葉桜が来た夏
葉桜が来た夏 (電撃文庫 な 12-1) | |
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ストーリー
それは空から現れた。
直撃をすれば甚大な被害を周囲にもたらしたであろう宇宙からの巨大な落下物。当初隕石かと思われたその巨大質量は、コントロールされた謎の飛行物体だった。巨大な十字架の姿をしたソレは静かに日本の琵琶湖へと降り立った。その中に異邦人を乗せて。
アポストリ。
十字架に乗り込んでいた地球外生命体達は自らをそう呼んだ。超絶的な身体能力を持ち、女性だけで構成された人類に酷似した存在。そして彼女達は地上に現れたが・・・異文明の遭遇は一つの悲劇を生み出したのだった。
そんな事件から幾らかの年月が過ぎた現在、琵琶湖の周囲は一種の隔離地帯となって日本に存在していた。アポストリのもたらした科学技術と、それを独占する事による日本政府の思惑、そしてアポストリ側の意思によって。
そんな町に暮らす一人の少年・南方学はアポストリを憎む少年だった。かつて人類とアポストリが衝突した際に家族を失った事からアポストリを憎悪していたのだが・・・そんな彼の所に一人のアポストリが訪れる。彼女は葉桜と名乗った・・・。
少年と異星人の少女が出会う時、物語は始まる。ちょっとSFなような感じだけど実はファンタジックな作品です。
うんうん
空から巨大な十字架が振ってくるっていうのはいいね〜、と思った。
・・・んだけどねえ・・・。なんと言うんでしょうかね、キャラクターに魅力が無いというか・・・。いや、主人公の学くんもヒロインの葉桜も悪くはないんだけど、良くもないんですよね。
学くんはアポストリを憎んでいて、そこにアポストリの少女がやってくる事で心と心がぶつかりあって、その結果として彼らは少しだけ成長するのだけど、うーむ、展開が性急過ぎるように感じちゃったねえ。
まあその
主人公はアポストリに絡みで過酷な過去を持っているのだけど、それが葉桜との出会いで和らいで行くんですね。でも、僕はその心の動きに全くと言って良い程感情移入できなかったんだな。
確かにずうっと憎み続けるのは辛いだろうけど、凄まじい悲劇を呼び込んだ存在と同種の生き物を・・・簡単に許せるかな? 同じ人間同士だって中々難しいのに、同じ人間ですらないとなると・・・うーん、俺なら無理。というのがあって、やっぱり展開に納得できなかったんだよねえ・・・。
しばらく前に感想を書いた「海賊彼女」の中のセリフではないですが「復讐とか仇討ちというのは、何の得にもならないし、みんなが傷つくだけだと分かっていても、やらずにはいられないものなんです」というのがしっくり来る私です。
総合
星2つ・・・かな?
同じシリーズの続編なら読まないけど、別のシリーズを作るのであれば読んでみようかなという所。
でもキャラクターにあまり魅力を感じなかったので(良くも悪くも印象が薄い)、次で頑張ってくれないとなんか見限ってしまいそう。宇宙から飛来した十字架というのは素材としてとっても良いと思うんだけど、それの味付けがイマイチだったというか・・・どうもなあ・・・。
さらにはアポストリ特有の習性・・・まあこれは書いてしまうと完全にネタバレになってしまうから書かないけど、うーんちょっと興ざめだったかな。使い古されたネタは丁寧に丁寧に使わないと陳腐に感じてしまうというところだろうか。まあ、このネタには個人的に思い入れがあるので余計そんな風に感じるのかも知れないので、人によりそうだけど。