幻想譚グリモアリス1 されど魔刃の名のままに

幻想譚グリモアリスI されど魔刃の名のままに (富士見ファンタジア文庫)
- 作者: 海冬レイジ,松竜
- 出版社/メーカー: 富士見書房
- 発売日: 2008/05/20
- メディア: 文庫
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ストーリー
桃原グループのトップに立つ事を約束されながらも妹と二人の慎ましい暮らしをする少年・桃原誓護(ももはらせいご)、彼の前に一人の黒いドレスを着た少女が現れる。体に電撃を纏い、高圧的に誓護に言葉を投げる少女——。
「この私が誰かって? ふん、教えてあげるわ。此れなるはグリモアリス。……と言ってもわからないわね。年寄りどもの言い回しなら——煉獄より遣わされし教誨の使徒」
彼女は教誨師(グリモアリス)と自らを名乗り、人に裁かれなかった罪人を裁く役目を負った者であると言った。
しかし、誓護は彼女を見た瞬間から激しい頭痛と目眩が止まらない。一体自分の身に何が起きているのだ? この黒服の少女は一体何者なのか?
富士見ファンタジアに移ってシリーズタイトルを微妙に変えて出版された「夜想譚グリモアリス」シリーズの実質的な4巻です
一応
富士見ミステリー文庫からファンタジア文庫に変わるということで初めて読む人にもある程度の配慮をしたという事ですが、そういうのは「表紙買い」などをしがちなラノベファンには嬉しいかも知れないですね。
作者の苦労もあってか*1なんとかこの本単体でも楽しめる展開になっていると思います。・・・もちろん富士見ミステリーから出ている既刊3巻を読んでいる方が楽しめるのは間違いないですけど。でも読んでないとやっぱり、キツイだろうなあ・・・。
それでも読んでいない人は「どんな話かな?」と一応楽しめそうですし、読んでいる人は「ありゃ!? 一体何が起こっているんだろう!?」という感じで読み進められます。
ま、とにかく
仕切り直しという事で、キャラクターの特徴についても改めてしばしば書かれます。
- 例えば主人公の誓護が重度のシスコンであり、いつ如何なる状況でも妹付きで行動したがる病深い性格だとか。
- 誓護の妹の祈祝(いのり)は大人しくて無口な少女ではあるけれども、兄が大好きで勇敢な少女だとか。
- 教誨師のアコニットは意外と見所のあるツンデレであるとか。
そんな事でしょうかね。
それから前作の感想でまとめといた(やっておいて良かった!)、魔界の勢力争いが今回の話の裏側にはあります。
一体誰がどこの人なのか分かりにくくなった場合には、リンク先を確認して下さい(って真っ先に私が確認しているんですけどね)。
誓護とアコニットに訪れる変化
細かい所を書いてしまうと露骨にネタバレになってしまいますので程々にしておきますが、誓護の武器と言えばいつでも冷静な思考と冷徹な判断力だった訳ですが、それに加えて一つの「刃」を手に入れる事になります。
まあ、彼らが置かれた状況を考えるとこの位のパワーアップはあっても良いかもしれませんね。というか無いと余りにも天秤が偏って話が作り難くなるでしょうしね〜。キーワードは”調停の賢者”です。
そうそう、この新キーワードの関係で(あるいはミステリーからファンタジアへの移籍の影響で)この本ではミステリー色が多少減り、アクションファンタジー色が強く出ています。今後の展開にも影響があるのかないのか、その辺りもファンとしては気になりますね。
総合
星4つ。移籍したとは言え安心の出来です。
今回は色々な理由があってラブコメ色は若干後ろに引っ込んでいる感じですが、ヒロインのアコニットの重大な告白を聞く事も出来たりするのでちょっとドキドキですね。いやあ、シスコンにはもったいないですな。
そういえばゲスト出演かと思いつつも結構いいポジションにちゃっかりつけている軋軋(ギシギシ)は今回大活躍です。彼がお気に入りという人もこの最新巻は必見ですね。
でも一つだけ不満が。富士見ファンタジアの表紙イラスト縛り(表紙から裏表紙にイラストが続かない)ために表紙のイラスト作りがこじんまりと小さく纏まってしまったような気がします。前作はアコニットの全身がバッチリ入るイラストだったのに・・・むむむむ・・・つまらん。
*1:もちろん、多分ですけど。