生徒会の二心

ストーリー:変える意味が無いような

私立碧陽学園の生徒会は一風変わった選出をされる。それは校内人気投票で単純に決められるシステムだった。
結果として生徒会選挙は普通にミスコン状態となり、生徒会とは名ばかりの美少女軍団が形成されるに至るのだが・・・そこに一人だけ異分子とも言える少年が所属している。
少年はつまるところ、生徒会を舞台にしたギャルゲ的ハーレムルートという大きすぎる野望を実現すべく、一点だけ残されたこのシステムの妥協点——<優良枠>に食い込んで生徒会員となっていたのだった。
<優良枠>は年度末の試験の成績トップの者に与えられる特権で、本人が希望すれば生徒会に所属する事ができるというもの。その特権を「ハーレム達成のためだけ」に獲得した少年・杉崎鍵(すぎさきけん)は、今日も今日とて美少女ばかりの生徒会で変な活動を続行する・・・というか彼含めて生徒会所属の美少女は総じて変人ばかりだったのだが・・・。
まあその変な生徒会の議事録という形で出版された本の第二弾がこれ——「生徒会の二心」である。

むうっ・・・!

げにおそろしきは「慣れ」であろうか?
一巻であれ程強烈に感じたこの作品の色々な意味での脱線っぷりを違和感無く読めてしまう自分が恨めしいというかなんというか・・・楽しく読んだけど「やられたー」「やれらたー」「たれやらー」という感じが著しく減衰しています。
まあそれでもするすると読めてしまう作品であるところは変わらないですが。

でもまー

ある意味でこの作品程「ライトノベル」という文芸分野に相応しい作品も無いような気がする。
毎回毎回生徒会長・桜野くりむの発作的な名言で始まるシリーズですが、それはミジンコ以下くらいにしか影響を与えません(読者にも登場人物にも:良い意味で)
彼女の発言に代表されるように、難しい主張も無ければ押し付けてくる思想もない。知恵も含蓄もない。始まりはあってもオチはない。まさに脊髄反射。それがまたなんとも言えずぬるい。
でも読めるし、読んでいる最中は少しだけ時間が経つのを忘れられる・・・まさにジャンクフードではなかろうか?

で、

相変わらず生徒会の面々は変わらないテキトーさで日々を送っています。うーん、幸せって感じ?

「私の趣味的にはその幼児体型も大好きなのだけれどね。生徒会長らしい、という観点から見ると、どうしても威圧感に欠けるわよね」
「私にどうしろと……」
「牛乳を飲むのよ、アカちゃん。そして、転倒して派手に顔から浴びてしまい、カラーイラストになるのよ」

・・・なってますね。まんまと。でも個人的には粘り気が足りないというか(以下略)

「あたしな……鍵。『生徒会の一存』は、シリーズ化するにあたって……」
「…………」
深夏の真剣な態度に、息をのむ。彼女は、意を決するように、口を開いた。
「ラスボスを早めに登場させておくべきだと思う!」

なんかラスボス(にしちゃってもいいかもしんない人)が今回、出ますが。

「当然です。真冬は、濡れ場より、過程を重視するのです! そこに至る過程が希薄なボーイズラブなど、真のボーイズラブにあらず!」

・・・いや、強引に始まる関係も(また略)

総合

うーむ、でもまあ星4つかな。
1巻程の「酔っぱらい感」はありませんが、それでも同じようないい加減さで話が続いて行きます。今後このシリーズを真面目な方向に進められてもまあ困惑するだけなので、多分今後もこんな感じなんでしょうね。
ストーリー的には本巻でなんとなく知弦ルートに入った気配がしますが、多分主人公はまだまだハーレムルートを目指すんでしょうねえ・・・じゃないとつまらないですし。
それより唯一の心配と言えば、今後のタイトルです。3巻のタイトルは「生徒会の三振」らしいですが、フルメタ短編集的泥沼が目に見えるようです。
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