いちばんうしろの大魔王(3)

いちばんうしろの大魔王 ACT.3 (HJ文庫 み 1-2-3)
いちばんうしろの大魔王 ACT.3 (HJ文庫 み 1-2-3)水城正太郎  伊藤宗一

ホビージャパン 2008-09-01
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ストーリー

紗伊阿九斗(さいあくと)は質実剛健の真面目かつ正義感の強い少年だったのだが、将来魔王になるという予言を受けてしまったがために人生が怪しい方向にどんどんと歪んでしまっていた。
学園にも真面目に通っているのに、臨海学校には彼だけが行けないのだという。理由は「現地の人間達が魔王を怖がっているから」という理不尽なものだったが、阿九斗はそれを受け入れる。臨海学校に行きたかったなあ・・・という悲しい思いを嚙み締めつつも。
しかし、突然その臨海学校に行けるようになったと、彼を監視している政府の人造人間・ころねから告げられる。結果として阿九斗は学園を出て陽光漲る海へ繰り出すことになるのだが、なにやらころねの様子がおかしい。しかも阿九斗の弟分を名乗っているヒロシの様子までもがおかしくなっている。聞けば臨海学校で訪れる島は、ヒロシの故郷らしいのだが・・・。
変に歪んだ魔王候補の活躍するファンタジーシリーズの3巻です。

むーん

今回クローズアップされるのは上のストーリー紹介にも名前が出てきたころねです。
彼女は今まで阿九斗の監視&護衛という任務に就いていたのですが、上層部からの指示で、阿九斗を色仕掛けで落とすように命令されてしまいます。結果、暴走するころねがひたすら無表情のままお色気を振りまいている訳ですが・・・。

ころねは映画の悪役の情婦よろしく阿九斗にしがみついていた。
ころねの今日の格好は水着である。しかも布地面積小さめのビキニだ。しかもボトムは腰上の部分がほとんど紐で、下から股間の部分に絆創膏を貼り付けているかのように見える。

臨海学校行きのバスの中での出来事です。
もうなんですかね阿九斗くんは。どうみても絵的には悪の支配者っぽいです。彼が悪い訳ではないのですが、周囲が彼をどんどん魔王にしている感じです。

もちろん

臨海学校であって、水着であるからして、サービスシーンがこれで終わるなどと言う訳もなく・・・。
あのお堅い服部絢子の顔に白い白濁液が飛び散ってしまって悲鳴を上げたりとか、

白いねばついたものは絢子の顔にべとりと貼りついた。

さらには上半身をさらけ出してしまってその全部を阿九斗に見せてしまったりとかもあったりします。頂の色は何色ですかねえ!?
まあ色っぽい事件はともかくとしても、絢子がまんざらでもないというか、阿九斗との関係が微妙なのでその辺りは読んでいて楽しいものがありますね。妙に意識し合ったりとか・・・。

さらに

おとぼけヒロインの蘇我けーなも酔っぱらって大胆に迫ってみたりとか・・・。

「おにょにょにょにょにょ……」
ろれつの回らない舌で妙な音を立てながら、けーなは阿九斗の耳をかみ始める。

ま、しょっちゅう全裸になっている娘なので、そういう方向での攻撃力はなんか低いような気がしますが。
けーなの方も今回は見せ場が多くなっていて、今後どう考えても重要人物になるであろうというフラグを立てまくっています。阿九斗にとってけーなは「ちょっと特別」という事も臭わされますしね。

あと

2巻で阿九斗に心酔することになってしまった江藤不二子と、やっぱり2巻で登場した黒龍・ピーターハウゼンのコンビがなかなか面白いですね。阿九斗に早く魔王になって欲しい不二子と、主に魔王の自覚を持って欲しい龍。この二人(?)の会話が馬鹿馬鹿しくも笑えます。

「そうなんですのよ! 阿九斗様を専制君主にして、わたくしが后! 反対者は毒蛇を満たしたプールに放り込んで、それを眺めながら血のワインで阿九斗様とディナーを楽しむのが私の夢」
不二子は興奮して話している。ピーターハウゼンは満足げにそれを聞いている。
「夜は国中から美女を集め、裸にして阿九斗様を誘惑させますの! しかし、阿九斗様は当然それには目もくれませんわ! 阿九斗様が臥所をともにするのは私だけ! 女たちの嫉妬の声が渦巻く中、わたくしは阿九斗様との交わりをみせつけますの! その嫉妬や敗北感、羨望の入り交じった視線がわたくしをさらに美しくしますのよ!」

おい、ピーターハウゼン、そんな妄想を満足げに聞いてないで、止めろ。どう考えても変態だから。
・・・いや、個人的には人に見られながらするってのも実に倒錯的で好みではありますが、不二子の妄想する状況では阿九斗君、勃たないと思いますよ!?

総合

うーん、星3つ?
面白いの? つまらないの? ねえ、どっち! とか聞かれるとすっごく困る感じの一冊に仕上がっています。しかも本編の内容にほとんど触れていない感想になってしまってますけど、まあいいか・・・。
というかぶっちゃけて言うと、主人公を含めたキャラクター全般と、女の子の嬉し恥ずかしな感じの描写はいいんですけど、本筋に魅力があんまり無いんですよね・・・なんだか敵がはっきりしないところがパッとしない理由のような気がします。
個人的にはラストの勇者展開はちょっとやり過ぎに感じたっつーか、そんな宇宙刑事テイストなものでは流石にもう感じないというか、そんな感じです。まあ海で水着となったらメインストーリーなんてどうでもいいんじゃないか? なんて思ってみたりして・・・。
ところで、この作品はヒロイン候補が沢山出てくる作品ですが、私の好みで順番を付けると、

絢子≧ころね>不二子>>>(超えられない壁)>>>けーな

という感じになってしまってます。けーなってメインヒロインみたいだけど、私はさっぱり魅力を感じないんですよね。
キャラクターとしての魅力の種類にもよると思いますが、それ以外の理由として色々なところで特別扱いされているのが透けて見えてしまうからでしょうかねぇ・・・。

感想リンク