ゼロの使い魔(13)聖国の世界扉

ゼロの使い魔13 (MF文庫 J や 1-16)
ゼロの使い魔13 (MF文庫 J や 1-16)兎塚エイジ

メディアファクトリー 2007-12-20
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star最高
starまってました
starやっぱりルイズは最高すぎ

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これは「愛」について書かれた本です
独り者は間違ってもクリスマスイブなどに読んではいけません
そんなにエロくないのにダメージ大。経験値が足りない人にはWIZARDRYの攻撃呪文・MAKANITO並みに即死級*1なので、手を出す際には十分に注意して下さい
・・・そろそろ医師の処方箋が必要じゃないかと思い始めました。

ストーリー

ルイズ才人ティファニアなどが学園でゴタゴタと色々やっている最中も国の政治は動いており、アンリエッタは外交上の理由からロマリアを訪れて、彼の地を治める教皇と会談を行っていた。そしてそこで改めて明かされる真実にアンリエッタは急遽自国からルイズとティファニアを呼び寄せる事になる。
そしてロマリアを訪れることになったルイズ&才人一行を待ち受けていたのは、宗教に支配されたロマリアの現状と、苛烈なまでの信仰心をもった教皇の存在、ルイズ、ティファニアとまた別の虚無の魔法の使い手と・・・それを守る使い魔。
以前も顔見せをした事のある登場人物の再登場と一緒に、伏線の幾つかが明らかにされて嫌が応にも高まる緊張感の13巻です。

12巻の

おふざけムードを前半は引きずっていますが、読み進めるにつれて伏せられていたカードがめくられる事によって色々と悩ましい事態に突入する事になります。
今回新たに出てくるロマリアの教皇聖エイジス三十二世(ヴィットーリオ・セレヴァレ)は行動だけみると非常に善良そうですが・・・彼の下にはあの「ヴィンダールウ」のジュリオがいます。
本音の見えきらない手駒(ジュリオ)を持つ聖人のような人間がうさん臭くない訳はありません。どうも色々と怪しい動きをしまくりですし。
・・・まあ、本編内での彼らの言い分は分からんでもないのですが、裏があるかどうかも分からないのが一点目、そしてまたこう言っては変ですが教皇達の主張はどう考えても「ゼロの使い魔的ではない」のが二点目、それぞれ気になりますね。
一点目は話が進めばイヤでも分かってくるのでしょうが、二点目については・・・ルイズや才人の信念というか、意地というか、気合いを試される部分ではないでしょうか。才人とルイズに「ヒーローとヒロインとしての資格を持っているか?」と問いかけてくるような内容です。

「博愛は誰も救えません」

・・・彼らがこの問いかけにどういう答えを出すかでこの作品の持つ意味は大きく変わりそうです。

しかしまあ

読んでいて伏線が解消されていくのは楽しいですね。

  • ガンダールヴ(才人)の「槍」とは何の事なのか。
  • 「あのルビーの指輪」が再登場とか。
  • 3人目の虚無の魔法とは一体何か。
  • タイトルにある「世界扉」とは何か。

などなどです。
その辺りが一気に解消されていくので読んでいて楽しいですね。

・・・それと平行して

ルイズと才人のラヴ指数はうなぎ上りであって、かなりのイチャイチャ波動が出まくっています。

「おおきくなればー、あんらー、よそみしないれしょー。れもー、ちいさいのがー、すきかもしれないのれー、わらしー、悩みろころらわー(悩みどころだわー)」
月明かりが、さす中……、才人の頭の中はルイズでいっぱいだった。
ルイズは才人に顔を近づけ、頬をペロペロと舐め始めた

ちなみにこの時ルイズは酔っているのですが、これはまさしく酔った上での凶行。顔は舐めてはいけない。それはなんか内面の色々なモノが溢れすぎててアブナイ
ついでに才人ですが、別のタイミングでこんな事を言っちゃったりします。

「わたしの存在が……。あんたの母さまや父さまの代わりになるっていうの?」
「そんなのわからないよ。でも、なんていうかな……、好きな人の存在って、それだけで何かが違う。なんていうか、全部の代わりになるような、そんな気がするのさ」
才人は、真面目な顔でそう言った。
ルイズはもう、その言葉だけで腰がくにゃっと抜けてしまった。
ふらふらと才人に寄りかかると、ルイズはぼーっと、呆けたように目をつむった。
いやだわ、もう。
幸せというものが、何かかたちを伴って具体的に存在するとしたら……。
きっと今みたいな時間を、きっとそういうんだわ……。

おお! 才人いいぞこの野郎! 男の顔になりやがったな!
・・・ところでこの引用箇所を読んで「自分の致死量を超えている」と判断された方は、正月辺りまで読むのを控えた方が良いかも知れません。無理して読んだら、あなた、寂しさで must die

ただし!

彼らの恋模様の天秤の反対側に乗るのは「世界の違う二人」というどうにもならない問題です。
今回訳あって才人は残して来た家族からのメッセージを受け取ってしまいます。それは正直・・・家族というものの占めるウェイトの小さいライトノベルでは珍しいと言っていい程の重さを持った一撃です。溜めに溜めて放たれた痛恨の一撃とも言えますかね。
そしてその時取った才人の行動と、それを知ったルイズの行動、そしてルイズの決意・・・。

「さよなら……、わたしの優しい人。さよなら、わたしの騎士」

わたしの優しい人って・・・シンプルなのになんと美しい言葉・・・! 正直シビレましたねコレは・・・!
以前どこかで見たのと逆の展開な訳ですが・・・どうなってしまうのでしょう!? 正直早く次の14巻が読みたいですね。

総合

星4つ。
一冊で伏線を消化しつつ新たな伏線を作っていく感じですが、コメディ/シリアスの配合も程良く、相変わらず楽しめてしまいます。
しかしいつも主人公二人は自分の気持ちを試され続けますね。作家のヤマグチノボルはこの展開の答えをどういう風に出してくれるのでしょうか? 恋愛モノ(シリアス含め)という意味ではかなり信頼している作家なので、今から楽しみで仕方がありません。
・・・しかし・・・もうさっさとヤッちゃえばいいのにこの二人。そんでヤってから悩めばいいのにねえ? つーわけでつまりさっさと除膜式やれっての(字が微妙に違うけどな!)。

感想リンク

*1:レベル8以下は無条件即死な魔法。