嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん(4)絆の支柱は欲望

嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 4 (4) (電撃文庫 い 9-4)
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ストーリー

みーくんは嘘を吐き続けて、
まーちゃんを騙してる。
みーくんの嘘のお陰で、
まーちゃんは壊れる位で済んでいる。
なんだけど・・・まーちゃんが、完全に壊れちゃった・・・。

と言う訳で

「みーくん、顔? みーくんは、顔……顔って、どんな。みーくん、知ってる、どれ、だれ、どの」表情が陰る。目の焦点を失う。「マユ、ちょっと」肩を揺すった手が、はね除けられる。「邪魔しないで! わたしはみーくんが、を、だから、みぃくんは……だれ」

という塩梅で、このあと完全にブルースクリーン状態になってしまいます。口からの涎が止まらないような状態と言えば分かりやすいでしょうか。
そして、本人の気持が一体どこにあるのか分からないみーくんはまーちゃんの復活の切っ掛けのために「まーちゃんの思い出の品」辺りを探しに出かけるのですが・・・そうなると訪れる先は自ずと限られる訳で・・・結果としてみーくんは『美しき思い出の詰まった麗しのかつての我が家』へ出かけることになります。
みーくんの家はまだ残っていたものの、既に他の人の手に渡っており、そこでの「思い出探し」にはちょっと手間取ると思われる展開となる訳ですが・・・実際には「ちょっと」どころではない状況となってしまいます。嘘だけど。

結果として

今回は「密室(みーちゃん旧家)を舞台にした殺人事件」という事になってしまいます。ミステリー風味がかなり強まっています。
ただ、何の因果か偶然か、今回のこのミステリーツアーにはメモ帳経由で言葉を使う変人の女の子である伏見柚々が付いてくる事になります。本当に偶然の結果であって、ご都合主義とかそういう思惑は一切ありません。嘘だけど。
・・・実際の所、この伏見柚々がみーくんをどういう人物だと思っているのかは冒頭で語られるので非常に分かりやすい訳ですが。

……困った。

のっけから困っています。
とにかくみーくんと一緒の状況にかなり困っているようで、終始普通の(?)女子高校生らしい狼狽っぷりをメモ張経由で見せてくれるので、作品に潤いを与える存在となっています。

今回は

上記のような理由で持ってまーちゃんの登場シーンはほとんどありませんので、まーちゃんの壊れっぷりを期待している人は明らかにおあずけですね。まーちゃんは確かに壊れてますが、いつもより余計に壊れている関係でなーんにも出来ません。
その替わりの伏見柚々という感じですが・・・うーむ・・・まーちゃんより個人的には好きなタイプだなあ・・・って、普通の人ならそうか。
まあ理想のヒロイン像についての私見はこの辺にして、今回はこの1冊で完結しません。今月はお金に余裕が無いのよ! って人は次の5巻が出た時に一気に購入する事を検討してもいいんじゃないかな? そうするときっと作者の人も4巻の売り上げが思った程伸びなくて喜ぶんじゃないだろうか。タウンページ一冊分位は嘘だけど。

総合

星3つ。
悪くはないんだけど、上の感想を読んで分かる通り「嘘だけど」が一発繰り出される度になんだか現実が曖昧になってしまって物語に没入しにくくなりますな。まあこんなサイココメディ(?)に心底没入しても仕方がないというか、没入できる精神状態もちょっと怖いという気もしないでもないですが、まあ青春なら何でもありか?
本編はかなり熱い所で「以下次号!」という感じになっていますので、次の5巻がそういう意味では楽しみですね。
ただ一つだけ難点を言えば、先日の大雨の日にこの本をカバンに入れて持ち歩いていた関係で、本が濡れてフニャフニャになってしまった事でしょうか。結果として僕の読書意欲も8割くらい減少してしまったので、それが今回の評価減に繋がっているのは言うまでもありません。もちろん嘘だけどね。
カバー裏の小技は・・・うーん、ちょっと慣れてきちゃったかな? でも5巻に繋がっている事を考えると、また何かやらかしてくれるような気もするね。

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