんですが、別にZOOでなくても話は作れそうだよな、という意味では同じ世界を舞台にした全く別のシリーズに出来そうかな・・・とか思いました。というか、その方が面白いかもしれない。コロナとレニィを主役にした冒険活劇もの。コロナがヌケサクなんで大変そうだけどねえ・・・。
BUNBUN氏のイラストの出来にはとても不満。だからレニィの頭が邪魔でトモヨお姉さんのファンタジーゾーンが見えねえんだよオオオオオオパオパ！　・・・いえ、満足です。

感想リンク