ベン・トー サバの味噌煮290円
ベン・トー 1 サバの味噌煮290円 (スーパーダッシュ文庫)
- 作者: アサウラ,柴乃櫂人
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2008/02/22
- メディア: 文庫
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ストーリー
佐藤洋(さとうよう)は気がついたら失神していた。
何の気無しに入ったスーバーのお弁当コーナーで半額になっていた弁当を目撃した直後に失神した。失神した理由も奇怪なら、目が覚めると半額弁当が残らず消滅している事実も奇怪だった。
なんだか理由は良くわからないものの、売れ残りの弁当が半額になるその時、スーパーの弁当売り場は一種の何でもありの戦場と化すらしい。数の限られた半額弁当を求めて群がる敵を千切っては投げ千切っては投げして、ようやく手にする事が出来る栄光——それがこの戦場の勝利・・・らしい。いつの間にか半額弁当争奪の争いに偶然片足を突っ込んでしまった主人公はその猛烈におバカな争いに片足どころか全身を突っ込んでいってしまう・・・いや、金がないから。
半額弁当獲得戦争の古兵で、先輩の一人である槍水仙(やりずいせん)に導かれ、可愛い外見なのに色々とアブナい嗜好を持った少女である白粉花(おしろいはな)を引き連れ、今夜も洋は半額弁当を求めて戦いの場にその身を投じる!
・・・え? どんな話だっけこれ?
雰囲気を掴んでもらうために
最初の方の本編と全然関係ない文章を引用してみようと思う。
「なに焼きそばパンを手にブツブツ言っているんですか?」
「温かなソイジョイによって僕が真のジャズマンとなり、今、幸せに包まれながら生涯を閉じたんだ」
「あの仰っていることが荒唐無稽すぎて、意味がわからないのですが」
「ハハ、まさかウチの親父じゃあるまいし」
ここでソイジョイをネタ元にトリップしているのが主人公です。かなり頭のネジが緩んだ感じですね。
一見まとものようですが、遺伝の仕業か、あるいは育て方を間違ったのか、はたまた朱に交われば赤くなるのか、結構な変態です。
少なくとも同級生であった石岡君の人生を結構な感じに方向転換(悪い方向へ)させる位の事は笑ってやる少年です。ちなみに現同級生の内本君は彼に売られてアブダクションされて妙な電波を受信する存在になったりします。
アババ——————! と奇声を上げてブリッジしながら走りだした内本君に、教室内が騒然となる。
伝説のスパイダーウォーク再び。
余談はともかく
彼——一応主人公の佐藤洋くん——は彼の父親同様容赦というものを知りません。ちなみに彼の父ちゃんがどんな父ちゃんかというと、
小三の夏休みのことだ。「パワーメモリーが反応しねえ!」と叫びながらセガサターンと格闘していた親父は何故かブリーフ一丁だった。それもある部分が黄ばんでいた。
本文では「要ハルンケア」ということでしたが、最初読んだ時は黄ばんでいるのが前じゃなくて後ろだと思ったよ。
いや実はね? 私の小学校の同級生で「牙」と呼ばれた猛烈ヤンキー男がいてね? あらあら、あだ名だけだと格好良さげですけどね? ネタ元は水泳の授業の時にケツが黄ばんだパンツを履いていた事を同級生に目撃されてしまったからであって、そんな不名誉なあだ名を命名されて以来彼はグレにグレてですね?
最後に目撃した時、彼は実に旨そうにシンナーを吸っていたなあ・・・今頃元気にしてるかなあ? まあどうでもいいや。あ、違う違う俺じゃない俺じゃない、彼のあだ名をつけたのは俺じゃないって!*1
ちなみにヒロイン群も
かなりな感じでトリップしています。
先輩である槍水仙も一種の変態(半額弁当に青春の全てをつぎ込んでいるという意味において)ですが、読み進めるに従って彼女が「結構普通だよね?」と思えるようになる所が不思議です。その理由のほとんどがもう一人のヒロインである白粉花がかなりキちゃってるせいですが・・・。
具体的に言いますと、彼女は、書いてます。その・・・なんといいますか・・・一部の女性が好んで読むであろう感じの、アレです。
「ち、違います! あれは純粋にお弁当が欲しくて! それに佐藤さんじゃありません! アレはサイトウさん! サイトウヒロシさん! 交番勤務だったのを上腕二頭筋の美しさを認められて『筋肉刑事(マッスルデカ)』に引き抜かれた新米刑事! 功績ゼロのダメダメですが、男性経験はすでに四!」
「四ってもう四回もやられてんのかよ!? 『筋肉刑事5』ってあったな、ってことは何か、一本毎に僕は一発やられているのか!?」
「一人一発とは限りません!」
だめだこいつ・・・早く何とかしないと・・・!
あ、そういえば
センパイの槍水仙ですが、使用している香水がCKのエタニティです。
このエタニティ、結構前になりますが一時期流行した事がありまして、私の昔の彼女*2のメイン香水でもありまして、私はこの匂いを嗅ぐと未だに条件反射で性的に興奮します。だって、だって、ベッドに匂いがしみ込んでいていてですね、そこでしょっちゅう組んず解れつしていればそらアナタ、オペラント条件づけもびっくりの効果ですよ。
この本にある通りfor Menもありますが、女性向けのものよりしゃっきりした感じの匂いの香水ですね。ええ、持ってますとも。持っていたらいけませんか? アァ!?
ところで
ここまで読んで下さった読者の方々は薄々気がつき始めていると思いますがこの感想、もはや作品と全然関係ないものになりつつあります。
しかし、それで一体誰が損をするというのでしょう!? 誰も損しないんじゃないかな!? あ、強いて言えば作者の人が損をする可能性がありますが、その辺りは変な犬に噛まれたと思って勘弁して下さい。
これがいわゆる「脊髄反射で書かれた感想」です。意味不明な事甚だしいですが「大丈夫、オチンチンの感想文だよ」とかのオビを付けて売ってくれれば多分大丈夫。誰も買わないから。
総合
星5つ。
なんだかよく分からないけど面白かった。
ちなみにこの「アサウラ」って作家の人と相性の悪さを感じていて今まで手を出しあぐねていたんですが、それでも面白かったですねえ!
馬鹿というにはもったいないような熱血部分もあるんですが、基本的に青春というものは熱血=馬鹿なものであって、そして人生の一時期において人間は奇声を発しながら商店街を駆け抜けたいとか思う事があるのであって、それはもう仕方がない事なのだから仕方がないのである。
かくいう私も地元の商店街(約200M)を完全なるキ○ガイっぽい感じで悲鳴をあげつつ走った事がありますが、アレはアレで良いものだったと今では思います。いや、服は着てた。記憶にある限りではパンツは間違いなく履いていた。だから大丈夫。