輪環の魔導師(3)竜骨の迷宮と黒狼の姫

輪環の魔導師3 竜骨の迷宮と黒狼の姫
輪環の魔導師3 竜骨の迷宮と黒狼の姫碧 風羽

アスキー・メディアワークス 2008-07-10
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おすすめ平均 star
starフィーノの過剰な愛情の今後のゆくえが気になります
starセロ達は遂にイリアード姫の元へ・・・

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ストーリー

黒猫の姿をした魔導師のアルカインに導かれるようにして旅を続ける薬師見習いのセロと貴族の娘のフィノ
魔族に敵対するアルカインと一緒のその道中はセロ自身の持つ秘密――それは環流の輪環(ソリッド・トーラス)の持ち主であるということ――とも相成って決して安全というものではなかった。つい先日訪れた「旅の終わりの森」と呼ばれる遺跡では本当に旅が強制的に終わりかけたりもしたのだ・・・。
しかし、魔族の襲来や昔の遺跡に残された秘密や危機をかいくぐるうち、彼らの旅には頼もしい味方も増えつつあった。
アルカインと同じ魔導師の師匠を持つ二人であるホークアイシズク、さらには遺跡で仲間に加わった学者のクローガ、そして魔導具に宿った意志と力が具現化した存在であるティアネス・・・。
セロは彼らと旅を続ける。自分自身が今後どのように振る舞っていけばいいのかを悩みつつも。そして一行は魔族から逃れた王族の一人・イリアード姫の潜伏すると言われるダイナースクの街へと到着した。
安心の語り口で綴られるファンタジー作品の3巻です。

安心は安心です・・・が

そろそろあるものが欲しいです・・・きっと読了済みの人なら分かってくれると思いますが、ズバリ「登場人物紹介」のページですね。
キャラクターはちゃんと立っているので

「今喋ったのって誰じゃらほい?」

的な事は起きませんが、しばらくぶりの登場だったり、味方として行動していない連中で感情移入の実績や描写が少ない側の存在だったりすると、ふと「・・・そういえば昔出てきたか?」見たいなデジャヴにも似た感触を持ったりします。
いや・・・記憶力の安定しない私が悪いんですけど・・・でもあった方が便利でしょ? 登場人物紹介。今作でまたぐっと人が増えますしね。そろそろその辺りのフォローが編集側で欲しいものです。新登場キャラもフォローしてくれとまで言わないまでも、登場済みのキャラクターについてはやって欲しいですねえ〜。

ところで

話の方ですが、今回もやっぱりトラブル続きの旅という感じでして、ラストの方では気がついたら迷宮探索をしているという状態になっています。なんとまあ危険な・・・。でもまあ今回は「王家の人間を保護する」という仕事がありますから仕方がないですけど。
でも実はメインの話(迷宮探索と人の保護)より、別に語られるキャラクター描写の方がなんか後に響いてきそうで要注目かも知れません。もちろん要注目なのはフィノのやばい所ですが。

もっとも見たいものが、何故か見えない。
いつも傍にいてくれるはずのセロが、何故かいない。
呼気は自然と荒くなり、まるで何かの禁断症状が出たかのようにフィノの心は暗いものに浸食されていく。

・・・ちょっとセロと離れたとたんコレですからねえ・・・これはヤンデレとかになるんですかねえ・・・。もちろん他にも新加入のティアネスと衝突するシーンなんかもありまして、

「歩いてる間、セロがずっと抱っこしてくれてたの」
ティアネスのぽつりとした呟きに、フィノの笑顔が固まった。
「……そう。セロは優しいものね?」
「うん。それにすごくいい匂いがする」
ティアネスが、ぎゅっとセロの腰にしがみついた。
フィノは笑顔で彼女の頭を撫でながら、もう片方の手で少しずつ引き剥がそうとする。
「ティアネス? ちょっと一緒にお話ししようか」

どんな内容の話をするつもりなんでしょうか・・・!? もちろん他のシーンではもっとストレートに、

「…………その子、誰?」

なんてセリフも発していまして、きっとセロは他の女と同衾しているところとかをフィノに発見されたら殺される・・・事はないにしても、多分釜茹で位にはされそうです。付き合っている訳でもないのに!
まあフィノも綺麗で良い娘なので、残念がればいいのか怖がればいいのか喜べばいいのか楽しめばいいのか、さっぱり分かりませんが!

それと

今回初登場することになるイリアード姫とその連れのサーシャも魅力的ですね。
特にサーシャの方は個人的な嗜好の問題からお気に入りです。もちろんイリアード姫もカラーイラストでは全裸のナイスバディで大活躍している位ですから大好きです。両方とも全然別の意味で大好きですね〜。
こうしたキャラクターの魅力もありますが、ストーリー展開も安定感が滲み出ている感じが強くて、正直「無茶な事やっているなあ」というところでも「そう感じさせない」という印象を受けます。ご都合主義だと感じさせないと言えばいいでしょうかね。

総合

星4つ。
やはり安心感の強いシリーズで、この3巻も1、2巻と同じように楽しめます。
キャラクターがどんどんと増えていますのでセロの旅はなんだか大所帯になっていく傾向がありそうですが、それはそれで楽しいものですのでじっくりゆっくりと紙幅を尽くして彼らの旅の行く末を描いて欲しいですね。
イラストは翠羽風氏です。表紙、口絵のカラーイラスト、そして本編内の白黒イラストも安定して楽しませてくれます。良い絵師さんじゃないでしょうか。

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