スパイラル・ホワイト

神曲奏界ポリフォニカ スパイラル・ホワイト 神曲奏界ポリフォニカシリーズ (GA文庫)
神曲奏界ポリフォニカ スパイラル・ホワイト 神曲奏界ポリフォニカシリーズ (GA文庫)凪 かすみ

ソフトバンククリエイティブ 2008-12-15
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おすすめ平均 star
starまさに“前作は序章にすぎなかった”

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ストーリー

学園祭のために準備をしていたスノウドロップ(スノウ)達が見つけた廃墟となった聖堂、そしてそこで見つけたパイプオルガン・・・それに触れることによってスノウたちは、原因も分からないまま200年前の世界へと跳ばされてしまったのだった。
そんな未曾有の出来事に慌てる一行を救ったのは、一人の若者、そして200年後と同じように、いやそれ以上に精霊達に満ちた精霊島と学園そのものだった。彼らはそこで歴史上の人物達と顔を合わせることになる。そしていつも見慣れていた、しかし今は知らないはずの顔も・・・。
とりあえず一息つくことができた一行だったが、200年前の現実がスノウたちを追い詰めていくことになる・・・それは「戦争」。大地を焦土にせんとするがごとくのそれに、戦力になる神曲楽士たちを抱えた精霊島も無縁でいることが出来る訳ではなく、スノウたちもその諍いに巻き込まれていくことになる。
もはやポリフォニカシリーズで追いかけているのはこの作品だけになってしまいましたねえ・・・。

・・・うん

楽しいですよ・・・。うん・・・。
まあその、妙に歯切れが悪いのは今回も事件に決着が付かずに次に持ち越されてしまうからなんですが・・・。きな臭い匂いはどんどんと強くなる一方なのに、解決の糸口は全く見えてこないあたりも読んでいてなんというか・・・悶々としますね。

「オホホホホホ、早く生まれたままの姿になるのです、スノウ!」
なぜか、笑い方があやしい。
「うわっ、お嬢さま、そんなところ……」
「あら、つい手が滑りましたわ」
スノウは、必死に抵抗してみせるも、
「い、いいです。いいですって!」
「あらまた、手が滑って……」
「うひゃあっ」
「あら、こんなところにスノウの胸が……」
「ぎゃっ」
「こんなところに、スノウのかわいらしいおへそが——」
「きゃあああっ」

いや・・・そういう悶々も確かにしましたけどね・・・でもやっぱり消化不良な感じが否めないのです。

特に

気になったのが短編2本でしょうか。
いつもの高殿節という感じで十分に楽しめる作品に仕上がっているとは思うんですが、あのミノティを書いていたときのような自由闊達さがどこか抜け落ちた感じがします。なんというか、設定に引きずられて物語の進め方まで「ポリ赤」っぽくなってしまったような感じとでも言いましょうか。
決して悪くはない、でも・・・、という妙な歯切れの悪さを感じてしまう出来になっているんじゃないかと思います。まあ他のシリーズとの絡みで別の楽しみ方はあるんでしょうけど、私がこのシリーズに求めているのはそういうものじゃないからして・・・。
なんというの? 優しさ? 柔らかさ? 勇敢さ? そんでもって、可笑しくって、ちょっと馬鹿? とかそんな感じ? うん、どうも言葉にしづらいですが、そういうものを求めているんですね。
・・・設定集のすみっこをつつくような話にはあんまり興味がないんだなあ・・・。

でも

本編のクオリティは相変わらず高いと思いますよ。
未だ出会っていない(200年前ですから)スノウとブランカの緊張感のあるやりとりと、それに心を痛めるスノウの姿は良かったと思いますし、同じようにジョッシュと(ストーカーをしていない)リシュリーの関係も新鮮と言えば新鮮だったような気もします。
物語の裏側で動いている下界の戦争の行方も気になりますし、リシュリーがどうしてボウライになってしまったのかと言った秘密も山盛りになっているようですので、今後の展開も楽しみではあります。
・・・でもなあ・・・短編は別にまとめて出してもらって本編を進めて欲しかったなあ・・・いや、小さい子供がいるのにまだ執筆活動を続けている作者の人には頭が上がらないですが、もう少し時間がかかってもいいから長編で読みたいなあ、と思うのは読者の贅沢ですかね・・・?

総合

うううううう〜ん、悩むところですが星・・・3つかな・・・。
つまらなくなったという訳ではなくて、やっぱり本編が少ないのと、短編があまり好みでなかった事もあって4つ星はあげられない・・・そんな感じでしょうか。3つ星だからといってシリーズファンの人が買うのを控えるような内容ではないことはお約束します。いや、私が約束してもしょうがないかも知れないですけど。
しかし気になりますねえ・・・一体何が起こったんだか・・・続刊が待ち遠しいですね。

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