SH@PPLE(3)
SH@PPLE―しゃっぷる―(3) (富士見ファンタジア文庫)
- 作者: 竹岡葉月,よう太
- 出版社/メーカー: 富士見書房
- 発売日: 2008/09/20
- メディア: 文庫
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ストーリー
淡谷雪国(♂)(あわやゆきぐに)は一目惚れをした相手に近づきたいから、一種ご乱心とも言える生活を現在している。
双子の淡谷舞姫(♀)(あわやまいひめ)と、学校を交換するという暴挙に出ているからだった。もちろん舞姫のほうも雪国の通っている学校に男として通っているのだから二人は同じ穴の狢ということになるのだが・・・。
しかし、ある日雪国(♂)の通う青美女学院の校内新聞(ちょっとゴシップ)に「淡谷舞姫オトコ説!?」が出てしまう。一体誰が何のために? まあ「何のため」かは入れ替わりが起こっていることを考えると当たり前と言えば当たり前なのだけれども、とにかくこの校内新聞を切っ掛けに、雪国と舞姫は一時的に入れ替わりを止めることになったのだった。
そんな状況の中でも学校生活は淡々と進んでいくのであって、当然学校ならではのイベントなども起きたりする。町で行われる「人力リバーフェスタ」絡みで双方の学校が慌ただしくなり、それと一緒に雪国と舞姫の私生活も慌ただしくなり・・・?
入れ替わりで起こるドタバタをおもしろおかしく、時にほろ苦く描いたコメディ作品(?)の第三弾です。
あっははは〜
よく分かりませんがこの本は電車とかでの短時間の移動中に飛び飛びで読んだらいけない本ですな。
語り手の視点が雪国、舞姫、密、胡蝶の君(典子)、さらには新登場のキャラクターである古葉鳥子と、ぴょこぴょこと変わるからですが。途中で読んでて訳が分からなくなって、あれ? 今メインなのは雪国だっけ? いやでも女学院・・・まてまて入れ替わりは一時中断だったから、違うなここは平日パートだから舞姫・・・は? という塩梅です。
家に帰ってから落ち着いて読んだら別に混乱しなかったので作品が悪いとかって話にはならなそうですが、まあとにかく入れ替わり激しい作品ではありますね。視点的にも性別的にも。
なんか普通は入れ替わらないはずのものが混じっていますが、まあそういう話だし。
上記の通り
今回は(も?)状況が入り組んでます。
- 「人力リバーフェスタ」で一仕事しなければならなくなった空舟五中生徒会と、そのトップ・古葉鳥子に協力をせまられる雪国。
- 青美女学院での立場も難しく、ソロリティとはまた違った部活連合である「中部連」とそのトップの長船白夜と協調関係を取らざるを得なくなった舞姫。
- なんでか分からないけれども胡蝶の君(蝶間林典子)の雪国への興味(というか恋慕?)もあって親しくなる空舟五中と青美ソロリティ。
- なんでか分からないけれども自分のノーマルの証明がしたくなって混乱気味の密が発案する舞姫との一日デート。
- さらには何者かが握っていると思われる雪国⇔舞姫が入れ替わっているという事実。
- ついでにいえば雪国に対してちょっと(かなり?)怪しい古葉鳥子。
なんて感じです。
おお、これは確かに途切れ途切れに読んじゃいけない本ですな。とにかくめまぐるしく状況が入れ替わるのが楽しさの一部でもありますから、落ち着いて読んだ方がいいでしょうね〜。
とにかく
事態は混迷を極めること著しくて、
「淡谷弟は……ホモの存在についてどう思うか?」
「はあ!?」
そこうるさい! と教師に叱られるがどうしようもない。この状況もどうしようもない。
「……兄貴がいないんじゃ俺は……俺は……俺のやり場のない目線と煩悩はあああ……みんなお前に行ってうえぶぶ」
雪国、ホモ危機。
「いえ、あ、あの、ご、誤解しないでくださいね。デートっていうか、いわゆるこれは正気の証明と言いますか、毒を食らわば皿まで作戦と言いますか!」
「は?」
「わかりません訊かないでください失礼します!」
舞姫、レズ危機。
こんな個人イベントに合わせて学校イベントまで盛り込まれてますからね・・・いやいや、盛りだくさんですよ。
総合
星4つかな〜?
残念だったのは今回は前後編になるのか、この一冊で話に決着がつかなかった点ですが、まあ次で決着してくれると思いますしその辺りはゆっくり続きを待ちますかね。いずれにしても入れ替わり以外の出来事は普通の出来事と言えそうなのに、こうして読ませる話を作ってくれるんだから、なかなかのものですよね。
今回は雪国と舞姫が喧嘩しちゃったりもしますし、さらには新登場の古葉鳥子もかなりいい味を出しているキャラクターなので、見所が満載という感じです。そもそもこの話の根っこにある「入れ替わり」の危機でもありますし・・・しかし犯人は誰だろうかねえ?
ところで今回流石に気になったのが口絵のカラーイラストでして。1、2巻と同じように本編と直接関係の無い小話で楽しませてくれはするんですが、今回のメインキャラの一人とも言える古葉鳥子の絵が無かったんです。そういえばなんだかんだ言いつつ活躍している空舟五中のSECの面々も全く出してもらえてないですね——まあ野郎はどうでもいいですけど——ちょっと残念でしたね。