えむえむっ!(4)

えむえむっ!4 (MF文庫J)

えむえむっ!4 (MF文庫J)

ストーリー

血の呪いか、体質か、理由は良くわからないけれどもひたすらに全開マゾの主人公の少年・砂戸太郎(さどたろう)は、今日も今日とてマゾ体質を直したいと思いつつもどうにもならない人生を送っていた。
因にマゾを直そうとして相談した「第二ボランティア部」では部長である自称・神の石動美緒(いするぎみお)に明らかにゴミムシ以下の扱いを受け、なんだかよく分からないけどどっちかと言えばマゾ体質は悪化していた。
人としてマゾ以外は悪い所は無いのに、マゾのせいで人生がおかしくなっているどうにもならない青春が、彼と彼の周囲の人間達を結果として暴走させる!
はたして究極マゾにまともな青春は訪れるのか・・・という変態ライトノベルの4巻です。

開始1行目で

この話がどんな作品だったか思い出させてくれます。

『朝〜、朝だよ〜、お姉ちゃんのパンツを食べて学校に行くよ〜』
枕元から聞こえるそんな音に、俺——砂戸太郎は目を覚ました。

重度のブラコンを煩っている実の姉・静香によるいきなりの襲撃です。
パンツは食べ物ですか? それとも食べられないものですか? 太郎君は燃えるゴミですか? 資源ゴミですか? それとも燃えないゴミですか? そんな疑問がいきなり頭を通り過ぎていきます。姉は常に太郎のベッドに忍び込み、いつでも太郎の子を孕む気満々です。自分のパンツを食べさせる気も満々です。
ちなみにそんなアブナイ願望を持っているのは姉だけではありません。

「パ……パンツはいてない?」
「はいっ。太郎さんに喜んでもらおうと思いまして、今日はノーパンで参上しましたっ」

実の息子の息子(?)を元気にするべく、朝からノーパンで家事に勤しむ実の母・智子
錯乱しているのですか? 愛故に錯乱しますか? 考えて考えて練り込んだ結果の太郎攻略作戦がノーパンですか? 何がこの家庭で起こっていますか? そんな疑問も殆ど同時に頭を通り過ぎていきます。母は今回は太郎の寝込みを襲いこそしませんが、もう一度子種を変えて母になる気満々です。
そんな作品です。

でまあ

今回も訳あって太郎君はマゾを直すべく頑張る訳ですか、なんともの凄く分かりやすい解決方法があったのでした。
それはズバリ、催眠術。彼は催眠術によってその「ドM体質」を別の方向にずらす事が出来るのだった! ・・・という微妙な書き方でお分かりになられる通り、あくまでベクトルが変わるだけなので、結果は推して知るべし、です。

「辰吉! お願いだからキスさせてくれ!」

今回はBL方向に突進です。一体どこに向かっているのでしょうか?
家を振り返れば近親相姦へ、部活に顔を出せば女王様にいたぶられ、唯一の見方の少女は男性恐怖症・・・前門の虎、後門の狼状態です。でも、どこにいってもキモチ良さそうなのがちょっと羨ましいですね!

今回

一番不憫なのは結野荒子ですね〜。
太郎の事を意識しているのは間違いない(というかもう確実に好きでしょう)のに、文化祭ではほったらかしにされ、美味しい所を全部石動美緒に持っていかれてしまいます。
その女王様・美緒もなんだか罵倒しまくる割には態度が妖しいですし・・・まあ今に始まった事でもないですが。

「母なる大海に還りやがれって意味だよこのうんこ野郎っ!」

ナチュラルにこうした罵倒語が出てくるあたり美緒は見事ですが、なんだか二人は妖しい関係です・・・というか相性が良過ぎます。SとMですから。

ついでに言えば

美少女と見ればマッサージをしたくなる(性感?)マッサージの天才少女・間宮由美も今回大活躍です。太郎と由美の正面衝突は由美がマッサージ奥義を繰り出す所まで行きます。馬鹿臭さ全開ですけどね。

「前に通っていた女子高にも美少女が多くてね、わたしはめぼしい美少女に手当たり次第にマッサージしちゃったのよ。それも、何度も何度も。そんなことしてたら、いつの間にか何十人という女子たちが妄執的なほどわたしに懐いてきて……」
ふっ、とどこか厭世的な笑みを浮かべる。
「あれは、天国……いえ、地獄というべきなのかしら……」

そりゃ絨毯爆撃的にイカせまくってればそういう事になるでしょうな。しかも女子校。うーん、天国か地獄か。

総合

星4つ。
変態には慣れつつある感じですが、それでも変態の群れを使って上手い塩梅にラノベ的青春を描いていると思います。
太郎君は変態ですが、やっぱり締める所は締めてくれます。普段と同じ展開と言えばそうなんですが、それが逆に学園ラブコメにある程度は絶対に必要な安心感を作り出してくれてますね。
話は続きますが、ちゃんラストでその巻毎の決着をちゃんと付けてくれる所も個人的に好感触です。
今回は女王様が太郎と急接近(?)してしまったので、次の話では男性恐怖症が巻き返しを図るものだと思われます。今から展開が楽しみですね。
でも一番のお気に入りキャラは実の母と姉の「吹っ切れた変態コンビ」だったりするのが困ったもんです。

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