ブック×マーク!

ブック×マーク! (ガガガ文庫)
ブック×マーク! (ガガガ文庫)桧山直樹  さくや 朔日

小学館 2008-12-19
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star小説の世界

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ストーリー

高校に通う少年・菅原真は実になんの変哲もない少年だった。学業は中の下くらい、運動もパッとしない、クラスの中心人物になれるような大らかな社交性も持っていないという実に平凡極まりない少年として日々を過ごしていたのだが・・・ある日、テストの成績の事で先生に呼び出された事で事態は変化する。

「とにかく読解力を身につけるために何かちゃんとした本を読んで、レポートを提出すること!」

やらなければ強制的に追試を受けさせられてしまうという条件を前に、しぶしぶ読書感想文の提出を決めた真だったが、奇しくもその日、彼は奇妙な図書館へ迷い込むことになる・・・。古色蒼然とした仰々しくも古ぶるしい書籍が山のように集められた「異界図書館」へと。
そこはただの図書館ではなかった。司書たちは同じ学校に通う女生徒でこそあったものの、何故か帯刀した剣士が暴れていたり、恐竜が突如出現したり・・・。そこは「本の中の世界」と「この現実世界」を繋ぐ奇妙な場所だったのだ。
本と「本の中の世界」を扱った現代ファンタジー作品です。

うーん

つまらなくはないけど、面白くもない、そんな印象でしょうか。
キャラクターはなかなかに立っていますけど、メインヒロインである小平彩を除けば今のところはまだまだパッとしないという印象がつきまといますね。
主人公が平々凡々というのをまず持ってきていますから、他のキャラクター(この本には主要な少女ヒロインが4人ほど出てきます)がその足りない辺りを埋めないといけない訳ですが、それに必ずしも成功しているように思えません。
少なくとも、キャラクター一人一人をここで説明したくなるほどの魅力は無い、そんな所でしょうかね。

あと

惜しいというか勿体ないと思ったのが、本を主題にした物語で、本の世界に取り込まれるような展開があるのに、それを使った遊びが無いところですかね。
この話でメインに取り上げられるのが司馬遼太郎の「燃えよ剣」なんですが・・・どうせ物語世界に入ったりしてしまうのであれば、そのシーンの描写だけでも原典を真似してみるとか、仮名づかいを変えてみるとか、フォントを弄ってみるとか・・・そういう「あちら」と「こちら」を行き来しているのが文章や文字だけでもはっきりと分かるようにしてくれたら良かったのに、なんて思いました。
丁度映像作品で昔を表現するのにセピア色やノイズを入れたりするのと同じような「遊び心」ですね。そういうものがあればもうちょっと楽しさが増したんじゃないかな・・・そんな風に思います。

総合

うーん、星3つ以上にはならないなあ・・・。
最終的には物語として結構バランス良くまとめてくれていますので、その辺りは評価したいところではありますが、いかんせんそれ以上の魅力に欠けると言っていいでしょうね。あ、あとメタ的な叙述は「どうせやるなら徹底的に。半端にやるくらいなら全くやらない方がいい」そんな風に私は思いますけど、どうでしょう?
それから、一応安易な主人公ハーレム物語にしていないところは個人的には嫌いではないので、今後の伸びに期待したいところです。どうやら2巻を踏まえての伏線なんかも張ってあることですしね・・・。
しかし、本当に最近ライトノベルの出版数増えたなあ・・・。こういう新シリーズにまで手を伸ばしていると、絶対に読み切れないだけの量になってますよね。本当。ライトノベルもマンガみたいになっていくのかなあ?

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