薔薇色にチェリースカ(2)

薔薇色にチェリースカ 2 (2) (集英社スーパーダッシュ文庫 か 6-13)
薔薇色にチェリースカ 2 (2) (集英社スーパーダッシュ文庫 か 6-13)海原 零

集英社 2007-11
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せっせと積み本の消化を進める週末。なんといってもこの辺りを潰さんと電撃文庫に行けンのだよ。つーか飛ばしたら最後「積み本行き」になるのが目に見えているという恐ろしい現実が・・・。

ストーリー

マシュテバリ学園に留学中の綺羅崎ヒロの学生生活は一風変わった・・・というか学生としてはかなり過酷なものだ。
弱みを学園の理事長に握られた結果、冷酷かつ傲慢な理事長の奴隷とも言える生活を余儀なくされ、まともに付き合ってくれる友達も出来ないような状態・・・唯一、日本で因縁を持っていた少女の乱流真希を覗いては。
学園の権力構造は理事長を頂点とする単純なはピラミッド構造という訳ではなく、理事長と対立する「優生会」と呼ばれる組織が非公式に存在し、それが水面下とは言え理事長と対立している状態だ。
さらには公式な生徒会である自由会という組織もあり、複雑に絡み合った均衡の中に綺羅崎ヒロは暮らしている。その身に、一匹のバラ色の美しい蛇を絡みつかせたまま。その蛇の名こそチェリースカという。人に姿を変え、人語を理解し、不思議な「ラグ」という力を持つ美しき蛇——。
なんか直ぐに出ましたね2巻。

前作では

権力構造というか、女の意地の衝突(乱流真希 vs シシリー・アイスヒル)というか、そういった辺りがかなりクローズアップされていましたが、今回は少年の冒険譚に大きくシフトしている感じがしますね。今回はシシリーの登場シーンはかなり少なくなっており、その代わり、シシリー・アイスヒルの上に立つ優生会のトップであるウィリアム・ホフナーが出てきます。
そして当然その敵になってしまうのは主人公の綺羅崎ヒロですね。何やら不幸を一身に背負ったような主人公ですが、なかなか見上げた根性の持ち主です。力は無いし、それを自覚しているから怯え、さらには恐怖したりしますが・・・それでも主人公としての最後の一線を守っているように感じます。

しかし

・・・なんで学校行っているだけで何度も死にそうになるんだ・・・って思ったりしていたんですが、その辺りの「謎」も、今回は大きく明かされる事になります。
綺羅崎ヒロが学園に留まり続ける理由、彼の意地の根元。あるいはチェリースカが綺羅崎ヒロに取り憑く理由、彼女の怯えと恐怖の理由・・・といった所がですが。
また、今回の騒動/ピンチのおかげで二人(?)の距離は一段と近づいたようですが、はてさて・・・今後どうなっていくやら・・・。

「なら生きればいいさ」

綺羅崎ヒロの言い放った一言は、チェリースカにとって最高に望んでいた言葉だったと思うのですが・・・どうでしょうね? 俺がチェリースカならフォーリンラブだな*1

ちょっと

今回はラヴが前面にも出ていましたね。
チェリースカはチェリースカで、物語の序盤から、

気が休まるのだ。
こうして、こいつの体にまきついていると…………。

なんて述懐していますし、その後も「・・・嫉妬?」と言えなくもないような行動を繰り返したりします。
それに加えて乱流真希の方も、1巻で大暴れしたチェリースカをどうも気に入らないらしく、

「あそこでなにをしてたの?」
「だからなにもしてなー」
「——あのノーパン女は誰よっ!?」

・・・この後も散々な罵倒語が続く訳ですが、その度に聞いている蛇さんが宿主の体を締め上げるという状況で・・・いやあ、主人公が羨ましいような、羨ましくないような・・・。

総合

星4つ。
面白いですね。この2巻は俄然面白くなってきたという感じです。
特に主人公の持つ幾つもの謎や動機、チェリースカの秘密と世界の秘密、大きな陰謀の匂い、暗躍する化け物共などなどが登場してまさしく魑魅魍魎が跳梁跋扈する感じになってきました。
今回は主人公二人の「苦しい過去と現在の告白」とも言える話なのですが、それがまたグッと物語を引き締めつつ、キャラクターへの思い入れを強めてくれますね。
加えて、恐らくこの作者の持ち味とも言える「華美な文章」。個人的には好きと断言出来る感じではないですが、悪くないですね。ちょっときらびやか過ぎてなんか文章の中で「眩しくて迷子」になるような気がしないでもないですが、これはもう好みの問題。あるいは・・・慣れ?

感想リンク

*1:どんな例えだ。